高橋壱晟のジェフ復帰が決まりました。
山口、山形と2年間レンタル移籍したホープの復帰ということにはなりますが、レンタル先では活躍できていないだけに複雑な思いがありますね。
高橋は「ジェフが苦しんでいる姿を見るのは悔しかった」と嬉しいことを言ってくれていますが、姿が見えない分高橋の方がむしろ心配でした。
ジェフでもこれで契約満了となっても、驚きではなかったようにすら思います。
青森山田で活躍した高橋は2017年にジェフに入団すると、高卒ながら開幕スタメンを果たしインサイドで思い切りのよい仕掛けを見せてくれました。
しかし、攻撃の幅が少ないこともあり相手に対策を取られると苦戦していき、シーズン後半は矢田の加入もあってほぼ試合に出場できない状況となりました。
結果、1年目の高橋は23試合出場2ゴールの結果を残していますが、最後のスタメンは7月16日の熊本戦でそれ以降は途中出場の2試合にとどまっています。
2018年には山口に移籍しますが、スタメン4試合、途中出場6試合の合計10試合しか出場できず得点もなし。
そして、2019年は山形に移籍しますが、リーグ戦、天皇杯あわせて1試合も出場できず。
それどころか、山形では控えメンバーにも入れずに終わっているはずです。
今季のジェフは岡野、溝渕、高橋、杉山、古川など若手をレンタル移籍させていますが、その多くがまとまった出場機会を得られず。
特に高橋はジェフのライバルにもなりうる山形に移籍したことになりますが、チャンスをもらえず"塩漬け"状態となってしまいました。
結果的にジェフはそれによって若手の眼を摘まれたとも言えるでしょうが、それで相手を責めることはできず、そもそもジェフが若手の育成を放棄し他チームに任せたことが大きな問題だと思います。
2017年の高橋は斜め45度付近からの思い切りのよい仕掛けもあり、パワーがあってシュートも大きな展開も見せ、当たりの強さにも可能性を感じました。
しかし、一方で小技や守備面においては課題が残るためボランチとしては厳しく、スピードがないため2列目のアタッカーとしても物足りなさがあったと思います。
当時も話しましたが、印象としては熊谷に近く、ポテンシャルを感じる部分はあるものの、総合的には粗さも目立つ選手といった印象です。
今回、ジェフに復帰となったのも約2年半活躍できず、昨年は試合にすら出場できなかったため、レンタル先候補が限られていたことが大きいのではないでしょうか。
尹監督に変わったことで選手の選考基準が変わる可能性もありますし、育成面にも期待したいところではあるとは思います。
しかし、育成面も尹監督に丸投げするというのであれば、それはそれで問題があるのではないかとも思ってしまいます。
高橋は高校卒業直後から可能性を見せていたため、期待されている人気選手といったイメージです。
しかし、そこから2年半、クラブも変わり、監督が変わっても試合に出られない状況は変わらなかったわけですから、厳しく言えば現段階では実力不足と言うことになるでしょう。
そのため、来年もダメなら契約満了も当然見えてくると思いますし、勝負の年どころか背水の陣と言えるのではないでしょうか。
あるいは、吉田などもレンタル先の町田から一度はジェフに復帰したものの、3月には愛媛に再レンタルとなっています。
高橋も今年1年を待たずにJ3などに再レンタルという展開もあり得なくはないでしょうから、早期に可能性を示さなければいけないかもしれません。
もちろん尹監督になって選手はフィジカルやサイズを求められることになるのかもしれませんし、そうなれば高橋にもチャンスがあるかもしれませんが、実績はないわけですし相当なアピールをしなければいけないのではないでしょうか。
一方で高橋に関して思うのは、もしじっくりと選手を育て、焦らず若手を見守ることが出来るクラブに加入していれば、もう少し落ち着いて成長することもできたのではないかということ。
武者修行による成長の可能性も完全には否定しませんが、高卒新人が3年間も毎年違うクラブを渡り歩くことが、選手の成長につながるとは考えにくいように思います。
それだけジェフは育成がうまくいっていないし、バタバタとした計画性のないチーム運営をしている結果、そのしわ寄せが選手にきているのではないかと思ってしまいます。
やはりそこにいる選手や関係者のためにも、安定した確固たるチーム運営を目指すことが何よりも大事なのではないでしょうか。
その場その場の楽しさや一時の高揚感などに惹かれるだけではダメで、冷静にクラブの将来を見据えていかなければいけないのではないかと思います。
そうでないと、ジェフに関わるみんなが不幸せになってしまう状況になりかねないですからね…。
