2018年8月に横浜FMからジェフへレンタル移籍で加入し、2019年から完全移籍となった下平。
2018年加入後は乾から左SBのポジションを勝ち取り、2019年も開幕戦でスタメン出場を果たしました。
しかし、シーズン序盤は、あまり良い出来ではなかったと思います。
チームの問題もあったのでしょうが、本人もコンディションが悪かった印象で、動きが重くキレがなかった。
守備で苦戦したことで、攻撃に転ずることができなくなり、さらに押し込まれて持ち味である攻撃面を活かせない…という悪い流れになっていた印象です。
そのため、江尻監督就任後も当初はスタメン出場していましたが、4月14日の岡山戦でスタメンを外されると、そこから7月14日の岐阜戦までスタメン出場なし。
これは江尻監督が就任して、当初は3バックで戦っていたことも大きかったのでしょう。
3バックのWBはスピードやアップダウンする運動量、1対1での仕掛けなどを求められるため下平には合わず、為田を中心に乾、安田などが下平にかわって出場することとなりました。
しかし、4バックになると下平が再びレギュラーポジションを勝ち取り、7月14日の岐阜戦から最終節までスタメン継続となりました。
特に夏場は左サイドがジェフの攻撃におけるストロングポイントとなっており、下平の貢献は大きなものだったと思います。
為田は仕掛けは得意でもクロスの精度がもう1つだったこともあって、結果的に下平の方が相手の脅威になっていた印象でした。
下平はクロスのレンジが広いため、サイドをえぐってからのクロスだけでなく、アーリークロスであってもピンポイントなボールを供給することが出来る。
夏頃からターゲットのクレーベも調子を上げてきたこともあって、下平のクロスからクレーベのヘディングというシンプルな攻撃だけで大きな武器になっていた印象です。
また、タイミングの良い飛び出しからのクロスだけでなく、左後方の下平から斜め前方への縦パスもあって、ビルドアップ面でも貴重な存在となっていたように思います。
ただ、シーズン終盤には、下平からの攻撃も勢いが落ちていた印象でした。
下平はクロスの精度は高いものの相手を抜き去るドリブルはないため、左足のクロスさえ警戒しておけば怖さは半減することが読まれて、他チームに対策を取られ苦戦していったように思います。
実際、Football LABの算出によると、アシスト数は3と伸びませんでした。
また、守備面でも相手チームから狙われていた印象で、下平はスピードに不安があるためか、中に絞りがちなポジショニングをする分、外のスペースを狙われることが多かった。
さらに175cmで空中戦は意外と強さがあるものの、ドリブルへの対応や相手の飛び出しへの追走など、地上戦では弱さがある。
左SHの為田が守備に不安があることもあって、守備で押し込まれて攻撃でていけない場面が増えていきました。
これはシーズン序盤も同じで、シーズン終盤もコンディションが落ちて苦しんでいったのかもしれません。
31歳という年齢もあって、フルシーズン調子を維持するのが難しくなっているのかもしれない。
さらにコンディションが落ちると、落差が大きいタイプなのかもしれません。
それでもシーズン中盤の活躍は見事でしたし、今年も主力候補となるのでしょう。
乾も水戸へレンタル移籍してしまいましたし、ライバルとなるのは安田となるのではないでしょうか。
G大阪ユース出身で倉田と同期の下平は、同じくユース出身で1歳上の安田とG大阪でポジションを争った間柄ですが、その2人がジェフで再び相まみえることになるのかもしれません。
2人がレベルの高いポジション争いをしてくれれば、チームの活性化にもつながるのかもしれません。
ただ、下平と安田がG大阪でポジションを争ったのは、2006年から2010年まで。
今から10年以上も前の話でそれだけ2人も年齢を重ねているわけですから、それを考えるとやはり複雑な気持ちもありますね。
とはいえ、大事な戦力であることに変わりはないと思いますし、尹監督の下ではまず守備面で対応ができるかどうか。
守備の方法や約束事も変わってくるはずですから、それに応じたプレーができるのかが求められるところなのではないでしょうか。
安田は尹監督の下でプレー経験がありますし、その点では一日の長があるかもしれない。
しかし、下平には左足からのクロスという大きな武器があるわけですから、出来ればチームにおいておきたい選手と評価されるかもしれません。
とはいえ、2019年の安田もチャンスメイクで見せていましたし、起用方法によっては再び輝くかもしれない。
10年の時を経て、安田と下平のポジション争いがどういった結末を生むのか注目ですね。