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米倉「1対1で負ける相手はそんなにいない」

 金沢戦ではあまり無理にプレスはかけに行かず、ボックスで守ったと監督や選手が話しています

今日のゲームは前線から圧力を掛けず、ブロックを作った。その狙いを。
江尻 篤彦監督「相手によって使い分けている。前節・山口戦は前からプレッシングを掛けた。今回の金沢にはディフェンスラインである程度ボールを持たして、ブロックを組んだ。背後への一発のパスは怖かったが、新井(一耀)もエベルトもリスクマネジメントをやってくれたので、守備のマネジメントはうまくできた。」

 個人的には単純に前線の選手が工藤から船山に変わったので、結果的に前へのチェイシングが弱くなっただけではないかと思っていました。


 そう感じるのは、これまでのプレスも決してはまり切っていたわけではないからなのかもしれません。
 これまでの試合では工藤が積極的に追いかけクレーベも遅れてついていく形でしたが、2列目がそこに連動してプレスをかけていくことは少なかった。
 そのため2列目の動きは大きく変わった印象はなく、変化が生まれたのは前線の追い掛け方だけだったので、守り方全体が変わったようには見えなかったのかもしれません。

 工藤は積極的に広範囲を追いかけまわしますが、見方によっては暴走気味でスペースを空けてしまうこともあるのかもしれない。
 その点、船山はCBからボランチへのパスコースも気にして、守備をしようという意識が強かったのかなとも思います。
 ただ、相方がクレーベであることも考えれば、多少無理が生じても広範囲に走り回って穴を埋めるという方法のほうが、結果的に良いのではないかとも思いますが。


 いずれにせよ、金沢戦では無理にプレスにはいかなかったとのこと。
 ただ、10分には前線の選手がプレスに行かなかったことで、山本からDFライン裏への長いボールを供給されてピンチに陥っています。
 CB山本は大卒2年目のまだ若い選手ではありますが、185cmと高さがあるだけでなくビルドアップでも貢献できる選手で、簡単には空けてはいけないところだったのではないでしょうか。

 山本からのロングパスに右SH金子が斜めに飛び出し、左サイドを縦に仕掛けてエベルトをかわしクロスを上げて、垣田がヘディングシュートを放っています。
 DFラインとしては斜めの飛び出しには対応しづらく、垣田のシュートも少しずれればゴールといった場面でした。
 最終ラインは高いままプレスをかけないということになれば、こういった危険はどうしても起こるはずです。


 さらに、42分にもこのようなシーンが。

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 中盤で相手がつないでいる流れで、船山が大橋へプレスをかけると、大橋は廣井にパス。
 しかし、クレーベの寄せが甘いため廣井にかわされると、ズバッと縦パスを通されています。

 杉浦がバイタルエリアで浮いていたので、エベルトは慌てて前へ。
 しかし、廣井の狙いはその先の垣田で、垣田がうまくボールを保持すると右サイドへ展開。
 右サイドの金子が受けてミドルシュートを放ちますが、GK優也の正面で終わっています。


 無理にプレスに行かないのであれば、その分FWも含めたボックス守備を安定して実行しなければ意味がない。
 しかし、このシーンでも結局のところ、FW2人の間とボランチ2人の間という一番明け渡したくないであろうコースを、縦パス1本で通されていることになります。
 それでは無理にプレスをかけなくなった意味もないし、ボックス守備がうまくいっていたとも言いにくいのではないかと思います。

 金沢戦に限らずジェフのリトリート状態での守備は、あまりにも簡単に選手と選手の間を通されすぎていると思います。
 それは言い方を変えると、ボックスの間を取られているということ。
 それでは、ボックス守備の意味をなしていないことになるのではないでしょうか。


 さらにこのシーンではエベルトと新井が前に潰しに行っているのに、米倉と下平の前への反応が鈍い。
 これは先日の山口戦でも同じような展開を作られ、バイタルエリアで宮代に鋭いミドルシュートを放たれています。

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 この場面も含めてDFラインの動きも含めて、守備が整備されているように感じにくいところがあると思います。 

 確かに新井とエベルトは、局面で頑張ってくれていると思います。
 裏への対応だけでなく、競り合いの部分でも健闘しているし、うまくカバーもできている。
 その他の選手も金沢戦では集中して守備で奮闘していたと思うのですが、個々が頑張っているだけで守り方が良くなったというわけではないようにも思います。


 金沢戦後、米倉はこう話しています

ブロックを敷く守備について。
米倉恒貴「基本的に自分はこのやり方でいいと思っている。相手が走ってきたら付いていけばそんなに問題ない。自分たちからわざわざスペースを空けて、そこを使われてやられるというシーンが多い。1対1で負ける相手はそんなにいない。今日のやり方で問題ないと感じている。」

 要するに、前から追わなくても、後ろの選手がマークを外さなければ、1対1では勝てるので問題なくやれるということでしょうか。
 そのため、後方のマークが外れるくらいなら、無理にハイプレスをかけてバランスを失う必要はないという発想なのかもしれません。

 ただ、28分には、その米倉が軽率な判断で沼田にスライディングに行って、相手に交わされています。
 そこをアランが何とか戻ってカバーをして、CKに逃れています。
 しかし、そのCKで失点しているのですから、結果的に失点のキッカケとなった米倉が、「1対1で負ける相手はそんなにいない」というのはちょっと残念なことだと思います。


 それだけ、どこかで状況を把握しきれていない。
 あるいは、守備の重要性を理解していない。
 昔からあまりサッカーIQの高い選手ではないのだろうなと思っていたのですが、現状でもあまり変わっていない気がしますね。

 プレスに行かなくなっただけで、今さら守備が大きく改善されることもないでしょう。
 エスナイデル監督初年度のようにワンボランチからダブルボランチに変えて、明らかに引いて守る形に大きく変更したというのであればまだ違いは生まれたかもしれませんが、そこまで極端な変化を実施しているわけでもない。
 だからこそ、金沢戦では何よりも局面で個々の選手が頑張ったことが大きかったのではないかと思いますし、ひとまずはそれが続くのかどうかが注目なのではないでしょうか。