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元バルサスカウトのアルベルト監督が就任した新潟とJ2昇格組の群馬の一戦

 新潟は本来今年の第3節にジェフが対戦する予定でしたが、延期となっています。
 延期した試合は、再開後いつ行われるかわからない状況ですから、しっかりチェックしておきたいところ。
 また、新潟と開幕戦で対戦した群馬も、5月31日にジェフ戦を実施予定となっていますから、5月からJ2が再開するのであれば、すぐに試合が回ってきますね。

 もっとも、前回のJリーグ延期発表から、国内ではさらに感染が広まっています。
 その日本以上にイタリアやスペインなど海外はひどい状況となっていますから、もし国内で抑え込みに成功したとしても、果たしてJリーグ再開の目途が立つのか…。
 刻一刻と状況は変わっている中で、世界単位で被害は深刻化している印象がありますから、当分は再開どころではない状況が続くのかもしれませんね。


 さて、今季の新潟は、スペイン人のアルベルト監督が就任。
 バルセロナでスカウトやアカデミーコーチを務めた指導者ですが、監督経験はこれが初めて。
 アルベルト監督がどういったチームを作るのかが、新潟の注目点でしょう。

 オフにはレオナルド、戸嶋、大武などが流出。
 しかし、 舞行龍、シルビーニョなどは残留し、開幕戦ではGK小島、右SB大本、左SHにロメロ・フランク、CBマウロ、ボランチにゴンザレスと新加入の選手が名を連ねました。
 1トップは渡邉新太で、トップ下のシルビーニョと並ぶことも多い形でした。


 新潟をホームで迎えたのはJ2昇格組の群馬で、オフに布監督が退団し奥野監督が就任。
 奥野監督は選手時代に鹿島で活躍した印象が強く、現役最後には草津で選手兼監督として所属していました。
 その後はコーチ業を中心に2012年・2013年には山形でも監督を務め、監督として群馬に久々に戻ってきました。

 J2昇格後、吉田舜、吉田将也、佐藤祥、高澤などが退団した群馬ですが、GK清水、内田達也、宮坂、岩上、大前などJ2でも活躍した選手を補強。
 新潟戦ではその5人が先発し、4-4-2でボランチに内田、宮坂、左SHに岩上が入りました。
 キャプテンは市船出身で、昨年から群馬で活躍していたCB渡辺広大が務めています。

■郡馬の流れが目立った前半

 キックオフ直後こそ新潟が右サイドで崩しかける展開が見られましたが、その後は群馬が流れを作ってきます。
 群馬は2トップからプレスに行き、後方の選手も出足が良く、前に出てボールを奪っていきます。
 この日は風が強く、前半は風下だった新潟が苦労していた部分もあったように思います。

 群馬はボールを奪ったら、まず2トップを見てボールを出す攻撃が基本となっていました。
 Y.S.C.C.横浜から加入した進が裏に抜けてパスを引き出し、大前が下がって受ける動作をする。
 この2トップの上下関係で相手を混乱させ、そこにグラウンダーのパスを繋いでいく。


 15分頃からは、新潟も巻き返してきます。
 新潟はボランチのゴンザレスか秋山が下がって、3バック気味になってビルドアップ。
 そこで相手2トップに対し数的優位を作り、左右CBからシルビーニョにあてて、他の選手が飛び出す攻撃を見せ始めてきました。

 しかし、新潟も縦パスがうまく通らず、30分頃からは再び流れが群馬に。
 ただ、群馬もバイタルエリアは取れるものの、最後のところでパスミスが目立ち、新潟DFのサイズにも苦しみシュートまでいけない展開に。
 逆に言えば新潟はCBがはじき返すことはできるものの、その前のケアが緩かった印象です。

 前半終盤は新潟がボールを持つ時間帯が増えましたが、群馬も粘り強くマークを掴み、前を向かせない状況を作ります。
 新潟も個人技での打開が目立ち、0-0で前半を終了します。

■後半に群馬が崩れて0-3の敗戦

 DAZNによると前半のシュート数は群馬が4本、新潟が2本で、どちらもチャンスは作れず、後半に進みました。
 後半も均衡状態でしたが、52分、中盤で新潟の右SH高木善朗シルビーニョとつなぎ、左SB堀米がクロスを上げるとニアで渡邉が触って軌道が変わり、シルビーニョが頭で合わせますが、GK清水がセーブ。
 66分にもロメロ・フランクのキープから渡邉が追い越してクロスを上げ、途中投入のFWファビオが飛び込みますが頭に合わず。

 74分にも堀米が左サイドを仕掛けてクロスを上げ、こぼれ球を渡邉が狙いますがふかしてしまいます。
 徐々に新潟が群馬を押し込んでいき、ゴールに近づいていきました。
 群馬は後半から風下になっただけでなく、運動量も落ちていった印象でした。


 そして、81分、新潟が得た中盤でのFK。
 ゴール前に供給すると、こぼれ球をダイレクトで渡邉が合わせてゴール。
 距離もあって難しいシュートでしたが、見事に決めました。

 すると、84分にも堀米からのスルーパスに、ファビオが抜け出し中央へ。
 これは相手DFがクリアしますが、渡邉が拾って最後はロメロ・フランクがゴール。
 さらに、87分にも新潟のクリアに対して、 舩津が目測を誤ったこともあって、ファビオが独走しゴール。
 これがダメ押しになり、0-3で新潟が勝利を遂げました。

■高さも裏抜けもあるFWファビオ

 群馬も前半は悪くなかった印象で、攻撃の意図がはっきりと見えたし、守備に関しても前への意識が高かった。
 群馬からすれば前半にゴールを決めたかった試合でしたが、ラストパスの精度に欠いてバイタルエリアをとってもシュートまで行けなかった。
 そして、後半に入ると運動量が落ち、守備の圧力が弱まってしまいました。

 また、フィジカルやサイズ面で苦戦していた印象で、球際で苦しんで徐々に押し込まれたところがあったのではないでしょうか。
 琉球や北九州などもそうですが、やはりJ3から上がってきたチームは、フィジカル面に優れた選手の確保に苦労する傾向があるのかもしれません。
 最後はガタっとやられてしまい、チームとしての脆さも見えてしまいました。


 一方の新潟はバルセロナの元スカウトを監督に据えたわけですが、バルサらしいサッカーにはまだほど遠い印象です。
 確かに後方でゆっくりと回し、縦に速いパスを繋ぐ回し方や長いパスでの大きな展開、ボールを奪われた直後のプレスの掛け方などは欧州らしさも感じました。
 ただ、欧州らしくはあったものの、バルサらしさらしいパスワークの作り方などは見られなかったと思います。

 試合を決めたのもキレイなパスワークというよりは、ガツガツと前への姿勢を見せたところから。
 もちろんバルセロナである必要ないし、日本で失敗する欧州人監督にありがちな雑さもなかった印象です。
 ただ、完全に崩せるほどの攻撃はなかったですし、そこがどこまで進歩していくのか。


 それより個人的に気になったのは、途中投入されたファビオ。
 22歳の若いブラジル人で192cmの長身ではありますが、縦へのスピードやDFライン裏を取る動きのセンスも感じました。
 スタメンではなかったですし、パスサッカーとは合いにくいのかもしれませんが、ファビオがブレイクすればそちらの方が怖いのかなとも思います。

 前半はシルビーニョに頼りすぎていた印象もありましたが、ファビオが形になればもう1つの怖さが生まれるかもしれません。
 新潟は昔から若いブラジル人選手の補強がうまいですし、ファビオもその流れに乗るのでしょうか。
 この中断中に連携面なども深まれば、ライバルからは厄介な存在になるかもしれませんね。