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攻撃時も等間隔にポジショニングする岡山

 岡山対金沢戦。
 どちらも組織的に戦えるソリッドなチームですが、特徴はかなり違ったと思います。

 金沢は守備時はマンマークが基本。
 攻撃時はルカオのキープから2列目が飛び出す攻撃を狙いつつ、それがダメならサイドで裏に走る展開を狙う。
 どちらかと言えば、攻守にガツガツと戦うサッカーといった印象です。


 一方の岡山は、守備時は4-4-2でスペースを管理するゾーンディフェンス。
 等間隔なポジショニングが、綺麗に整っていました。
 そして、攻撃時も4-4-2をベースに、等間隔に選手が位置取りをする。

 そこからサイドなどでテンポよくつないで、攻撃を仕掛けていくのが岡山の特徴と言えるのではないでしょうか。
 69分の岡山の攻撃を図にしてみました。

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 まず右サイドをSH三村が仕掛けますが、相手をかわしきれずバックパス。
 右ボランチの白井がこれを受けて、アーリークロス
 ファーでイ・ヨンジェが頭で合わせますが、相手の守備もあってゴールとはなりませんでした。


 図ではわかりにくいかもしれませんが、このシーンでも岡山は選手が等間隔の距離を取って、シュートの形まで作っています。
 極端にボールに人が寄っていくのではなく、広くバランスを重視した位置取りをする。
 2-4-4に近い状態で、守備時のシステムにも近い状況のように思えます。

 右SH三村もバックパスをした後に斜め前方に走り込んでいるのですが、ここでも他の味方選手がいないところを狙って動き出しているように見えます。
 右SB増谷がオーバーラップしてきたことも大きいのでしょうが、誰かが自分のエリアに入ってきたら他のエリアに動き出す。
 それによって選手の動きを固定化するのではなく、エリア間で選手の出入りはありつつも、等間隔は維持することが基本設計となっているのかなと思います。


 攻撃時も等間隔で戦うことによって、近づきすぎず、遠すぎずという選手の距離感を大事にしているということでしょうか。
 選手が近すぎればパスを繋いでもボールの動く距離は短いし、相手選手も密集してきてスペースがなくなってしまう恐れもある。
 逆に選手の距離感が逆に遠すぎれば、長いボールが多くなりかねないし、パスの精度も欠いてしまうかもしれません。

 また、攻撃時に等間隔で攻めていれば、守備に移った時にも対応しやすいという発想でもあるのかもしれません。
 綺麗な4-4-2で守る岡山にとっては、守備時の位置取りを素早く掴むことが重要だと思いますし、攻撃時にバランスを崩して攻めてると、被カウンター時の対応が難しくなる。
 そのため、攻撃時も4-4-2に近い陣形のまま戦い、守備に戻りやすい方法を選んでいるのではないでしょうか。


 先ほども話した通り、攻撃時も等間隔に位置取りすると言ってもポジション間での入れ替わりはあるし、完全にポジションを固定化して特定のエリアでプレーしているわけではない。
 あくまでも選手のポジショニングが等間隔なだけで、選手自身はどのポジションでも構わないということかなと思います。
 それによって等間隔なシステムで攻めつつも、流動性は維持できているといえるのではないかと思います。

 代表戦での西欧のチームなどを見ると、SHはSHの、SBはSBの仕事だけをする分業化を敷いていて、仕事もポジションも固定化しているチームもあると思います。
 ただ、日本人の良さはアジリティや細かな技術などだと思うだけに、攻撃時の流動性はある程度確保しておかなければ特徴を引き出しにくいと思いますし、そういった意味で岡山のやり方は興味深いところがあると思います。
 攻守に等間隔で戦うというチームにポリシーを与えつつ、選手の強みも活かす形ということで、これでどこまで行けるのか注目ですね。