巻、中村憲剛、風間監督らがJ歴代ベストイレブンにオシム監督を選出

 4月23日発売のサッカーダイジェストにて、現役選手やOB選手などが選ぶJリーグ歴代ベストイレブンが選出されているようで、一部はネットでも公開されています。

 個人的に注目したのが、ベストイレブンの監督にオシム監督を選出する関係者が多かったこと。
 はもちろん、三浦泰年小島伸幸福田正博坪井慶介中村憲剛風間八宏などが選出されています。
 ヴェンゲル監督、アルディレス監督、ネルシーニョ監督、岡田監督などがいる中で、直接的な絡みがない関係者からも選ばれているというのは凄いことではないかと思います。


 その中でも、中村憲剛と風間監督がオシム監督を選んだのはかなり意外でした。
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そして監督はオシムさん。日本代表で僕は新しい扉を開けてもらえました。オシムジャパンのさらなる先を見たかったですね。

 選手として様々な経験をしている憲剛が、「新しい扉を開けてもらえた」と話しているのは印象深いところだと思います。
 憲剛もタイミングが良ければ、あるいはオシム監督が続けられていれば、もっと代表で活躍できたかもしれない選手の1人ですね。

 当時の日本代表に関しては、ちょうど中村俊輔も今年3月上旬の記事で、こんな話をしていました。
hochi.news

おれとヤットと(中村)憲剛を同時に使ったの、オシムさんしかいないんだよ。あんなにムーブムーブとか言っていた人が、(パサータイプの)3人を同時に使うってなんなんだろうなと。ヤットにはよく、走れ走れとか言っていたけど。やっぱり違いを見せたり、技術だったり、走れないけど走るタイミングとかの判断を持っているから、3人同時に使ってもらえたのかなと。オシムさんが倒れなかったら、もっとおれらも進化したと思うし、もっと考えて走ることで、いいサッカーができたかもしれない

 「走れ走れ」と言いながらも、一方で「賢く走れ」と言っていたのがオシム監督ですから、賢く走ることが出来れば問題ないという発想もあったのかもしれません。
 マリオ・ハースなども頭がよく、効率よく走れる選手だからこそ、高い評価をしていたのではないかと思います。
 ただ、もちろんベースは走ることであって、そこを妥協するつもりもなかったとは思うのですが。


 巻もJリーグ歴代ベストイレブンに、そのハースを選んでいます。 
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また、サッカーの本質を知っていて、サッカーIQが非常に高いハース選手をFWのもう一枚に。

 ハースの動き方、視野の広さやアイデア、技術力の高さなどは、今の選手が見ても参考になるのではないでしょうか。
 また、攻撃面だけでなく、危ないと思った時には後方まで守備に戻るところも、「サッカーIQ」の高さを感じるところでした。
 オシム監督を語る上で重要なポイントの1つとして、賢い選手を好むという点もあるのではないでしょうか。

 さらにハースの場合は、テクニックや賢さだけでなくフィジカル面も優れていた。
 大型FWと言うほどではないですが、182cmもあってゴール前でも競り合えるため、オシム監督の表現するエキストラキッカーでありストライカーでもあった。
 ジェフの歴代の中でも、有数の外国籍選手だったと思います。


 一方、風間監督はオシム監督に関して、以下のような話をしています。
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指揮官は最も印象に残っているオシムさんでしょう。選手時代はテクニシャンとして鳴らしたこともあり、技術を第一に考える方で、私と思考が重なる部分がありました。それに個性を伸ばす手腕にも長けていて、今回の11人を率いても非常に面白いサッカーを見せてくれるはずです。

 風間監督はオシム監督が日本代表を指揮していた頃、かなり辛辣な発言をしていました。


 それまでの風間監督は比較的温和な印象があっただけに驚きもありましたが、近年はオシム監督を評価するようなコメントもしています。
 当時はジーコ監督体制による失敗の直後で日本代表への風当たりが非常に強かったですし、それに流されていた面もあったのか、それともメディアがそれを望んで応じていたのでしょうか。
 具体的にどう評価しているのか、気になるところでもあります。

 オシム監督に対して、「技術を第一に考える方」と分析する方は珍しいですね。
 運動量の面や判断力の面などを重視する監督と言われることは多いでしょうが、巻には体の使い方を、阿部には直接キックの指導をするなど、細かな技術面も大事にしていたと思います。
 だからこそ、走ることを重視していたにもかかわらず、GKからしっかりとつなぐサッカーをしていたし、単純にフィジカルを押し出すサッカーをしていたわけではなかったのだと思います。

 
 日刊には日本代表時代のオシム監督に関して、このような記事が出ていました。
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「日本代表の日本化」
06年7月21日。W杯ドイツ大会敗退後、日本代表再建を託されたイビチャ・オシム監督(当時65歳)が就任会見で日本中に発信した言葉だ。今でこそ、日本らしいサッカーを口にする代表監督が多いが、それまでは“強国のサッカーを見習う”ことで、世界に近づくことができると思う風潮があった。

 今回の新型コロナ騒動でも思うのですが、日本は島国であるがためか、海外との比較や海外からの眼ばかりを気にし過ぎている気もします。
 サッカー界でも欧州コンプレックスみたいなものがあるのか、「和式」という言葉で日本独特のサッカーを批判する内容を目にします。
 しかし、オシム監督は世界的に見ても日本という国は優秀であり、日本人の良さを活かし、日本人らしいサッカーをすることが重要であると掲げたということになります。

 その試みは道半ばで終わってしまったわけですが、それでも多くのサッカー関係者やサポーターに響く部分はあったのではないでしょうか。
 このようにオシム監督は哲学的に、あるいは広い目で物事を捉える方で、それに影響を受けてサッカーに対する考え方やサッカー観が変わったという人も少なくありません。
 それによって、人々の心をつかみ、選手たちも走らせていったのでしょう。


 一方で監督としての評価と言う点で考えると、一番は風間監督の言う「個性を伸ばす手腕」になるのかもしれません。
 オシム監督のスタイルを研究して真似をすることもやろうと思えば出来るでしょうし、他の監督からオシム監督に似たところを部分的に見つけることは簡単かもしれません。
 しかし、根本の部分である指導力に関しては、その監督個々の能力ということになるでしょうし、そこは簡単には真似できないものだと思います。

 改めてオシム監督とは何だったのかというテーマは、以前から気になっていた部分もあります。
 日本代表での指導は途中で終わってしまったし、オシム監督の言葉やエピソードが断片的に取り上げられることはあるけれど、具体的なサッカーの中身などに関しては振り返られることは少ない印象です。
 それでもこうやって多くのサッカー関係者がオシム監督を評価しているということで、少しずつでも日本サッカーの将来に繋がっていく部分があるのでしょうか。