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選手入れ替えの少ないオフと2020年の選手構成

 新体制発表会も終わり、大方の選手構成が決まったといっていいのでしょう。
 ジェフとしては、選手の入れ替えが少ないオフだったと言えるのではないかと思います。
 結果的に退団者も少ないため、サポーターの心理状況としては悪くないオフだったということなのかもしれません。

 しかし、退団者が少なければ、補強も少なくなるのも自然な流れ。
 特に近年のジェフは移籍金なしでの補強が多い一方で人件費は高騰しているため、それだけ1人1人の年俸は高く固定費の割合が高くなっていることになります。
 その状況で多くの選手が残留すれば、当然新規加入は少なくなります。


 選手の入れ替えの必要性は、大きく考えて以下の3つが考えられると思います。

■2年連続で過去最低成績を更新していること

 エスナイデル監督、江尻監督に問題があったとはいえ、2人の監督をまたいでも成績を上げられなかった。
 しかも、一昨年は14位、昨年は17位とJ2でも大きく低迷しているわけですから、選手側に全く問題がなかったとは思えません。

 実際、J2のベストイレブンなどを考えても、ジェフの選手は候補としても考えられませんでした。
 本当に戦力はあるチームなのであれば、J2下位に低迷しても特出した選手が出てくるものですが、そういった選手も現れなかった。
 むしろ頼りないとすら感じることが多かったわけで、決して戦力的に満足できる状況とは言えないと思います。

■スタイルの変化とバランスの悪い構成

 監督が変われば選手への要求が変わるのも当然で、特にジェフは攻撃志向のエスナイデル監督から守備志向の尹監督に移ったことになります。
 その状況で選手が入れ替わらなければ、尹監督の望むプレーと選手の得意とするプレーに乖離が生まれかねない。
 尹監督はやりたいサッカーがはっきりしているからこそ、それに合わせた選手構成がしやすい一方で、それに合わなければ弊害も起きやすいと考えられると思います。

 また、以前にも取り上げた通り、そもそも昨年のジェフは選手構成のバランスが悪く、前線や2列目には守備のできない選手が多く、ボランチやSBも攻撃的な選手ばかり。
 これが高橋GMも話していた「バランスの悪い」チームになった原因の1つではないかと思うだけに、そこにメスを入れないというのは大きな問題ではないかと思います。

■主力の高齢化がさらに深刻化する懸念

 先ほどのリンク先でも書いたように、ジェフの高齢化は深刻化しています。
 昨年一時期のJ2でスタメン平均が30歳以上だったのは横浜FC甲府とジェフのみでしたが、2位横浜FCはJ1昇格しつつ若手を補強をしている印象で、5位の甲府もベテランがごっそりと退団しました。
 にもかかわらず、17位に終わったジェフの動きの少ないわけですから、異様な状況とすら言えるのかもしれません。

 昨年のジェフは30歳以上の選手が10人いたわけですが、そのうち退団したのは引退した勇人のみ。
 選手が替わらなければ全体的な平均年齢はまだ1歳増すわけですから、さらに深刻な状況となりかねません。 
 もちろん新卒やレンタルバックの選手によって全体の平均年齢は若干下がったかもしれませんが、大事なのは戦力となりうる選手の平均年齢だと思います。


 では、なぜ入れ替えなかったのかと考えると、尹監督に頼って既存の選手でも戦えると判断した可能性もありますが、入れ替えたくても入れ替えられなかったのかもしれません。
 増嶋、ゲリア、安田など戦力外候補も残りましたし、雑誌にもジェフは複数年契約の選手が多いと書かれていたようですから、契約が残っていたため解雇できなかったのではないでしょうか。
 ベテラン選手にとって複数年契約の提示はありがたいものですし、選手獲得時にそれをダシにして交渉をしていた可能性があるわけですが、一方でそれによって身動きが取れなくなったのであれば重大な失策だと言えるでしょう。

 また、公表された人件費から見ても、ジェフは1人1人の年俸が割高になっていると思われます。
 それによって補強を優位に進めてきたのではないかと思いますが、契約が残っている上に年俸も割高なのであれば、移籍金やレンタル料も高くなるため他チームにも放出できない。
 特に残留発表が遅くなった矢田や鳥海などは移籍先を探していたのではないかとも思いますが、良い移籍が先が見つからず入れ替えの少ない状況になってしまったところもあるのではないでしょうか。


 最後に選手の入れ替えと、選手構成を見ていきたいと思います。

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 レンタルバック、特別指定からの加入、チャンも含む新卒選手も加えればそれなりの人数になりますが、特別指定選手は昨年から約半年はチームに加わっていました。
 また、レンタルバック、新卒の選手は実績が浅く、どこまで戦力として計算すべきか怪しいところがあります。
 見木、岡野、チャンあたりには期待もかかる状況かとは思いますが、少なくとも大型補強とは言えないでしょう。

 レンタルバック、新卒で若い選手が加入している印象もありますが、一方で乾(23)、ベラスケス(22)、大野(26)と比較的若い選手が放出されています。
 また、溝渕(25)、古川(20)、杉山(20)といった、若手の再レンタルも目立つオフとなりました。
 若手を自チームでは育てずレンタルに任せる傾向も含めて昨年から変わっていない印象ですが、これだけベテランが残留してはそうせざるを得ないでしょうし、やはり入れ替えが少ないことがそもそもの問題ではないかと思います。


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 続いて選手構成の一覧。
 現段階での年齢も記載しましたが、やはり主力候補は比較的年齢層が高い印象を受けます。

 まだポジションが読めない選手もいますが、新体制発表会での尹監督の話から、田口、小島、熊谷、田坂などはボランチ候補にあることが分かりました。
 逆に工藤などは他のポジションなのかもしれませんし、矢田、鳥海などは名前も挙がっていなかったのでやはり放出候補だったのかもしれません。
 もっとも放出候補であっても、実際にチームが始動すれば戦力となることも珍しくない印象ですが。


 改めてみると、やはり全体的に守備のできる手が少ない印象です。
 センターラインを強化したということで、田口などを補強したことになるのでしょう。
 しかし、田口や熊谷なども決して守備でハードワークが出来るタイプではない印象だし、小島、田坂、工藤などもフィジカル面では不安が残る。

 さらにDFラインも補強が少なく、もともとCBは戦力不足な印象があったところにエベルトも退団が濃厚。
 他の外国籍選手を補強するのかとも思ったのですが、高橋GMによると今後あり得る補強は攻撃的な選手とのことで、守備的な選手の補強は打ち切りのようです。
 左右SBも年齢層が高くコンディションなどに不安が残り、攻撃的な選手が多い印象です。


 状況からすれば、CBは岡野やチャンの成長に期待。
 前線や2列目はアランや山下のハードワークによって、サポートを期待することになるのでしょうか。
 ボランチに関しては悩ましいところですが、組織的にバランスを築き上げることが第一となる一方で、それだけでは限界もあるでしょうから、鳥海などのコンバートもありえるのかもしれません。

 いずれにせよ、入れ替えが少ない分、選手の方でプラスとなる部分を期待するのは難しいのでしょう。
 その分を、尹監督の指導力で賄うことになるのかもしれませんが、果たしてそううまくいくのかどうか。
 まずはここが新チームのスタートということになりますね。