昨日3月12日、Jリーグから3月中の試合について、開催延期の延長が正式に発表となりました。
J1は第5節と第6節、J2は第5節から第7節、J3は第3節と第4節が対象となります。
前回開催延期となった際もそれまでの経緯に関して触れましたので、今回も振り返ってみたいと思います。
2月25日、新型コロナウイルスの影響によって、2月28日から3月15日におけるJリーグとルヴァンカップの全試合を開催延期とすることを発表。
その時にも3月15日以降、再開できるかどうかはわからないという説明をしていました。
その翌日には、内閣総理大臣から大規模スポーツやイベントの自粛を求める考えを提案しています。
その後、Jリーグは日本プロ野球機構に声をかけ、専門家を交えた「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設立。
政府に先立って開催延期を決めたことや、率先してプロ野球側に働きかけたことも含めて、Jリーグ側のリーダーシップを感じますね。
プロ野球は球団側の権限が強いということもあるのでしょうが、その後の意見のとりまとめも含めて村井チェアマンの株が上がっている印象です。
3月3日に行われた第1回会議は顔合わせ程度だったのかもしれませんが、9日に行われた第2回会議で大きく話は動きます。
専門家からの意見も受けて、15日以降の再開も厳しいという結論に達しました。
そして、その日のうちに全クラブが再開延期の合意に達したと発表され、12日のJリーグ実行委員会で正式に決定となりました。
予定通りに行けば4月から再開ということになりますが、まだ状況は不透明なままです。
再開において必要な要件は、第2回会議でも取り上げられています。
どのような条件が整えば、Jリーグは再開されるのか。三鴨氏は「基本的にはふたつの条件」だという。
「ひとつは基本再生産数(1人の感染者から二次感染をさせる平均的な人数)。これがある一定のレベル以下になること。もうひとつは各球団の準備状況。(感染予防に対する)教育・啓発、物品の準備も含めた準備状況のふたつがキーになります」
物品の準備に関しては、各会場でマスク、消毒液、検温体制を整えられるのかといった問題で、マスクなどは品薄となっているため確保が難しい状況にあるとのこと。
また、基本再生産数に関しては、これまでの新型コロナウイルスはクラスター感染が主となっているということで、それを警戒してのことではないでしょうか。
逆にクラスター感染以外は大きな問題になっていないそうですが、スポーツイベントとなればクラスター感染も起こりかねない。
このあたりの新型コロナウイルスの情報は、実際に治療に当たっている今村医師のインタビューに詳しく書かれています。
さらに村井チェアマンは、第二回会議の後に意思決定の基準を6段階に分けて考えていると表明。
最悪の場合は日本全土に非常事態宣言が発令され、全試合を消化するのは不可能になるかもしれない。
その場合はどう対応するのかなど、段階ごとに考えていくとのことです。
この辺りも意思決定のプロセスがしっかりと見えている印象で、厳しい情勢の中でもJリーグの対応は非常に好感が持てますね。
なお、無観客試合の可能性も検討しなければいけない時期にきているようにも思いますが、一方でそれは各クラブが大きな経済的ダメージを受けることになる。
だから、村井チェアマンも無観客試合は最終手段と言い続けているのでしょうし、出来る限り避けたいところではないでしょうか。
また、Jリーグと日本プロ野球機構は「対策連絡会議」を受けて提言をまとめており、選手・関係者とファン・サポーターに向けて新型コロナウイルスの対策をお願いしています。
ファン・サポーターならば、しっかりとチェックしておくべきところだと思います。
個人的な感想で言えば、この自粛ムードも仕方のない部分はあると思います。
新型コロナウイルス自体は潜伏期間中にも伝播する、インフルより重症化するケースが多いなど厄介な部分もあるのでしょうが、そこまで過敏に脅威を感じる必要はないのではないかとも思います。
しかし、スポーツやエンタメ産業はイメージが重要ですし、世間でこれだけ騒ぎになっている以上、無理に強行するのは難しいところもあるのでしょう。
ただ、一方で過剰な自粛ムードが続けば経済は大きく低迷してしまうし、これが長く続けば更なる損失になりかねない。
そうなれば、違う意味で死者が増えてしまう恐れもあります。
「対策連絡会議」でも感染症の専門家を招いたというのは妥当な判断だと思うのですが、ここまで経済が冷え込むと医学だけでなく経済的な分析も必要になってくるのではないかと思います。
しかし、欧州サッカーでも延期や無観客試合が行われ、アメリカでもNBAが中断され、モータースポーツ界でも延期・中止が相次ぐなど、世界各国で影響を及ぼしています。
この自粛ムードは日本だけではなく世界的な傾向となっているだけに、この流れを変えるのは簡単ではないと思います。
イベントを再開にするにしても、その根拠や妥当性が問われる状況と言えるのではないでしょうか。
非常に難しい状況ではあると思いますが、どこかでこの状況を脱しなければいけないですし、適切な判断を期待したいところです。
日刊の記事によると(その1、その2)「対策連絡会議」に参加した専門家も、「専門家でも意見が分かれる」という話をしているように絶対的な正解はないでしょうし、専門家の意見を踏まえつつも総合的に判断して最終的には自分たちで決断するしかないのでしょう。
個人レベルで言えることはしっかりと感染予防をして、感染しないこと、万が一感染しても周りに広げないことが大事だと思いますし、先ほどの提言も踏まえて再開を待つしかないですね。
それと共にいろんな情報が飛び交っていますが、あまり慌てずに冷静に対処することが必要なのかなと思います。