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江尻監督「相手によって戦い方を変えながらやってきた」

江尻篤彦監督「対戦相手によっていろいろ戦い方を変えながらやってきていたので、ここへきてアウェイ、ホームを問わずに、「守備の形はでき始めているな」というのが率直な感想です。
(中略)
アウェイの戦い方としてみれば、当然いろんなやり方があると思うんですけども、僕は相手を見ながら、われわれの良さを引き出しながらという戦い方を年間を通してやってきたという形です。」(Jリーグ

 京都戦後の江尻監督によると、今年のジェフは相手によって戦い方を変えてきたとのこと。

 ようするに、相手対策を重視したサッカーをしてきたということでしょうか。
 あまりそういった印象は、ないような気もするのですが…。
 江尻監督は前回監督時にも感じましたが、本当にそう思ってたの?という発言をたまにすることがある印象があります。


 確かにここ2試合の東京V戦、京都戦に関しては、相手をかなり研究して対策を練ってきたと思います。
 東京V戦ではボランチを縦関係にして、2トップとボランチ1人で相手の2CBとアンカーを抑え、逆に京都戦ではボランチを縦関係にはせず、CFやインサイドが落とすプレーを警戒していたのでしょう。
 多彩に仕掛けてくる京都の攻撃をすべて抑えることはできませんでしたが、取捨選択して対応を考えていったということなのかもしれません。

 また、江尻監督就任当初も、相手対策を重視していた印象がありました。
 つい先日も取り上げましたが、就任初戦の京都戦でも相手の5レーン狙いの攻撃に対して3バックで5列すべてを消し、うまく対応していたと思います。
 ただ、そういった相手対策を安定して実施してきたかというと、大きな疑問が残ります。


 京都や東京Vなどパスサッカー相手の方が予測しやすい分、対策が取りやすいところもあるのかもしれません。
 縦に速いパスサッカーなどのほうがランダム性は高いとも言えるでしょうし、個々の勝負にもなってくる。
 ただ、相手に引かれた時にはどうしても自ら崩す力が必要になってくるはずですから、相手に対策を取られても打開できる攻撃も重要になってくると思いますが。

 江尻監督は相手対策を「年間を通してやってきた」と話していますが、実際には江尻監督就任当初とシーズン終盤に相手対策が目立っていた印象です。
 それは、守備を重視した時期と重なるのではないでしょうか。
 エスナイデル監督からバトンを渡されてボロボロな状況だった就任当初と、柏や山形に惨敗を喫して立て直さなければいけくなった11月からの試合ということになります。


 また、相手対策といっても内容は主に守備においてで、相手の良さを消すことが中心。
 逆に攻撃に関してガ相手の弱点を突くというような狙いはほとんど感じず、基本的には左サイドからの攻撃がメインでした。
 それだけ攻撃においてのバリエーションや余裕がなかったとも言えるのでしょうが、守備だけの相手対策では限界があるようにも感じます。

 それでも年間を通して、徹底して相手対策に取り組めたのであればまだよかった。
 しかし、実際にはチームの方向性はあれこれ変わっていて、相手対策をこだわり続けていた印象はなかった。
 例えば江尻監督もお世話になった反町監督の松本などのように、本気で相手を良さを潰しきるというような発想にまでには至っていなかったと思います。


 実際、3月途中に就任すると、当初は守備的なサッカーで戦っていきましたが、徐々に変化が生まれていきました。
 すると、5月19日の岐阜戦では、攻撃的なサッカーを展開し5-1で勝利。
 しかし、試合終盤まで攻めの姿勢を見せて失点したことに対し、以下のような話もしていました

江尻篤彦監督「ある意味、(失点は)想定内と言えば想定内だが、やられると悔しい。われわれの良さであるフアン エスナイデル前監督の良さというのはそういうところ。アグレッシブに90分間やり続けた代償がこの1失点で、そこを修正することが大事だ」

 この時点でまだエスナイデル監督の名前が出てくることも驚きですが、この段階では攻撃的なサッカーに意欲を見せている印象を受けます。
 しかし、上記の通り、現在では年間を通して「相手によって戦い方を変えながらやってきた」と話している。

 しかも、その対策内容はここ数戦の内容からしても、守備に主眼を置く形だったと言えると思います。
 もちろんアグレッシブなチームでも相手対策は取れるでしょうし大きく矛盾はしていないとも言えるのかもしれませんが、それにしても江尻監督自身のポリシーを感じず、本気でやりたいサッカーというのが見えてこない。
 琉球戦で寿人をスタメン起用した時点で「え?」とは思いましたが、やはりそこが一番引っかかるところではないでしょうか。
 

 J2は戦力差も小さく例年混戦状態ですから、チームの調子が良ければある程度の戦いはできる。
 特にジェフの場合はJ2の中でも戦力面などにおいて恵まれている方ですから、一時的に良いサッカーができることは珍しいことではない。
 しかし、本当に強いチームになるためには、安定感を身につけなければいけないはずです。

 そのためには、確固たる信念を持った上でチームを築き上げなければいけない。
 どうしても厳しい話になってしまいますが、そこが欠けているということになってしまうのではないでしょうか。