ジェフのキャンプも終盤に差し掛かっており、ちばぎんカップまであと2週間を切っています。
さらにその2週間後にはJ2開幕ということで、新シーズンの幕開けももう間もなくとなってきました。
出来ればちばぎんカップまでにチームの予習もかねて、2019シーズンの振り返りを済ませたいと思っています。
2013年までジェフでプレーしていた米倉は、その後G大阪に移籍しますが2019年7月にジェフへと復帰。
そして、8月10日の愛媛戦でスタメン出場すると、そこから最終節まで右SBでレギュラーポジションを維持し続けました。
昨年はレンタルでの加入で今オフに完全移籍となりましたが、これは初めから決まっていた流れでしょう。
復帰報道は以前からありましたし、2019年から溝渕がレンタル移籍した頃には、米倉獲得の方向で動いていたのかもしれません。
そう考えると米倉と溝渕は並び立たないという考えがあるのかもしれませんし、今オフに再レンタルした溝渕はこのまま退団となる可能性が高いのでしょうか。
しかし、米倉は31歳で、もうベテランの域。
他の右SB候補は32歳の安田と外国籍選手のゲリアぐらいですし、次世代の右SBがいないことになります。
右SBのポジション一つをとっても、フロントが将来をどのように考えているのか、不安に感じるところがありますね。
ジェフに加入した米倉は、以前のような鋭いクロスでチャンスメイクを狙っていました。
スピードとパワーのある右足でのクロスは、日本ではあまり見られないボールだと思います。
しかし、全体的に考えると、昨年の米倉はそこまで目立った活躍は出来なかったといえるのではないでしょうか。
苦戦した要因の1つには、チームとして左サイドの攻撃がメインになっていたことが考えられます。
2013年に鈴木監督が米倉を右SBにコンバートした際には、左サイドでタメを作って右サイドにオープンな展開を作り、米倉のスプリント力とクロスを活かすチームを作っていました。
しかし、今回は左サイドに人数を集めるものの、右サイドから攻撃する際には右SHが外に張り出すことが多く、米倉が飛び出すスペースは作れずに終わった印象です。
もう1つには、単純に米倉のプレーの問題。
もともと縦へのダイナミックなスプリントとアップダウンで活躍していた選手ですが、あれから6年も経ったことでスピードやスタミナには陰りを感じる部分がありました。
そのため、以前ほど右サイドを縦に走り込む回数が減り、プレー全体も目立たなくなってしまったように思います。
また、G大阪に行って守備を学んだと話していましたが、守備も考えるようになった結果、飛び出す回数が少なくなった面もあると思います。
特に米倉の場合は、CBの隣にぴたりと張り付くようにポジショニングするようになった。
それがG大阪で学んだ守備の変化なのでしょうし、CB横に並びCBに近い守り方をしていたため、江尻監督は試合途中から3バックの右CBを任せた試合もあったのだと思います。
確かにそれによって、以前のようにぽっかりと右サイド後方が空くことは減りました。
しかし、中に絞る分外の選手を空けがちだったし、そこからの対人守備に関しては相変わらず課題が多かった印象です。
守備に関しての課題が多いことも、活躍しきれなかった原因ではないでしょうか。
さらに、クレーベとの相性が良くなかったことも、大きなポイントではないでしょうか。
米倉のクロスはスピードのあるボールをスペースに供給して、そこにFWが飛び込む形が最もゴールに近い展開だと思います。
そして、米倉がブレイクした2013年のジェフには、ダイナミックに前へ飛び込めるケンペスがいた。
しかし、クレーベは前を取る動きは得意ではなく、相手と同時にジャンプして打点の高いヘディングシュートが武器となるFW。
そのため、自分の前へボールを供給するのではなく、ピンポイントで上に供給してほしいタイプだと思います。
だから、スピード系のクロスを上げる米倉よりも、テクニック系の下平のほうが相性が良かったのでしょう。
FWとの相性などもありFootball LABの計算だと、2013年の米倉は11アシストしているのに、2019年は1アシストのみ。
さらに米倉自身もあまり飛び出せていないので、ゴール数も2013年は6ゴールでしたが、2019年は1ゴールにとどまりました。
ハーフシーズンとはいえ、1ゴール1アシストという成績はさみしいものだと思います。
あるいは、以前ほど爆発力のあるスプリントが出来ないのであれば、周りを活かすプレーだったり、味方のために動くプレーを増やしていかなければいけない。
しかし、そういったプレーは未だ得意ではない印象で、その点では安田などの方がベテランらしく器用なプレーが出来るようになったのではないかと思います。
どうしてもベテランになればフィジカル勝負では厳しくなるはずですから、賢いプレーも取得しなければいけないのではないでしょうか。
状況から考えればチームを引っ張っていかなければいけない存在だとは思うのですが、基本的には活かされる側で飛び道具感の強い選手だと思います。
それだけに、例え"チームの顔"にはなれたとしても、"チームの中心"になるイメージはあまりつかないタイプですね。
だからこそ、2013年に鈴木監督がチームとして、米倉を活かす形を作ったのは正解だったのだろうと思います。
そういった、米倉のタイプや性格もあって、今年もキャプテン・副キャプテンには選ばれなかったのでしょうか。
ただ、あれから7年も経ち米倉ももうベテランなわけですから、チームや周囲に頼っていられないと思います。
自分からチームを動かしていくか、黒子になって周りを助ける存在になっていかなければいけないはずで、はたしてそれが出来るかどうか。
G大阪時代も短期的に活躍できたことはあったものの、"チームの中心"になれたわけではないと思います。
ある意味で今年がもっとも、米倉というサッカー選手に問われるものが大きい年となるのかもしれません。
昨年のような存在感では今後も中途半端なまま終わるでしょうし、ジェフを引っ張る存在になれるかどうか、大きな岐路に立たされているのかもしれません。