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ウタカが加入した京都と三幸が抜けた山口

 予定通りにJリーグが再開すれば、4月3日に愛媛戦、4月11日に長崎戦、4月19日に京都戦が行われます。
 そのうち、愛媛、長崎の開幕戦は取り上げましたので、今日は京都戦を見ていきたいと思います。

 京都は昨シーズン終了後に中田監督が解任となり、實好コーチが監督に昇格。
 一美、仙頭、小屋松といった前方の3選手などが抜け、開幕戦では3バックの中央にバイス、右CBに森脇、右WB飯田、シャドーに中川、1トップにウタカと新戦力が入りました。
 特に昨年は一美を1トップにおいてスムーズなパスサッカーを展開していただけに、タイプの異なるウタカをどう使うのかが注目されるところだと思います。

 一方の山口は霜田監督が続投。
 オフには三幸、岸田、山下、 菊池流帆などが退団しました。
 しかし、開幕戦では左SB安在和樹、右SB武岡、CBに菊地光将とブラジル人DFサンドロ、アンカーにヘニキ、右ウイング森、1トップにブラジル人FWイウリが入るなど、補強もしっかりとこなしてきた印象です。

■GKのミスから山口が先制

 序盤は京都ペース。
 8分には宮吉のスルーパスに、ウタカが抜け出してシュート。
 これは相手DFがブロックしますが、中川が拾ってシュートを放つと、ゴールの左を逸れます。

 その後も京都は、CKでゴールに迫ります。
 しかし、先制したのは山口。
 11分、池上が思い切ったロングシュートを放つと、GK清水がこぼしてしまいそのままゴール。


 その後も、京都が攻め込む展開が目立ちます。
 京都は今年も5レーンを意識してハーフスペースを使いながら、積極的にウタカにボールを集めます。
 山口はカウンター狙いの展開ですが、シュートまで持ち込めない展開が続きます。

 ただ、京都もパスワークがスムーズにはいかず、前半終盤には山口も少しずつ攻め返していきます。
 ウタカをターゲットとしたロングキックは山口に警戒され、潰される展開が目立っていきました。
 しかし、山口も攻撃面では良さが出せず、1-0のまま後半へ。

■京都が攻めるも得点は奪えず

 後半に入って、再び京都が積極的に攻めていきます。
 50分にはウタカがサイドを持ち込んで一度は止められますが、こぼれたところを金久保が拾って逆サイドへ。
 フリーの飯田が合わせて、GK吉満がこぼしかけますが、こちらはなんとかキャッチ。

 54分には金久保がスルーパスを出し、宮吉がハーフスペースを抜け出しクロス。
 ウタカが合わせてゴールネットを揺らしますが、ウタカが相手より前に出ていてオフサイド
 58分にも飯田のカットインから、宮吉に代わって入った曽根田がバイタルエリアで受け、ウタカがシュートを放ちますがゴールの右を逸れます。


 62分、京都はCB安藤を下げて、新加入の李忠成を投入し4-4-2に変更。
 その後も展開は変わらず、攻める京都、守る山口といった状況。
 しかし、京都も完全には崩し切れず、歯がゆい展開が続きます。

 すると、85分には山口が決定機。
 右サイド後方でのボール奪取から、武岡のロングパス1本でイウリが抜け出しGKと1対1となりますが、ここはGK清水がセーブしました。
 89分にも山口のカウンターから高井が抜け出しますが、GK清水が対応。

 京都は試合終盤、バイスを前線に上げてパワープレー。
 しかし、ウタカ、李忠成バイスの3枚を効果的には使えず、山口が逃げ切りました。 

■うまく変わるか引きずるか

 京都は5レーンを活かした攻撃は変わりませんが、昨年ほどボールを素早くは動かせず、ボールを持っても悩んでいる時間が長かった印象です。
 単純に運動量も少なく、昨年に比べて流動的ではない印象もあって、ボールもスムーズに回らなかったのではないでしょうか。

 また、昨年はサイドに張る選手も多く、そこに繋いでダメなら横パスという展開も多かった。
 そこから5レーンをうまく使ってボールを散らすことにより、相手守備の目先を変えていた印象ですが、開幕戦ではそういった横パスが少なかった。
 縦に急ぐパスが多い結果、パスワークで崩すといった攻撃が減ってしまったように思います。


 その大きな要因はやはりウタカで、昨年の甲府もそうでしたが、ボールを奪ったらまずウタカへのパスを考えるチームになった。
 確かにウタカは個人技での打開力が非常に高く、一発でゴールに運べる強さ・うまさがある。
 しかし、山口もそこは警戒してくるし、無理な縦パスも増えて結果的にボールロストが多くなり、ボールを動かすという部分ではマイナス面も出てきてしまうように思います。

 現実的に捉えるのであれば、昨年のチームからどう変化したのかと考えるよりも、新しいチームとして考えた方が良いのでしょうね。
 ウタカやバイスなど、能力の高い新選手もいますし選手層も豊富。
 その中でどういったサッカーが適しているのかを考えるべきなのでしょうが、昨年のサッカーが魅力的だっただけに切り替える悩みも生まれる気がします。


 一方の山口は、昨年と大きく変わらないイメージです。
 守備に関しては後方の強さも増したし、前でプレスをかける時のうまさもある。
 ただ、攻撃はほとんど作れず、昨年同様に大外からのクロスばかりになっていた印象でした。

 補強も上手くいっている印象で、ベテランの菊地と武岡は安定していました。
 イウリは前から守備もできてターゲットにもなり、CBサンドロもウタカとのマッチアップで強さを見せていました。
 ただ、やはり三幸の代わりはいない印象です。


 山口は4-1-2-3の2と3で相手の守備ブロックを引き付け、アンカーのヘニキがフリーになることが多かった。
 昨年ならそこで三幸が攻撃のタクトを振るわけですが、ヘニキはそこまで展開力のあるタイプではない。
 それによって、さらに遅攻時に停滞感を感じてしまった部分があったように思います。

 ただ、ヘニキもフィジカルは強く、守備面などで貢献できる選手。
 この日も守りの部分では活躍していたし、山口も三幸の代わりを考えるのではなく、ヘニキなどの良さを活かすチームを考えるべきなのかもしれません。
 昨年までは攻撃を三幸に頼っていた部分も大きかったでしょうから、そこをどう改善するのかでしょうか。

 どちらのチームも主軸選手の入れ替えがあっただけに、その影響も出ているように思います。
 京都の場合は、監督の変更も大きいのかもしれません。
 そういった状況下で昨年のイメージを残しつつ今年のチームを作れるのか、それとも悪い意味で昨年のイメージを引きづってしまうのかが、今年のテーマとなってくるのかもしれません。