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間を取らせなかった前半と間を取られた後半

 再開直後の大宮戦。
 ジェフは前半途中までは良い状態で戦えていましたが、後半は完全に大宮ペースだったと思います。
 試合後にも書いたとおり、後半苦戦した要因の1つには、イッペイ・シノヅカを中心に守備の間を取られて、前を向かれて攻め込まれたことにあったと思います。


 前半のジェフは素早く守備に戻って、4-4-2のボックスディフェンスを形成。
 そこから2トップが相手ボランチを見てサイドにボールを追いやり、4×4のボックスが左右にスライドする。
 これによって、ボックスをコンパクトに保ち、間にスペースを作らずパスを出させなかった。

 あるいは、以下のような11分のシーン。

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 ここでは相手後方で右から左へとボールを回されますが、ジェフの守備もしっかりとスライド。
 これによって密集した状況で、相手の攻撃を迎え撃ちます。

 図のように相手DF河面は1トップの富山へと強引にパスを出しますが、ジェフの選手は密集しているので田口が潰して跳ね返しました。
 ボックス守備では間にパスを出させないことが第一となると思いますが、このようにボックス内に出してもそこで前を向かせずに潰せれば良い。
 そうやって対応できていれば、相手もボックス内を狙えなくなり、攻撃を遮断することが出来ます。


 しかし、後半に入って60分のシーン。
 1点ビハインドになっていたとはいえ、相手のカウンターでもなくセットした状態での守備場面でした。

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 ここでも左右は異なりますが、後方で左から右へとパスを繋がれると、ジェフのスライドが遅れてしまいます。
 これによって、黄色い四角で表示したボックスが、11分の図と比べて大きくなっていることもわかると思います。
 こうなると、選手と選手の距離感が生まれてしまい、その間にスペースが出来てしまう。

 そうして、図のように後方の西村からシノヅカにパスを繋がれて、田口の後ろで前を向かれてしまう。
 そこから右WB渡部に繋がれるとクロスを上げられ、富山が飛び込んで惜しいシュートを放つという攻撃を作られてしまいました。
 得点にはならなかったとはいえ、危険な場面だったと思います。


 この後もシノヅカに間を取られた場面が何回かありますし、尹監督は「ある程度安定した守備ができた」と話していますが、強がりなのかなとも思います。
 開幕戦後にも話したと思いますが、守備は攻撃とは異なるわけで、前半の一定時間だけよかったではダメなはずです。
 後半は何度も攻め込まれましたし、60分という早い段階で明確な綻びが出来てしまったわけですから、守備にも課題を感じる試合だったのではないでしょうか。

 基本的にはジェフの運動量が落ちたことと、大宮の動きが良くなっていったことで苦戦していったのではないかと思います。
 こうしてみると、やはり動ける選手が少ないこと、守備のスペシャリストがいないことも悩みの種となるのではないでしょうか。
 このサッカーをするのであれば、山口蛍のような汗かき役がどうしても欲しくなりますね…。


 また、どうしても気になるのが2トップの脇で、11分も60分も左右CBが持ち上がって、フリーな状態でパスを出していること。
 11分は後方のボックスで対応できたとはいえ、前半は大宮の動きが重く対応しやすかったところもあったと思います。
 また、そういった攻撃が、ボディーブローのように効いていたところもあったのではないでしょうか。

 2トップ脇に関しては、2トップが広範囲を守ったり、SHが前に出てSBも押し上げる動きをして対応することが多いと思います。
 しかし、ジェフはクレーベの守備範囲が狭く、SHもSBも待ち構える守備をするので、どうしても受け身になってしまう。
 さらに今年のジェフは11分の場面のようにSHではなく、ボランチの片方が前に出てもう片方が下がってバランスを取ることが多いため、60分のようにボランチの裏を取られる場面も目立ってきています。


 前半途中までは良い守備が出来たのは、大宮戦での収穫だと思います。
 しかし、それを90分間続けられるようになるのか、続けられないのであればどう修正していくのか。
 中断明けで動けなかったところもあるかもしれませんが、これからさらに暑くなっていき、連戦も待ち構えていることを考えると、大幅にコンディションが上がることは期待しづらいかもしれない。

 それを考えると、堅い守備組織を構築して戦えるようにならなければいけないのではないかと思います。
 個人的にやはり前からプレスをかけない守備というのは、現代サッカーにおいては難しいのではないかとも思います。
 大卒の西村からも何度かチャンスを作られたように、パスを出せるCBは以前ほど珍しくない状況となっているわけで、そこへの対応が必須となってくるのではないでしょうか。