2019シーズンを振り返る フロント・前編

 例年なら監督やチームに対して振り返りをスタートすることが多いですが、今年はフロントから振り返りたいと思います。
 というのも、単年や短期間での失敗ならチームや監督個人の問題と言える場合もあるでしょうが、ジェフは過去2年間クラブ最低成績を更新。
 そうなってくると、チームの人事も含めたフロントの責任が大きいといわざるを得ないでしょう。

 なお、尹監督の就任会見時にも、フロントに関しての話をしています
 そちらと重複する部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。

■過去5年で低迷しここ2年でJ2下位へ転落

 まず、単純な表になりますが、J2に降格してからのジェフの順位をまとめてみました。

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 毎年紆余曲折があるとはいえ、2010年から2014年まではトップ6に入っていました。
 それが2015年には9位にまでガクッと落ち、そこからは低迷。

 2017年もシーズン終盤こそ7連勝で一気に順位を上げましたが、Wikipediaに掲載されているその年の順位推移を見てもわかるように、終盤までは二桁順位で定着。
 過去の成績と比べて考えても、1年を通してみれば決して順調なシーズンとは言えませんでした。
 にもかかわらず、クラブ全体として最終成績だけを見て油断していた印象がありました。


 最終順位だけを見ると、過去5年で順位が落ち、特にこの2年間は大きく低迷して残留争い目前のところまで来てしまいました。
 しかし、長引くJ2生活とベテランを中心にした補強による若手育成の失敗もあって、徐々にチーム力が落ちていった部分もあるのではないでしょうか。
 それを考えると、ここ5年でチームが低迷したというだけではなく、それまでの流れも加味しなければいけない部分もあるのではないかと思います。

 それでもその流れを断ち切ることが出来ずに、むしろさらにチームを低迷させ、この2年でJ2下位にまで落としてしまった。
 しかも、経営面をみると「チーム人件費」は公開されてから、一昨年、昨年と最高額を更新しており、「営業費用」全体でも近年に比べて大きな金額となっています。
 ようするに、多額の資金を使用したにもかかわらず、ジェフは光明を見いだせずさらに低迷してしまったことになります。


 具体的な方針の面で言えば、一発クリアばかりを狙って、チームや選手を育てるという発想を感じなかった。
 地道にコツコツとベースを作っていこうという意思も見られなかった。
 それによってチーム状況はさらに悪化し、途中の大幅入れ替えによるダメージも残って、J2下位にまで落ちてしまったのであはないでしょうか。

 前田社長と高橋GMが就任したのが2016年からであることを考えると、全てが2人の責任というつもりはないものの、せめてこれまでの分析・反省を示してほしいところでした。
 しかも、監督のタイプが大幅に異なる可能性がある尹監督が就任しても、そういった話は一切なし。
 また、前田社長も怪我をされた退任が決まったということで、このクラブ事情を説明することもなく来季に進むことになりそうです。

エスナイデル監督の早期解任と江尻監督の就任

 ここから具体的なチーム運営の話になっていきますが、まず前提としてサッカーのチーム作りにおいて監督選びというのは、非常に大きなウェイトを占めるということを改めて感じた1年だったように思います。
 J3では北九州の小林監督、藤枝の石崎監督など実績あるベテラン監督で上位を占めたことが話題となりましたが、J2でも戦力は大きく変わらなかったにもかかわらず、横浜FCの下平監督や京都の中田監督が就任したことで一気にチームを押し上げています。
 逆に福岡は井原監督、東京Vはロティーナ監督が退団して迷走した印象もありますし、優秀な監督を引き当てることがクラブの成功における一歩と言っても過言ではないと思います。

 単純に考えても選手を数人入れ替えてもチームは大きく変わらないことが多いですが、監督を1人変えれば大幅にチームが変わる可能性は高い。
 それだけに現在のジェフフロントに対して「良い選手は集めているのだけど…」という意見も聞きますが、肝心の監督選びを失敗したのであれば言い訳にはならないと思います。
 選手というのは予算があればそれなりに集められるのではないかと思いますし、そもそも今の戦力を見ると本当に良い選手たちなのか…というと疑問も残る印象です。


 その監督招聘の面で、ジェフは大きな失敗を犯したと言えるでしょう。
 エスナイデル監督からバトンを受けた江尻監督は、チームを引き上げることが出来なかった。
 だから、エスナイデル監督解任は失敗だったという意見もあるようです。

 しかし、うまくいかない監督に見切りをつけるのはクラブにとって重要な意思決定であり、問題はその後に優秀な監督を見つけられるかどうかでしょう。
 要するに、江尻監督がだめだったからエスナイデル監督を続投すべきだったではなく、エスナイデル監督の後に良い監督を見つけられなかったことが問題だと言えるでしょう。 
 そこは別々に考えるべきではないと思います。


 では、なぜエスナイデル監督の後任に良い監督を探せなかったのかと考えると、シーズン中の解任だったことも大きいのではないでしょうか。
 2017年末に関しては終盤の7連勝でPO進出を果たしましたし、まだ1年目だったことを考えてもエスナイデル監督継続という判断は問題なかったと思います。
 しかし、内容としてはハイプレス・ハイラインが1年目から熟成できず、シーズン終盤の7連勝も堅守速攻で結果を残していた。

 ようするに、本来やりたいサッカーは1年目の時点で、すでに厳しいものだとわかっていた。
 その状況で2年目はさらに酷い試合内容が続き、成績面でもクラブ史上最低成績を更新してしまったわけですから、その状況で解任しても全くおかしくはありませんでした。
 にもかかわらず、それでも今年も監督を続投し、背水の陣で臨んだ今年も勝ち星を上げられずたった4試合で解任となったわけですから、フロントの博打は大きく外れたことになります。


 そもそもとして、その博打を打ったという判断が、フロントの大きな過ちだったといわざるを得ないでしょう。
 大敗が2試合あったとはいえ第4節という早い段階で監督解任したことからも、内部ではすでに厳しい評価を持っていたのではないかと思いますし、昨年末で監督を交代することもできたはず。
 オフに交代していれば監督の選択肢も増えてた上、新監督の下での準備もしっかりと出来たはずですから、その損失は非常に大きなものだったと思います。

 エスナイデル監督に関しては監督解任時などにも取り上げているのでそちらもご覧いただければと思いますが、さらにその後の江尻監督選定も失敗だったということになるでしょう。
 監督交代時に、高橋GMは昨年の段階から後任候補だったこと。
 そして、江尻監督にスタイルの継続を期待していると話しています

 しかし、エスナイデル監督は、西欧風のアグレッシブなハイプレス・ハイラインサッカー。
 江尻監督は前回監督時も日本風の全く違ったサッカーをしていたわけで、スタイルの継続を求める後継者として計算するには無理があった。
 スタイルの継続を受け入れようとした江尻監督にも問題はありましたが、それを指示した高橋GMの判断にも問題はあったと思います。


 本当に「主導権を握るサッカー」を目指していたのであれば、そういったサッカーを他チームで展開していた監督かエスナイデル監督の側近を後任として選ぶべきだったのではないでしょうか。
 ジェフに長らく在籍する江尻監督を就任させてスタイルの継続を求めても、ただ都合がよかっただけではないかと思えてしまいます。 
 それに加えてさらに来季はスタイルの異なる尹監督招聘するとなっては、ますます「主導権を握るサッカー」にこだわり、江尻監督にも要求した意図が分からなくなりますね。

 ジェフにとって江尻監督は大事な功労者の1人だったわけですから、せめて自由に指揮をとらせてあげるべきだったのではないでしょうか。
 二度目の火消しを命じられた上に、スタイルの継続まで要求したというのであれば、いいように扱っているように見えてしまいます。
 しかも、そのスタイルは発起者であるエスナイデル監督自身も最後まで構築できなかったわけですから、それを継続しろと言う方が無理があると思います。

 残念ながら今年1年の監督動向を振り返ると、監督を見る目がなかったように思いますし、礼を重んじることもできなかった印象です。
 そういった分析力の問題がこの順位に表れてしまったのではないかと思いますし、そのあたりが強化部のセンスと言えるところではないかとも思います。
 そして、この低迷の分析も有耶無耶なまま来季に駒を進めることとなりそうで、今後においても不安が付きまとう状況と言えるのではないでしょうか。