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結果に関する尹監督の傾向と今季の目標

 Jリーグ中断前は開幕戦とちばぎんカップしか見ることが出来ず、尹監督のチーム作りに関しても情報はこれからといった印象でしたが、6月末に再開してから5試合。
 連戦による大幅メンバー変更もあって、結果的に選手が入れ替わった状態も見ることが出来て、より尹監督が分かってきたように思います。
 一言で言えば、極力無駄を省いたシンプルな4×4で跳ね返す、守備的なサッカーということになると思います。

 金沢戦で選手が変わってもチームとしてやることは変わりませんでしたし、過去数年の監督と比べるとコンセプトがはっきりしている。
 エスナイデル監督はやりたいサッカーは明確でしたが、それを実現するノウハウと知識が致命的に欠けていた印象でした。
 逆に江尻監督は知識は持ち合わせていたかもしれませんが、自分がどんなサッカーをしたいのかといった意志が足りなかったように思いますし、それは近年のジェフを映し出していたようにも思えます。


 尹監督はやりたいサッカーと各タスクが明確なだけに、尹監督が選手をどう活かすのかという話題よりも、選手が尹監督の要求に沿えるのかという見方が多くなるのかもしれません。
 何度か話しているように、尹監督の理想で言えばもっと粘り強く守れる選手が欲しいのではないかと思えてくるし、攻撃は個々の能力頼りなだけにSHに総合力を求めているのではないかとも思ってしまいます。
 やることがはっきりしている分、選手への基準も明確になってくるのではないかと思いますし、選手はその基準に向けて努力していくことになるのではないでしょうか。

 ただ、尹監督のコンセプトがはっきりしているからと言って、それで成功するとも限らないのがスポーツでしょう。
 以下で話した通り、現在サッカーにおける守備のトレンドはリトリートするチームでも、そこから前へプレスをかけていくことだと思いますし、2トップの守備なしで4×4で引いて守るだけでは後方から攻撃を作られてしまう。
 東京V戦はまさにそこから、苦戦を強いられた試合だったと思います。

yukkuriikou.hatenablog.com

 それでもJ2レベルなら、スペースを作らず相手のミス待ちで戦う方が効率的なのか。
 そこが今年のテーマとなるのかもしれません。


 また、「尹監督は実績もあるし今回こそ長い目で見たい」という意見もよく目にしますが、尹監督のスタイルなどを考えるとむしろ逆ではないかとも思います。
 尹監督のサッカーは極めてシンプルで、言ってしまえば守備に関しては後方8枚で引いて守って跳ね返すのが基本。
 攻撃はサイドからのクロスとセットプレーがメインで、最近では言われることも存在も少なくなった"電柱タイプ"のFWを活かす形。

 プレスをかける方が組織的な構築や熟成が必要だと思うのですが、尹監督はそこを重視していない。
 さらに攻撃に関しても、何かしらのこだわりを感じるタイプではありません。
 そのため、コツコツとチームを作っていく監督というよりも、即効性を期待すべき監督ではないかと思います。


 シンプルなチーム作りをする分、即効性があり選手を入れ替えても成立するメリットが生まれ、金沢戦でGK以外の10人を替えてもしっかり戦えたのではないでしょうか。
 実際、尹監督のJリーグでの成績を見ても、鳥栖時代は初年度に2位でJ1昇格を果たし、2年目はJ1で5位と好成績を収めますが、3年目は12位と低迷。
 C大阪でも初年度はJ1の3位でナビスコ天皇杯を制しますが、翌年はJ1の7位で退任となっています。

 尹監督のキャラクターからしても、やろうとするサッカーにしても、目の前の結果がすべてといったタイプではないでしょうか。
 これは以下のYoutubeの動画で、勇人が「尹監督は結果が出ればいいんだけど、C大阪の最後は結果が出なくて…」と話していた感想とも重なります。


【ぎりぎりトーク】元ジェフユナイテッド市原・千葉のレジェンド、佐藤勇人さんが自身の今後やジェフの未来について語る

 思えば関塚監督も、どちらかといえば堅守速攻タイプで就任当初は良かったですが、その後は大きく失速。
 守備的な監督として有名なモウリーニョ監督も、"3年目のジンクス"があると言われています。
 それだけ守備的な監督は短期集中型になることが多く、長期的なチームの成長は苦手であることが多いのではないでしょうか。


 だからこそ、尹監督も初年度とはいっても、結果もしっかり見ていかなければいけないのかもしれません。
 しかし、こういう話になるとやはり気になるのはフロントに対してで、目標に対して何も提示していないのは少しずるいようにも感じてしまいますね。
 そもそもファン・サポーターの中で何の指標もなく目標を論ずるのがおかしいわけで、本来はフロントが提示すべきものなのではないかと思ってしまいます。

 短期に結果に集中するのであれば必要なのは、結果にこだわる姿勢ではないかと思います。
 そこで少し気になるのが、以下の安田の話。
www.targma.jp

千葉ではあの時よりルールとかってそんなにないというか、鳥栖のほうがルールも多かったし練習も全然厳しかったと思いますね

 私も感じていたのが、尹監督は随分と性格が丸くなったんじゃないかということ。
 以前はもっと厳しかった印象だし、雰囲気もピリピリとしていたように思います。
 先ほどのYoutubeでの3部練習に関しても、「朝食前のランニング程度でしょ?」とばらされていますし、そこまで厳しくはないということなのか。

 経験や年齢を積んで落ち着いたのかもしれませんが、結果を重視するのであればそれがマイナスに働かないか。
 あるいは、その分柔軟にチームを運営していくことが出来るのか。
 ジェフとしても厳しさは足りない部分だと思っていましたし、尹監督としてもそれこそが特徴なのではないかと思っていたのですが、今のところはそこまでの厳しさは感じないようにも思います。


 それとも表には出ないだけで厳しさを持ち合わせているのか、そしてサッカーのコンセプトが今の時代にあっているのかが、尹監督に関しては気になるところ。
 そして、チーム作りがうまくいくのかという点においては、監督の"型"は決まっているだけに、選手がいかにその要求にこたえられるかがポイントなのかなと思います。
 過去数年のようにチーム作りの方針段階でバタバタすることはないかもしれませんし、それだけでも半歩前進と言えるのかもしれません。

 しかし、そうはいっても最終的に成功を遂げられなければ、クラブにとっては幸せな状況とは言い難い。
 関塚監督やモウリーニョ監督のように2年目、3年目に苦戦するのであれば、今のうちから結果を追求しなければいけないかもしれません。
 長期間預ければ必ず成功するというものでもないですし、シビアに見ていく部分も必要なところがあるのかもしれません。