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長期離脱から田坂が復帰し柏戦でスタメン出場

 昨年右膝前十字靭帯を損傷し、全治7か月の大怪我を負った田坂が、ちばぎんカップでいきなりのスタメンを果たしました。
 まずは復帰、おめでとうございます。

 ちばぎんカップを見る限り、ジェフは前線からある程度追いかけてコースを限定し、相手の左サイドにボールを展開させる。
 そして、左サイド後方で相手選手がボールを持ったら一気にプレスをかけ、それに周りの選手が連動して動く守備を狙っていたように思います。
 そのファーストディフェンスを任せるために、田坂が右SHで選ばれたのではないでしょうか。


 田坂自身は頑張っていたとも思うのですが、もう一歩寄せが甘い場面も何度かあった印象です。
 復帰直後というのもあるのかもしれませんが、万能なプレーヤーではあるもののもともと守備的な選手ではないですし、そこまで守備で多くを期待するのは難しいのかもしれません。
 しかし、他に守備的なSHがいないため、大ベテランの田坂にその重役が回ってきたのではないかと思います。

 例えば45分には船山と囲いに行ったプレスが甘く、間を取られて三原にフリーでボールを持たれてしまいました。
 この日のジェフは連動して守る守備を目指しているせいか、同時にプレスに行って動きが被ってしまうことも多かったですね。
 千葉テレビで解説をした勇人も話していましたが、1人が寄せに行って1人がカバーするのが守備の基本だと思いますし、この辺りは連携が深まれば改善するのでしょうか。


 また、50分にも田坂の寄せが一歩甘く、江坂にクロスを上げられる場面がありました。
 これに関しては、体力的な問題もあったのでしょうか。
 ただ、他に守備的なSHが少ないだけに、スタミナ面も含めて悩ましい問題ですね。

 今回は45分の場面を図にしてみました。

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 目立たないシーンですが、ここも見どころが非常に多く、まずクレーベがチェックに行ったもののかわされ、船山が代わりに追いかけて行きました。
 そして、古賀のところで、船山と田坂がプレスに行くのですが、簡単にかわされ三原に繋がれてしまいます。
 三原は大きくサイドチェンジして、高橋がボールを受けて攻め込むという流れでした。


 前半終了間際で2点差がついていたこともあって、高橋は無理に攻め込まなかったので、大きな問題にはなりませんでした。
 しかし、黄色い四角で示した通り、逆サイドには大きくスペースがあった。
 柏はこの場面に限らず、左右の開いたスペースを狙っていた印象がありましたね。

 今季のジェフはプレスに連動して、他の選手も寄せていき、全体をコンパクトに守ろうとしています。
 それによってボールのあるエリアは選手が密集しますが、逆サイドなどは空いてしまうことが多い。
 だからこそ、局面の寄せが大事で、そこでボールを奪わないにしても簡単には展開させないようにしなければいけないはずですが、クレーベや田坂などに限らずそこが足りていなかった印象です。
 

 また、この場面では古賀に田坂がプレスに行った動きに連動して、米倉もボールサイドに近い瀬川へ寄せに行っています。
 これが試合後に書いたプレスに連動した2人目、3人目の動きで、こうやって周囲の選手もしっかりと捉えることで、近くにパスを出させない守備を狙っているのだと思います。
 しかし、柏のインサイド江坂はその動きをしっかりと分析し、その裏を走り込んでいきました。

 この動きに対して、対面の熊谷がつられて下がってしまった。
 これとクレーベ、船山がスタートポジションにいなかったこともあって、黒い四角のエリア…ようするにFWとMFの間が、ぽっかりと大きく空いてしまったことにもなります。
 SB裏や中盤を取られないようにするためにも、やはりプレスに行った時には局面への圧力が必須ですし、特に2人以上で囲った時には躊躇なく潰しに行かなければいけないと思います。


 私も立ち上がりは良いプレスが出来つつあるのかなとも思ったのですが、それは柏がジェフの出方を見ていたか、ジェフの守備に戸惑っていたところがあったのかもしれません。
 しかし、上記のようなシーンではしっかりプレスの弱点を突くなど、ジェフのプレスに慣れて対策を取っていった。
 こうやって相手に研究されていくのでしょうから、その後にどう戦うのかも重要となってきますね。

 田坂に関しては、川崎から加入した時に「町田の穴埋めではないか」という話をしていたのですが、それが1年越しに当たったことになるような気もします。
 そして、尹監督はやはりSHに、何でもできるオールラウンドな選手を置きたいのだろうなとも感じました。
 プレスのスタートにもなる上、攻撃時もサイドで三角形にパスを繋いで、持ち上がる狙いのようにも見えましたから、SHにはより中盤的な仕事を期待したいのでしょう。


 ただ、問題なのは、そういったタイプが少ないことではないでしょうか。
 為田、堀米などは純粋なアタッカーといった印象ですし、田坂も工藤もベテランでコンディションなどには不安が残るかもしれません。
 田口や小島などを、SHに回すことなどもあり得るのでしょうか。

 しかし、ひとまずは田坂が、どれだけ多くのタスクをこなしてくれるのかという状況なのかなとも思います。
 ただ、ベテランですからうまさはあるけれど、プレスをかけるアグレッシブさやスピード感はもう1つだったようにも見えました。
 そこをどう補うのか…ということになるのでしょうか。