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2019シーズンを振り返る 鳥海晃司編

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 2018年に明治大からジェフに加入した鳥海は、プロ入り初年度に24試合出場。
 2年目となる2019年も24試合に出場しましたが、スタメン出場は前年より1試合少なく20試合で、出場時間も2042分から1849分に減少しています。
 数字からいえば、伸び悩んだ状況ということになるのかもしれません。

 2019年のシーズン序盤はスタメン出場の機会がなかった鳥海ですが、5月5日の甲府戦で増嶋に代わって初スタメン。
 そして、6月9日の栃木戦から9月7日の新潟戦までレギュラーとしてプレーし、15試合連続でスタメン出場を果たしています。
 その間、チームは3バックから4バックに変更しましたが、鳥海は変わらずレギュラーポジションを維持し続けており、この時期のCBでもっとも試合に出ていた選手だったことになります。


 しかし、6試合勝ち星なしというチームの成績不振もあってか、9月14日の水戸戦でスタメンから外れると、そこからピタッと鳥海の出場機会が遠のいていきます。
 このあたりが江尻監督の若手育成方法に疑問を感じるところで、江尻監督は前回監督時もそうでしたが、若手選手を一度メンバーから外すとそこからチャンスを与えることが少ない印象です。
 結局、2019年の鳥海はそれ以降、CBでスタメン出場することはありませんでした。

 しかし、鳥海は10月12日の長崎戦で、ボランチとしてスタメン出場を果たします。
 これに関しては、チームとして中盤の守備に不安があったことで、守備力のある鳥海をボランチ起用したということなのでしょう。
 そこから3試合、ボランチとして出場を果たし守備面では貢献していたように思うのですが、その後は再び出番がなくなり、それ以降はベンチにすら入れずに終わってしまいました。 


 鳥海はジェフでは数少ない、クレバーな選手だと思います。 
 フィジカル面で劣っていることを把握した上で、相手選手との間合いやタイミングで勝負してボールを奪う。
 ジェフはDFに限らず、ともかく相手選手に一直線にぶつかりにいこうという守備をする選手が多いだけに、鳥海は貴重な存在だと思います。

 さらに、ボランチに入ってからは、以前も話したように、DFラインに空いたスペースをうまくカバーしていました。
 本来はチームの約束事としてカバーリングしていくべきだとも思うのですが、他のボランチが出来ていなかった動きだっただけに、鳥海の自己判断が光った部分だと思います。
 それだけ、中盤に守備センスのある選手が少ない状況だったとも言えるのでしょう。


 ただ、CBとしては、確かにサイズ面で物足りなさがあるのかもしれません。
 特にシーズン終盤は188cmの新井と191cmのエベルトがレギュラーとなっていましたし、江尻監督は高さを重視している部分もあったように思います。
 鳥海も182cmあるはずですが、身体的に横幅がないのかフィジカル的な問題か、全体的にパワーが足りていないようにも見えました。

 また、ボランチとしては、ビルドアップの部分に大きな課題が見られました。
 単純な足元の技術はあると思うのですが、なかなか中盤でボールを受けても前を向けない。
 あるいは、前を向けたとしても、そこから縦に繋いだりサイドに大きく展開して、自分からゲームを作るということが出来なかった。


 そういった課題もあって、ボランチとしても3試合で終わってしまったのかなと思います。
 ただ、CBとしてはもう少しパスを繋げていた印象もありますし、急遽決まったボランチ起用だったわけですから、もう少し見守ってあげてほしかった。
 乾の起用方法などもそうですが、そういったところで我慢してあげる、周りがサポートしてあげるといった環境を作れなければ、選手はもちろんのこと、チームとしても成長は難しいように思います。

 これは監督だけの問題ではなく、周囲の選手に対してもそうだし、サポーターなど観客にも問われる部分なのかもしれません。
 ピッチ上でも鳥海に関しては、かなり厳しく周りの選手が当たっていた印象があり、それが叱咤激励ではなく責任のなすりつけのようにも見えてしまいました。
 成績が伸びずにイライラしていたところもあったのかもしれませんし、プロ経験は長いものの主軸としてチームを引っ張ったことのない選手が多いため、余裕のなさが見られたのかもしれません。


 しかし、そういった状況が目立つようでは、チームとしての"脱皮"は難しいのではないかと思います。
 鳥海に関しては、契約更新を発表されたのが1月5日と遅かったということで、移籍先を探していた可能性もあるのではないでしょうか。
 さらにその後の新体制発表会でも名前が上がりませんでしたし、現段階でどこまで期待されているのか怪しいところがあります。

 尹監督がCBやボランチにサイズやフィジカル面を求めるのであれば、鳥海の立場は厳しくなるかもしれません。
 ただ、クレバーな守備が好きな監督なのであれば鳥海にもチャンスはあるかもしれませんし、ボランチもともかく守備力が最優先だということであれば出番が回ってくる可能性もあるのでしょう。
 鳥海も今年で25歳ということで中堅年代に入っていきますが、ジェフの中では若い部類に入りますから、何とか踏ん張って活躍してほしい選手ですね。