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再開後初スタメンの米倉が右SHで先制点をアシスト

 先週末行われた水戸戦では、右SHで出場した米倉が先制ゴールをアシストしました。
 ジェフとしては琉球戦同様に5分という早い時間帯にゴールを上げられたことによって、その後の展開を優位に進められたと思います。

 ゴールまでの展開を振り返ると、水戸がDFラインでボールを持っていたところからスタート。
 左後方に流れたボランチの山田がパスを受けて持ち上がろうとしたものの、ボールコントロールを誤ってドリブルのタッチが大きくなってしまいます。
 そこで前に詰まった山田は、左SB外山に斜めのバックパスを出さざるを得なくなりました。


 そこに対面の米倉が寄せていって粘り、ボールが中央にこぼれます。
 これをクレーベが拾って、右前方に走り込んでいった米倉へパス。
 米倉は冷静にグラウンダーのパスを中央へと繋ぐと、山下が足元で決めてゴールを上げました。

 パスを受けた山下のニアに受けに来た動きも、落ち着いてシュートも良かったと思います。
 ただ、それ以上に前方でボールを奪って攻撃を仕掛けるハーフカウンターが作れたことによって、相手の守備組織が整ってないうちにシュートまで行けたことが大きかったのではないでしょうか。
 若い山田のミスから生まれたシーンではありますが、ジェフとしては米倉がチェックに行って奪えたことが、ポイントだったと言えると思います。


 米倉は74分にも、カウンターから惜しいシーンを作っています。
 左サイドで船山が相手からボールを奪うと、下平が中央のクレーベへパス。
 クレーベが少しキープして右前方へパスを出すと、米倉が長い距離を走ってシュートまで持ち込みますが、GK松井のセーブにあってしまいます。

 ここも船山の良い守備がまずは大きかったと思うのですが、それだけでなく米倉が縦に走り込んで持ち味を出せたことも重要でしょう。
 個人突破力やスピードのないクレーベだと、なかなかカウンターが作れないのではないかと思う部分もあるのですが、その分こうやって2列目がスプリントすることによってチャンスを作る。
 そのための米倉のSH起用という側面もあるのかなと思います。


 また、米倉がSHで起用されている理由を考えると、先週も話した通りジェフのSBはほとんど前の選手を追い越さない。
 SBがオーバーラップを仕掛ければ、その裏のスペースがどうしても空いてしまうため、守備的な発想の尹監督はオーバーラップを控えようということなのかもしれません。
 しかし、SBの米倉は縦に走り込んでなんぼの選手だと思いますので、"SB米倉"は尹監督と相性と相性が悪い部分があるのではないでしょうか。

 また、米倉に関しては、大宮戦前にJ'sGOALでコラムが掲載されていました。

今季の開幕戦では、尹晶煥監督に上下動の豊富な運動量とスピードを評価され、右サイドハーフでスタメン出場(中略)尹晶煥監督は今季の千葉が目指すサッカーで「一番きついのはサイドハーフ」と話しているそうで、そのポジションでの起用は攻守両面で能力が高く、タフな米倉に期待しているからだろう。

 私も以前、尹監督は「水沼、清武、キム・ミヌ、早坂など何でもできて器用なタイプをSHに使ってきた」と話したように、やはり尹監督はSHに攻守に期待できるような能力の高い選手を置きたい傾向があるのではないかと思います。
 だから、ちばぎんカップでは、器用な田坂を試したのではないでしょうか。
 しかし、その時の田坂もフィジカルや縦への勢いなどには物足りなさがありましたし、"SH田坂"も尹監督のお眼鏡にはかなわなかったということかもしれません。

 また、鳥栖C大阪などでの尹監督を思い返すと、シンプルに攻守で活躍できる選手というだけではないようにも思います。
 攻撃面では縦への飛び出しだけでなく、ゲームメイクやドリブル突破なども要求されるし、守備でも引いて守るだけでなく、前への寄せも期待される。
 さらに様々なタスクをこなすためのフィジカルや頭の良さも、求めていたのではないでしょうか。


 米倉も縦への鋭い飛び出しやフィジカル能力などは高いものの、決して器用で何でもできる万能な選手ではない。
 むしろフィジカル特化という印象すらあるし、周りを活かすようなプレーは得意ではないと思います。
 だから、再開直後の大宮戦ではスタメンから外れ、水戸戦でもフル出場とはいかなかったのではないでしょうか。

 また、上記のコラムでは以下のような米倉の話も。

「今年は個人的には(J1に)上がらないといろいろ人生計画も狂ってくるので(苦笑)。やっぱり自分の目標や計画があるわけで、今年はもう本当に(J1に)上がることだけを考えてやっています」

 この辺りのコメントが、米倉らしさですよね。
 高卒で入団した当初からチームに対しても自分自身に対しても、どこから達観しているというか、第三者目線なところがあるような気がします。


 そういった見方やキャラクターも決して悪いわけではないのでしょうが、チームの主軸となるためにはもう少し当事者意識も大事ではないかなと思わなくもありません。
 そこがジェフやG大阪でも主力として活躍してきたものの、チームの支柱にはなりきれていないように感じるところなのでしょうか。
 選手として使われるタイプであるということも、大きいのかもしれませんが。

 再開後の2試合は熊谷の欠場もあって、田口のチームになりつつあるところがあるように思います。
 田口が中心になることでチームが順調に進むのであれば悪くないとも思うのですが、一方で今までいた選手たちにももっと頑張ってほしいところ。
 熊谷も練習試合で復帰したようですし、体制が変わって誰がチームの中心になっていくのかにも注目ですね。