Jリーグのさらなる延期が決まったということで、こちらでは仕方なく他チームの開幕戦を引き続き取り上げていきたいと思います。
ただ、DAZNは一度目の延期の際にはアーカイブを延長してくれたのですが、今回はまだそういった措置を取っていないのですよね。
アーカイブは24日までということで、その後も考えるとそれまでに試合を見て、文章を書いて、状況に応じた対応を考えて…ということをやっていかなければいけなくなります。
さらなる延期の可能性もあるのでしょうが、4月3日からの再開を信じて、今日は4月4日にジェフと対戦する愛媛の開幕戦を見ていきたいと思います。
ホームで開幕戦を迎えた、愛媛の対戦相手は松本。
反町監督から布監督に代わって、どういった変化が生まれるのか今季注目のチームと言えると思います。
愛媛はオフに下川、近藤、野澤、神谷といった選手が退団し、河原も引退するなど戦力的に厳しい印象があり、今年は苦労する可能性もあるのではないかと思っていました。
開幕戦では新加入の横谷、森谷が2シャドーに並んだ3-6-1でスタートし、岡本も正守護神として君臨。
吉田眞紀人は残念ながら2月上旬にアキレス腱を断裂し、全治6か月の診断を受けています。
一方、新体制となった松本は、長年の3バックから4-4-2に変更。
GKは村山で新加入の森下が橋内とCBに入り、SBは右に田中、左に高橋、ボランチは藤田と塚川、2列目は杉本太郎と鈴木雄斗、前線は阪野とセルジーニョとなりました。
元ジェフの山本真希もベンチ入りしています。
■激しいプレスが目立つ松本とボールを持つ愛媛
立ち上がりの流れは松本。2トップにSHも絡んで激しくプレスをかけて、そこからのカウンターでリズムをつかんでいきます。
一方の愛媛はボールを持つものの松本のプレスに苦しみ、苦し紛れの縦パスが目立ちます。
しかし、10分過ぎから愛媛も巻き返します。
右WB小暮と左WB長沼を使った広いサイド攻撃を狙うようになり、松本のプレスをかわしていきます。
松本も2トップが守備で無理をしなくなり、イーブンの展開に。
ただ、愛媛は大事なところでのパスミス、トラップミスが目立ち、シュートまでいけない状況が続きます。
松本は広くパスを繋ぎながら、セルジーニョが変化を付けて攻撃を演出する形に。
特に中央左寄りのセルジーニョから、右の田中に大きく展開する攻撃が目立っていました。
27分にはCKから阪野が前を取って頭で合わせますが、GK岡本がキャッチ。
31分にもカウンターから田中がクロスを上げ、セルジーニョが飛びこみます。
しかし、綺麗なクロスでしたが、合わせきれず。
その後も愛媛はボールを繋ぐ時間は長かったものの、1トップの有田はほとんどボールに絡めず。
しかし、松本も決定打には欠き、スコアが動かないまま前半を終了します。
■愛媛が先制も松本が逆転
後半開始直後、中盤で高橋が粘って、塚川がダイレクトパス。セルジーニョがキープして、走り込んでいった杉本が受けてシュートを放ちますが枠の外。
流れの悪い愛媛でしたが、48分にセットプレーから先制。
前野のCKに対してニアに走り込んでいった茂木が、フリーで合わせてゴール。
角度のない難しいシュートだったと思いますが、うまく頭で合わせました。
この失点で火が付いた松本は、その直後の51分に同点ゴール。
塚川からのワンタッチパスに、阪野が走り込んで前野に競り勝ちラストパス。
鈴木が流し込んで1-1に。
お互いにスコアが動いて、激しい展開に。
60分過ぎからはスペースもでき始めて、ゴール前でのプレーが増えていきました。
65分には愛媛のパスミスからセルジーニョ、阪野、藤田とつなぎ、最後は杉本が狙いますが、茂木がカバー。
ゴールが生まれたのは70分。
田中からの横パスを塚川がダイレクトで前に供給し、杉本がつないでセルジーニョがシュート。
これを鈴木が拾って、最後は阪野がゴール。
ビハインドになった愛媛はCB西岡を下げ、西田を投入して途中投入の丹羽と前線に並べた4-4-2に変更。
90分には右サイドのパスワークから田中がシュートを放ちますが、GK村山がセーブ。
さらに92分にも森谷のクロスから西田が飛び込みますが、ゴールは生まれず松本が2-1で逃げ切りました。
■布監督体制で好スタートを切った松本
拮抗した好ゲームではありましたが、シュート数は松本が15本に対し愛媛は6本のみでしたし、総合的には松本の試合だったと思います。愛媛は前野、西岡、茂木と全員がパスを繋げるCBで、そこからビルドアップを開始。
そして、ワイドに開いた左右WBを使って、そこからクロスを上げる、あるいはアタッキングサードで細かくつないで相手を崩す狙いを持ったサッカーをしています。
このサッカーは昨年から継続している印象ですが、そこからシュートまで持ち込めない課題も変わっていないように見えます。
むしろ相手に持たせる時間帯の方が良い流れを作れるのではないかとも思ったのですが、松本も基本的にはリアクションサッカー。
愛媛がボールを持っても中央にボールを入れられず、苦しんでいた印象です。
さらに昨年から感じるのは、ミドルサードからアタッキングサードに持ち込むとミスが増えるところではないでしょうか。
そこは選手の質の問題もあるのかもしれませんが、手数をかけるサッカーだからこそ目立ってしまうところもあるのかなとも。
最終的に細かくつないで崩すのであれば、どこまでこだわれるかも問われるのでしょうか。
一方の松本は布監督に代わってどうかと思ったのですが、やはり選手の質は高いように思います。
さらに、この試合では攻守において、狙いをしっかりと感じました。
守備では運動量豊富に動きつつ、攻守の切り替えが早く、激しいプレスをかけていく形で、昨年までよりも前への意識を強く感じました。
また、愛媛の攻撃もしっかり分析していた印象で、相手DFにはボールを持たれても、サイドへのパスを予測して潰す。
左右SBの高橋、田中の守備力も高く、1対1で勝っていたところも大きかったですね。
中央でも藤田、塚川のボランチは強力ですし、セルジーニョ、阪野もしっかり戻って守備に参加していました。
攻撃においては阪野への長いパスも多かったですが、ショートパスも繋いで打開していく形を作れていて、ここも大きな変化ではないでしょうか。
特に要所要所でのワンタッチパスが効いていた印象で、2得点もその形から。
そのパスがスイッチになって、攻撃を作ろうということなのでしょう。
また、セルジーニョには自由を与えて、攻撃の変化をつける狙いがあるのではないでしょうか。
昨年までは3-6-1が基本だったこともあって、セルジーニョのプレーエリアもある程度限定されていたと思います。
しかし、今年は4-4-2になったこともあってより自由に動き回れるようになった印象で、チーム全体もシステムの変化によって流動的になったように思います。
ただ、セルジーニョが前線から下がってくると、ゴール前が人数不足になる可能性もある。
阪野も粘り強い選手ではありますが、ゴール前における高さという意味では物足りない部分もあるかもしれない。
全体的に身長が低い選手が多いのも課題で、昨年までの強みだったセットプレーに不安要素が出来てしまうかもしれません。
それでも反町監督の長期政権からの1年目としては、十分攻守に完成度の高いサッカーをしていたと思います。
布監督は市船での始動後、ユース代表のチームがもう1つだったのでどうなのかなとも思っていたのですが、良いスタートを切った印象です。
懸念材料はルヴァン杯にも出場しなければいけないことだったのですが、このJリーグの延期騒動でそちらも流動的な状況ですね。
愛媛はやることははっきりしていると思うのですが、戦力の課題もありますし、勝負にどこまでこだわれるかでしょうか。
中央でのパスワークに関しても、アタッキングサードでは狙ってくるものの、そこまではサイド攻撃などが多いのが気になります。
その分、窮屈な展開が目立っている印象もあり、パスサッカーを狙うにしても、どこまで追求できるのかがポイントなのかもしれません。