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優勝候補の磐田の石丸新監督の山形の開幕戦

 本日3月25日に4月上旬からのJリーグ再開の可否が決まる予定となっていますが、そこは決定次第取り上げたいと思います。
 今日取り上げる磐田は今季優勝候補の1つで、ジェフとは4月25日(土)に対戦予定。
 開幕戦で磐田と対戦した山形も上位候補で、ジェフとは4月29日(水)に連戦で戦う予定となっています。

 磐田はスペイン人のフベロ監督が昨夏就任し、J2降格後も監督続投。
 フベロ監督は2003年からバルセロナで分析スタッフとして働いていたそうですが、新潟のアルベルト監督もその年からバルセロナでスカウトなどを務めています。
 その後のフベロ監督はパラグアイの監督を歴任し、磐田の監督就任前は古いジェフサポには廣山の移籍先でお馴染みのセロ・ポルテーニョで指揮をとっていました。


 オフの磐田は大南、アダイウトン、大久保、川又、田口などが退団しましたが、フベロ監督体制での主力の多くは残留。
 開幕戦ではスタメンに新加入のSH大森、水戸で活躍しレンタル復帰を果たしたFW小川航基が選ばれています。
 元ジェフの藤田は昨年フベロ監督が就任してから、CBで主力となっています。

 山形は木山監督が退団し、石丸監督が就任。
 坂元、柳などは退団しましたが主力の大半は残留し、開幕スタメンには明治大卒の新人CB小野寺と新潟から加入したシャドー渡邊凌磨が入りました。
 こちらもCBには元ジェフの栗山が入っており、ベンチには新外国人FWアラウージョも加わりました。

■小川航基の2ゴールで磐田がリード

 3-4-3の山形は、立ち上りから大槻、渡邊、山岸の3人で積極的にプレスをかけていきます。
 5分には中盤で大森を囲ってボールを奪い、右WB三鬼がクロスを上げ渡邊がヘディングシュート。
 いきなりのチャンスでしたが、シュートはGK八田の正面。

 その直後には磐田のボランチ山本のボール奪取から、大森が左サイドを持ちあがります。
 山本がハーフスペースを飛び出してシュートを放ちますが、ゴール前でブロックにあいます。
 その後もお互いにゴール前に迫る、激しい展開。


 そして、12分に磐田が先制。
 セットプレーから前線に残ったCB大井に左SB宮崎がロングボールを上げると、その裏にパスが流れてフリーで受けた山本がシュート。
 これをGK櫛引がこぼしてしまい、小川航基がつめてゴール。

 得点後も流れは変わらず。
 磐田も2トップからプレスをかけ、コンパクトな守備を実施。
 攻撃でも鋭く精度の高いミドルパスが目立っていて、それを引き出す2トップの動きも活発でした。


 今年の山形は、積極的に斜めのパスを狙っていた印象です。
 15分には右WB三鬼から前線の大槻、大槻から左WB山田と斜めに繋いでいってクロス。
 ゴール前の山岸にはブロックが付きましたが、素早く大きな展開で攻撃を作っていきました。

 しかし、25分頃からは、磐田がボールを支配する時間が伸びていきます。
 磐田は積極的にボールを動かし、ボランチなどを経由して左右に広くボールを運んでいく。
 これによって相手の1トップ2シャドーを走らせて、隙を見つけて縦に繋いでいきます。


 それでも31分には山形がパスワークで崩します。
 三鬼からの斜めの楔のパスをうけた山岸が、斜め前方にワンタッチで送ると渡邊が抜け出します。
 しかし、クロスは相手DFがブロック。

 その直後、磐田が追加点。
 左からのCKを松本が蹴ると、ニアで小川航基が頭で合わせて2-0。
 小川の2ゴールで磐田が折り返します。

■山形が盛り返すも2-0で磐田の勝利

 後半に入って、山形がプレスの圧力を再び高めていきました。
 一方の磐田も前からのプレスに行き、中盤での潰しあいが続く展開に。
 その分、ゴール前でのシュートシーンは少ない状況でした。

 55分頃からは磐田がボールを持つ展開が増えますが、75分頃から磐田の運動量が落ちて山形も盛り返します。
 76分には山形のCKを三鬼が蹴ると、ニアで途中投入の加藤がすらします。
 ゴール前で栗山が合わせますが、枠を捉えきれず。


 80分には磐田のチャンス。
 山本が高い位置でボールを拾ったところからクロスを上げ、小川航基が頭で合わせます。
 しかし、ゴールの左を逸れ、ハットトリックはなりません。

 試合終盤は、山形がゴール前に迫る展開に。
 89分には右サイドからのCKを栗山がファーで折り返し、山岸がボレー。
 しかし、バー直撃でゴールは決まらず、2-0で磐田の勝利となりました。

■開幕戦ベストゲーム候補

 両チームとも、運動量豊富で激しいプレーが目立ちました。
 開幕戦の中でも、ベストゲーム候補の1つではないでしょうか。

 磐田はやはり選手の基礎レベルが高い。
 パス1つとっても精度が高いだけでなく、速く強いボールを出せて、受ける側のトラップも正確なので、それだけで相手のチェックをかわすことが出来る。
 オシム監督がパス回しが遅いことを各駅停車だと指摘したのは有名な話ですが、磐田はその逆でパス回しが速いことによって優位に攻撃を進めていました。


 また、磐田は中盤で前を向く形を作るのが、うまい印象です。
 2トップの小川航基とルキアンは走れる上に、競り合いもうまく技術もあるので、どちらもポストプレーができる。
 ボールの引き出しも上手いので、困ったら前線に預けることが出来る状況でした。

 さらにボランチも前線の落としを受けるポジショニングがうまい上に、中盤は流動的で人もボールも動くサッカーとなっていました。
 例えばサイドチェンジの時にはSHとSBの2人が外に出て受ける動きをし、相手を外に引き付けておいてボランチが中で飛び出したり。
 逆にボランチが下がって3バックになった時には、SBが前に出てSHが中を取って間で受けたりと、状況に応じて選手とボールの動かし方も変化させていたように思います。


 対する山形も、守備では昨年以上に前への姿勢を感じました。
 さらに攻撃面においても斜めのボールを駆使することによって、パスワークで打開しようという意図がしっかり見えていました。
 サイドで選手がボールを持っても簡単に縦に持ち込んでクロスとはいかずに、斜めに楔のパスを当てて崩そうという選択が目立っていました。

 山形は前線に長身FWがいないこともあって、クロスだけではない攻撃を目指すということかもしれません。
 また、斜めのパスだと相手DFが対応しにくいということはよく言われていますが、それだけではなく縦方向と横方向にボールを展開することになる。
 それによって、窮屈な攻撃ではなく広く攻めることが出来ることになるわけで、その分選択肢や可能性も増すのだと思います。


 ただ、山形は最終局面でのパスミスなども目立ち、ゴールが生まれませんでした。
 また、磐田の藤田、大井の存在感も大きく、そこを打開できなかったとも言えるでしょう。
 藤田もベテランらしくいいDFになりましたね。

 お互いに上位候補ということもあって、面白い試合になったと思います。
 山形も得点力が懸念材料ではありますが、昨年よりいいチームになるかもしれませんね。
 磐田も開幕前に誰が点を取るのかが気になるところでしたが、小川航基が開幕戦で結果を残したということで、素晴らしいスタートを切れたのではないでしょうか。