再開後対戦する北九州と長谷部監督率いる福岡の開幕戦

 新型コロナウイルスの影響で、Jリーグ再開もどうなるかわからない状況ではありますが、時間もあるので再開予定後にジェフと対戦する見込みの北九州の開幕戦を取り上げます。
 J2に昇格した北九州は、開幕戦で福岡と対戦。
 いきなりのダービーマッチでした。

 北九州のホーム・ミクスタで行われた開幕戦。
 まず驚くのは北九州のスタメンの若さで、30歳以上の選手は加藤弘堅だけで、20代前半の選手が多数出場しています。
 ジェフが30代の選手を多く並べているのと比べると、かなりの差を感じます。

 一方の福岡は、元ジェフの長谷部監督が就任。
 前がキャプテンマークを巻き、福満がスタメンと長谷部監督が指揮した水戸からの加入選手も目立ちますが、大宮からファンマ、川崎から遠野、京都から重廣、広島からサロモンソン、柏から上島と、水戸に限らず多くの新加入選手が先発しています。
 福岡の選手も残っていますが、かなりフレッシュな印象です。

 小林監督率いる北九州はJ2昇格1年目。
 福岡も新体制で選手も入れ替えわっての1年目ということで、どちらも新鮮味のあるチームの戦いとなりました。

■遠野のゴールで福岡が先制

 試合序盤は福岡ペース。
 福岡はFW遠野、左SH石津、右SH福満などを中心に、ボランチも含めて積極的に前へとプレスをかけていきました。
 そこでボールを奪い、ファンマがターゲットになって2列目が攻め込むパターン。

 4分にはSBサロモンソンが福満との1-2でインサイドを取ってクロスを上げると、石津が折り返すも相手GKがキャッチ。
 7分には遠野がうまくキープし、福満が仕掛けてこぼれたところを、再び遠野が拾ってシュートを狙いますが枠の外。
 それでも、立ち上りは福岡の一方的な展開に見えました。


 しかし、15分頃から北九州も攻撃を作っていきます。
 北九州は後方からショートパスを繋いで、リズムを形成する。
 一方の福岡は立ち上りの圧力が、若干落ち着いて守備の機会も増えていきました。

 14分には北九州の楔のパスから、左SH新垣がハーフスペースを持ちあがります。
 クロスを上げると右SH高橋が受けてシュートを放ちますが、ゴールネットの外。
 17分にも右サイドからつないでボランチに入ると、新垣が中に入ってきて縦パスを受けるなど、パスワークで攻撃を狙っていきます。


 そこからは一進一退の好ゲーム。
 25分には北九州がサイドチェンジを展開しボールを受けた高橋が、ミドルシュートを放つもポスト直撃。
 その跳ね返りから福岡がカウンターでファンマ、遠野とつないで福満がシュートを放ちますが、CB川上がゴール手前で掻き出します。

 ゴールが生まれたのは43分。
 サイドチェンジを受けた福満が、ゴール前に入っていきソロモンソンとパス交換。
 中央でボールを受けたファンマが粘って、最後は遠野が先制ゴールを上げます。

■後半は福岡ペースで福岡が逃げ切り

 後半に入ってからは、再び福岡ペースに。
 福岡は運動量も下がらず、球際で激しいプレーを続けます。

 北九州は徐々に運動量が落ち、間延びしていった印象です。
 縦パスの距離が長くなり、パスミスが目立つようになっていきます。
 結果的に前半のようなパスワークが実施できない展開に。


 福岡は後半に入って、4-5-1に変えてプレスをかけていきます。
 北九州のサイド攻撃や縦パスを読んで、ボールを奪う展開が目立っていきました。
 ボールへのプレスも継続して、試合をリードしていきます。

 51分にはロングボールをファンマが落として、遠野が逆サイドへ展開。
 石津が持ち込んでシュートを放ちますが、GK永井が横っ飛びでセーブ。
 ちなみに、松本からレンタル中の永井は斉藤スカウトのつながりか、三菱養和時代にジェフのキャンプに参加経験があります。


 その後も福岡が攻め込む時間が続きましたが、試合終盤は北九州の攻撃機会が増えました。
 しかし、福岡も最後まで足を止めず、危険なエリアではやらせなかった。
 1-0で逃げ切って福岡の勝利となりました。

■締まりある福岡と将来有望な北九州

 ロースコアではありましたが、福岡がしっかり勝った試合と言えるのではないでしょうか。
 水戸で躍進を遂げた長谷部監督ですが、良いチームを作っているようで、2チームで成功すればホンモノですね。
 改めてジェフは長谷部監督の後に「主導権を握るため」エスナイデル監督に交代しましたが、結局は尹監督で守備的なサッカーを始めているわけで、随分と遠回りしてしまった印象を受けます。

 昨年の福岡は守備で緩い印象があったのですが、今年は締まりのあるチームに仕上がっている印象です。
 後半からは、システムも変えて相手対策も成功。
 素晴らしいスタートを切ったのではないでしょうか。

 新加入選手もあたった印象で、補強も上手くいったのでしょうね。
 運動量豊富で守備のうまい前を中心に、サロモンソンや上島、重廣なども効いていた印象です。
 長谷部監督の欲する選手を集められたのではないでしょうか。


 昇格となると気になるのが攻撃で、2トップがどこまでやれるかが注目かもしれません。
 ファンマはターゲットになるだけでなく、懐が深くうまくキープできる上に、前へもパスを出せる前線の司令塔となっていた印象です。
 能力的には高いのでしょうが、他にCF候補が少ないところが不安要素で、フルシーズン戦えるかどうか。

 また、この日ゴールを決めた遠野は昨年までJFLHonda FCでプレーし、今年川崎に移籍して即レンタルで加入した選手。
 小柄でスピードがあるだけでなく、細かく軌道修正が出来る選手で、シュートまで持ち込むのがうまい印象です。
 ただ、昨年も9ゴールで終わっていますし、J2で得点を量産できるのかが問われるところではないでしょうか。


 一方の北九州は小林監督ですし昨年もJ3最少失点ということで守備のイメージがありますが、攻撃時はパスを繋いで崩そうという意欲を感じました。
 昨年もちらっと見た時は同じような印象でしたし、継続してやっているのでしょう。
 中央での楔のパスやSHなどが絞って間で受ける狙い、そこからのサイドチェンジなど多彩なパスワークを実施しています。

 一方で選手のサイズや高さにおいては不安もあって、試合序盤に劣勢に立たされたのも、福岡と長いボールの蹴りあいをしてしまったからでしょう。
 それが落ち着いたことで自分たちの流れを掴んだことからも、パスを繋ぐ展開が北九州のサッカーなのだろうと思います。
 琉球などを見てもJ3で予算がないクラブなどは大柄な選手を集めにくいのかもしれませんし、その中で実現可能なサッカーということでパスサッカーになっているところもあるのかもしれません。


 守備においては小林監督らしく、良く走って粘り強く守るサッカーを狙っているように思います。
 攻撃面でもパスワークの流れは素晴らしいですが、一方で個人勝負になると攻守に厳しいところもあるのかもしれません。
 そこがJ2残留においての不安材料となるでしょうか。

 ただ、冒頭でも話したように、若いチームなだけに伸び代は豊富なのかもしれません。
 今年J2で我慢できれば彼らが成長して、新しいスタジアムと共に一時代を築いてくれる可能性もある。
 小林監督も大きな失敗はしないでしょうし、今後の成長が楽しみなチームではないでしょうか。