ちばぎんカップでは、左SBに安田、左SHに堀米がスタメンで選ばれました。
昨年は下平と為田のコンビが一時ジェフのストロングポイントとなっていましたが、そこから一気に変わったことになります。
やはり堅守の構築を目指しているということで、守備面などを考えてスタメンの二人が選ばれたということなのかもしれません。
昨年ももっと起用してよかったのではないかと思っていた安田ですが、柏戦でも動きが良くジェフ内では最も活躍していた選手なのではないでしょうか。
守備面ではDFラインのカバーリングもできていましたし、前半ではクリスティアーノと1対1になって相手を止めた場面もありました。
粘り強い守備が出来る選手で、ここが尹監督に評価された重要なポイントなのではないでしょうか。
また、尹監督体制になったジェフはSBのエリアから前線に長いボールを蹴ったり、斜めの楔のパスを出すことが多かった印象です。
米倉や新井などのロングフィードがもう1つだった一方で、安田のフィードは精度が高かったと思います。
ビルドアップ面でも、効果的にプレーできていたのではないでしょうか。
下平も途中投入されましたし、単純な横からのクロスということを考えれば下平のほうが良いのかもしれません。
しかし、安田は粘り強い守備もあるし、イメージよりも小技も効く選手。
G大阪時代以来の対決となる2人ですが、現時点では安田の方が1歩リードしているように思います。
一方の堀米は、前半はあまり目立ちませんでした。
しかし、後半立ち上がりには2度サイドで仕掛けてクロスを上げ、チャンスメイクを図っています。
ただ、その後もう一度仕掛けた場面では、相手DFにブロックされてしまいました。
尹監督もサイド攻撃を展開しようとしている印象ですが、パスを繋いで他の選手を走らせる展開を狙っている印象でした。
それだけにドリブルがメインの為田よりも、パスも繋げる堀米を選んだのかもしれません。
また、勇人も話していたように左に左利きの堀米、右に右利きの田坂を置いてシンプルにクロス攻撃を狙いたいのかもしれません。
さらに、堀米の場合はプレースキッカーとしても大いに期待できる選手。
守備的なチームで攻撃がもう1つということになれば、セットプレーは極めて重要な展開となってくるでしょうし、左足のキッカーとして重要視される可能性もあるのではないでしょうか。
ただ、この試合でも67分に交代しており、主軸選手として考えるにはスタミナ面に不安がありますね。
守備においても頑張っていた印象はあり、特に周りに合わせて動いて絞って守る動きを気にかけていたように見えました。
ただ、ところどころ前へのプレスにいけないところもあり、そこから相手に攻撃を作られてしまったこともあります。
2失点目も堀米の前で、高橋に前線にパスを出されたところからでした。
柏が後方から持ち上がり、三原とヒシャルジソンがパス交換をして、高橋に繋いだ後の展開。
そこから高橋はシンプルにクリスティアーノにボールを供給し、クリスティアーノがチャンを抜き去って角度のないところからゴールを決めています。
堀米としてはもう1歩寄せて、高橋が前に出せない状況を作りたいところでした。
ただ、黒い四角で示したように、堀米の後ろにはヒシャルジソンが走っていて、そこが気になって詰め切れなかったのかもしれません。
では、左ボランチの熊谷がさらにボールサイドに寄って、ヒシャルジソンを見ればよかったのか。
しかし、そうなると今度は中盤に降りていた、オルンガや江坂が空いてしまう可能性もあります。
このあたりが、試合後にも話した若干戦術的に古いのかなと感じるところです。
戦術を「古い」、「新しい」で語りたくはないのですが、5レーンの考え方が一般的になってきて、インサイドハーフがいわゆるハーフスペースでうまく間を取って、相手を混乱させる動きが増えてきた。
これに対して、シンプルな4-4-2だと対応しにくいところがある。
理論上は全体がスライドして横に流れればいいだけなのでしょうが、極端にスライドすれば当然逆サイドは空いてしまう。
密集したサイドでサイドチェンジを遅らせるだけの圧力をかけられるのか、あるいは確実に相手を潰せる守備力があるのか、また左右にスライドし続けても持つ体力があるのかなどが問われるところとなるのでしょうか。
例え古い戦術だとしても新しい戦術に対して対策がとれればいいとは思うのですが、そこが実現出来るのかどうかですね。
少し話は逸れましたが、この場面以外でも堀米の寄せが甘かったところがいくつかありました。
もちろん何でもかんでも寄せに行けばいいというものではないですし、細かい話ではあります。
しかし、そういった細かい部分も突き詰めていかなければ堅守のチームは作れないですし、細かい部分こそが近年のジェフに大きく欠けていたところでしょう。
守備的なチームにせよ、攻撃的なチームにせよ、最終的には細部まで詰めていかなければ強いチームにはなれないはずです。
細部にもしっかりとこだわって、90分間それを継続していけるようになるのか。
瞬間瞬間が良くてもダメですし、ぶれずに戦えるようになってほしいですね。
