勇人が栃木戦を持って、現役引退となりました。
引退後にはセレモニーも行われましたね。
残念ながら直接見には行けませんでしたが、中継でも勇人の挨拶を見ていると、どこかくるものがありました。
印象的だったのは、アカデミーの話を最後にしていたこと。
高卒や大卒で加入した選手ではあそこでアカデミーの話は出来なかったのではないかと思いますし、勇人が子供の頃からジェフで戦ってきたからこそ、あのメッセージになったのでしょう。
それだけジェフと勇人との歴史を感じましたし、トップチームだけでなくアカデミーなども含めてクラブ全体のことを見ているんだなと思いました。
勇人の引退で、一つの世代が終わるのではないかと思います。
勇人は「寿人に託す」とも話していましたし、工藤もチームに残るのかもしれません。
また、レンタル中の岡本などもまだどうなるか、わからない状況です。
ただ、ジェフユース黄金期と言えばやはり阿部、寿人、勇人世代が軸でしたし、そこから巻や羽生なども含めたジェフ黄金期でも勇人は主軸選手でした。
ジェフユース黄金期からジェフ黄金期にわたって活躍した選手で、現在ジェフに残っているのは勇人だけということになると思います。
工藤や岡本は黄金期の少し下という印象がありますし、寿人はそもそもジェフ黄金期にはジェフに在籍していなかった選手です。
実際、ジェフが初タイトルを獲った2005年ナビスコ決勝のスタメンを振り返ると、この日はマリオ・ハースが不在で巻、ポペスク、羽生、山岸、坂本、阿部、勇人、結城、斉藤、ストヤノフ、立石の11人。
この中で、まだJリーグでプレーしてるのは阿部と勇人だけ。
阿部が最後まで残るということになればさすがだなといった印象がありますが、ジェフに残っていたのは勇人だけだったということにもなりますね。
勇人の引退に関しては引退発表時に長く文章を書いたので、そちらに譲ります。
栃木戦でも体を張ったプレーを見せていましたし、そういった姿勢から他選手も何かを感じてくれるといいですね。
あのプレーを見るとスタメンでもよかったのではないかとも思いましたが、ゲキサカの記事によると。
「スタートで出たかったのは本当だけど、足の状態が良くないということで、スタートで出られる状態じゃなかったのが情けない。エジさん(江尻篤彦監督)はスタートで使いたいと言ってくれたが、そこまで戻せなかったのに悔いが残る」
足のコンディションが良くなかったようです。
このあたりも、引退を決めた遠因の1つなのでしょうか。
勇人の今後が気になるところではありますが、サカダイの記事にも「現時点で詳しい職種は決まってはいない」と書かれています。
ジェフは退任の決まった江尻監督にも役職を用意するようですがまだ何をするのかは発表されていませんし、功労者が2人もタスクのはっきりしない状況になっていることになります。
そういった人たちが残ってくれるのは嬉しい一方で、うまく活かせるのかなという不安もありますね。
しかし、勇人は以下のようなコメントを出しています。
「ゆっくり休もうとはなりませんし、クラブが変化をしなくていけません。時間は待ってくれないので早く動きたいですし、休まずに次に向けて行動をしたいと思っています」
クラブのために、精力的に動きたいという意欲が非常に強いようです。
引退セレモニーのコメントを聞いても、ただジェフに残りたいというよりは、ジェフをどうにか変えたいという意思を感じました。
ファン・サポーターとしては、とても嬉しいことだと思います。
引退セレモニー前までは営業や事務方というタイプではないでしょうし、今からでもライセンスの勉強をしてコーチとして頑張った方が良いのではないかと思っていました。
コーチ業のほうが潰し効くし、もし将来ジェフを離れることになったとしても、他で働きやすいというメリットもあるのではないでしょうか。
また、勇人が裏方に徹してうまくいくイメージも、あまり浮かびませんでした。
ただ、引退後のコメントを聞くと、クラブの中でも現場ではなく、いわゆるフロントを変えたいという思いを感じたように思います。
そうなると確かに、指導者ではないのでしょう。
コーチや監督はあくまでもフロントに雇われた形となるでしょうし、自らフロントに入って内部から変えたいということなのでしょうか。
先ほどのゲキサカの記事にも、以下のようなコメントが出ています。
「このままじゃいけないと思うし、サポーターもファンも(セレモニーの)挨拶を聞いて我慢した部分があると思う。ぶつけたいものもあったと思うけど、我慢してくれた。そう言う思いも感じてクラブにはやってもらいたいし、今年は静かだったねで終わってはいけない。意図をくんで次に向けてやっていきたい」
(中略)
クラブとは「とことんぶつかっていきたい。これ以上、下に落ちていくことはさせたくないし、自分もそんなのは見たくない」との覚悟。
サポーターの前でも「上の方と話をする」と話していましたが、選手の中にもフロントに問題があるだろうという思いがあったということではないでしょうか。
しかも、それが長く在籍する勇人から伝わってきた。
勇人だからこそ気づけたという部分もあるのかもしれませんが、選手がフロントを変えたいと話したという事実は、クラブにとって非常に重いことなのではないかと思います。
果たして勇人がフロント入りをしたところで、どこまで変えられるのか。
特にフロントの問題がもし親会社にまで及んでいるのであれば、勇人1人で何かを変えるのは簡単ではないのかもしれません。
下手をすれば、勇人自身が厳しい立場に立たされる可能性もありえなくはないでしょう。
一方で多くのファンやサポーターは、長年そこに疑問や不満を感じてきたところがあると思います。
それだけにクラブのこと詳しく知っているであろう勇人が、クラブを変えたいという思いでフロント入りしてくれるのであれば、とても嬉しいことだと思いますし、少しずつでもその効果が出てくることを願うばかりです。
ただ、一方で選手人生、セカンドキャリアの方が長くなるわけですから、ジェフのことを思う気持ちはとても嬉しいですが、勇人にとって幸せな道を考えてほしいなとも思わなくもありません。
もちろん、それがジェフで叶うのであれば、それ以上のことはないですが…。
ひとまずお疲れさまでしたと言おうとしていたところですが、勇人本人は休むつもりはないそうで。
さすが、選手としてハードワークしてきた佐藤勇人ですね。
ならば、これからも頑張ってください。