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増嶋のロングスローからゴールが生まれる

 東京V戦では増嶋のロングスローから、ジェフ唯一のゴールが生まれました。
 今季はこれまでにもチャンスを作ってきましたし、1つの攻撃パターンとなっていますね。
 流れの中からの攻撃以上に、ロングスローからの攻撃の方がチャンスが期待できるようにすら感じてしまいます。

 得点シーンを振り返ると、72分に左サイドの奥から増嶋が低い弾道のロングスローをゴール前に供給します。
 これをダイレクトで米倉が触ってフリックすると、ファーの山下がヘディングで折り返します。
 これを倒れながら船山が足元でゴールを狙うとGKマテウスがはじき、こぼれたところを山下が詰めてゴールを上げています。


 まず、米倉のフリックが良かったですね。
 いくら増嶋が鋭く飛距離のあるロングスローを投げられると言っても、タッチライン際からゴール前のファーまで勢いあるボールを投げるのは簡単ではないと思います。
 そのため、一度ニアで触ってボールに勢いを加えて、ゴール前に供給することが大事なのではないかと思います。

 また、ニアでフリックすれば、相手DFを引き付けられるし、軌道が変わることによって対応が難しくなる。
 今回の得点シーンでも東京Vの選手たちの多くがニアへとつられた結果、ファーの山下への対応が甘くなったように思います。
 それによってスペースが生まれて、その後の船山のシュート、山下へのゴールへとつながった印象です。


 ジェフのロングスローからの攻撃が機能しているのは、長身選手が多いからという点もあると思います。
 尹監督は高さのある選手を重視しているように見えますし、それによってFKやCKなども重要な攻撃パターンとなっている印象です。
 守備面でも攻め込まれてセットプレーが増えたとしても、高さで相手の攻撃を跳ね返すことによって、失点を抑えられているところが大きいでしょう。

 加えて、ロングスローは近くに繋ぐよりは、結果的にボールロストする可能性が高まると言えると思います。
 ただ、今年のジェフはボールを保持することをあまり重要視していないため、ボールをロストしても構わない。
 あるいは、ボールを繋いでも攻撃を作れない課題があるため、それならばいっそロングスローを放り込もうという考えもあるのかもしれません。


 7月11日(土)に行われた栃木戦では相手にロングスローを警戒させておいて、近くに投げて下平がフリーでクロスを供給するというパターンもありました。
 ゴール前にロングスローを投げ込む展開では必ずニアに走り込む選手が1人いますし、フリックなども含めてロングスローからの展開を事前にしっかりと準備しているのではないかと思います。
 そう考えると、東京Vのゴールも狙い通りの展開だったと言えるのではないでしょうか。

 スローインはFKなどと違って相手が壁を作れないし、自由にボールを投げられるのだから、精度の高いボールを投げられれば良い攻撃につながるはずだという発想もあります。
 また、スローインオフサイドの対象ではないため、そこをうまく利用することもできます。
 ジェフもこれまでに、ミリガンや水野、古くは和多田などのロングスローから得点を奪ってきました。
 

 ちなみに、スローインといえば、リヴァプールが2018年夏にスローイン専門コーチと契約したことが話題になっていました。

スローインからボールを失うチームがいる。そして、ほとんどのチームがそれをやっている。だが、コメンテーターは何も言わない。
その数秒後に同じ選手が足でのパスでボールを失ったら、『あぁ、ひどいパスだ』と言う。それを2回もやれば、その選手はひどい試合をしたと言われるだろう。
(中略)
2017-18シーズンのリヴァプールはプレッシャー下におけるスローイン時のポゼッション保持率が45.4%だったというものだ。それが私がきた1年目で68.4%に改善されたと。(Qoly

 個人的な感覚で言えば、強いチームやしっかりパスを繋げるチームは、スローインからボールを失うことが少ないイメージがあります。
 例えばジェフの場合、オシム監督時代にはスローインからも上手くボールを繋いでいましたが、低迷時はスローイン直後にボールを失ったり、出しどころに困ることが増えた印象もありました。
 そのため、特別にスローインからの展開を重視するのではなく、パス回しがうまくなればスローインからの展開も上手くいく部分があるのではないかとも思います。


 それでも上記のリンク先の話は、興味深いものがありましたね。
 ただ、一方でスローインの回数は、パスを繋ぐ回数などに比べれば多くはないわけで。
 オシム監督も水野にロングスローを投げさせていたくらいですから否定的ではなかったのでしょうが、それでもスローインを得て「OK」と言っていた選手に、「ピッチ上に10人しかいなくなるのに何がOKなのか」と怒ったり、ワールドユースでロングスローが目立っていた水野に「サッカーは手でやるものではない、足で蹴るものだ」と話したというエピソードがあったはずです。

 東京V戦でゴールも生まれましたし、今後は増嶋のロングスローからの展開に対しても、対戦相手から対策が取られる可能性は十分にあると思います。
 今はロングスローとセットプレーからの攻撃に頼っているところがある印象ですが、それだけでは限界が来るのではないでしょうか。
 ロングスローも攻撃の武器の1つとして期待したいところではありますが、今のうちにその他の攻撃パターンの確立も必要ではないかと思います。