酷暑の中の過密日程ということで、さすがにスタメンを入れ替えるチームが多いですね。
今季初の遠方アウェイとなったジェフも、前節からスタメン10人を入れ替え。
前節山形に敗れた長崎も、スタメン9人を変えてきました。
しかし、試合の内容は明暗が分けれてしまいました。
前節は単純にコンディションが悪く苦戦した印象の長崎でしたが、この日は選手も変わりホームで戦えたこともあって、しっかりと動けていた印象です。
そうなると、ここまでジェフが対戦したチームとは1つレベルが違って、ジェフとの力の差を見せつけられてしまったように思います。
ジェフとしては前半、相手の思うように攻撃をさせ過ぎた。
いくら構えて守ると言っても押し込まれ過ぎで、それによって劣勢に立たされてしまった試合だったと思います。
相手に自由に攻撃をさせてしまったのも、前からの守備が甘かったからでしょう。
前からプレスに行かずに、相手に簡単に縦パスを出させる。
それでも後方選手の頑張りと、相手のミスに助けられてここまで来ましたが、相手のレベルが高いとそうはいかない。
それを見逃してきたツケが、回ったのではないでしょうか。
■押し込む長崎が2点を先行
連勝中のジェフですが、大幅にメンバーを入れ替え。前々節松本戦からゲリアをメンバー外にして、本村が初スタメン。
ベンチには堀米、熊谷、クレーベなどが復帰しました。
長崎もスタメンを入れ替え、元ジェフGK高木和に変えて徳重、CBを二見、角田、左SBも亀川に変更。
ボランチを加藤大、SHを大竹と吉岡、前線も富樫が負傷して玉田と畑がスタメンと、9人を交代してきました。
ベンチにはジェフU-18出身の大卒新人MF氣田、カイオ・セザール、ルアン、イバルボが控えています。
試合序盤から、長崎がボールを持って優勢に攻め込む展開。
8分にはジェフの攻撃。
左サイドの為田のクロスから、こぼれ球を高橋が狙いますが、GK徳重がセーブ。
13分には長崎の攻撃。
左サイドの亀川からのクロス。
こぼれたところに反応した毎熊が、ミドルシュートを放ちますがゴールの左。
その直後には、ジェフのチャンス。
センターサークルの左から、小島が前線へロングスルーパス。
これに寿人が飛び出しシュートを放ちますが、GK徳重がセーブ。
19分には長崎の攻撃。
中盤中央でパスを繋いで、外を空けてから毎熊がクロス。
吉岡が飛び込み本村と入れ替わりますが、GK新井が対応。
23分、長崎の決定機。
ボランチからのパスを受けた大竹が、左サイドに展開。
吉岡が受けてグラウンダーのクロスを通すと、大竹がフリーで合わせますが、枠を捉えきれず。
28分に長崎が先制。
二見からのパスを中盤の間で畑が受けた展開から、一度はジェフが奪い返しますが、高橋が囲まれてボールを奪われます。
大竹がそのままシュートを放ち0-1。
32分にも長崎のゴール。
角田からのパスでジェフの2トップをかわし、その後ろで加藤がボールを持ちます。
そこでジェフの守備を引き付け、右サイドに展開して毎熊がクロスを上げると、畑が足で合わせて2-0。
36分にも、同じような展開で長崎が仕掛けます。
角田からの縦パスを大竹が落とすと、加藤がボックスの間を取る形で前進。
畑が裏へ走り込み、クロスを受けた吉岡が狙いますが、本村がブロック。
39分にはジェフの攻撃。
ジェフが得た中盤後方でのFKからセカンドボールの奪い合いになり、最後は寿人が走り込んでシュートを放ちますが、GK徳重がキャッチ。
その後も長崎の鋭い攻撃が続きますが、2-0で前半を終えます。
■クレーベ投入で攻め込むも終盤は息切れ
2点を追うジェフは、HTで寿人を下げてクレーベを投入。後半からジェフは2トップにボールを集め、前へのプレスもかけていきます。
しかし、50分には長崎の攻撃。
左サイドで秋野からのスルーパスに、玉田が飛び出し畑が狙います。
しかし、畑がオフサイドの判定。
58分、ジェフの攻撃。
中盤左で得たFKを矢田が蹴り込むと、クレーベが合わせますが、GK徳重がキャッチ。
61分にも左サイドからのCK、矢田が蹴ってクレーベが合わせますが、ゴールをそれます。
55分頃からジェフは左右のクロスで攻め込み、長崎は無理をせず繋いでいく展開になっていきます。
65分、長崎は玉田を下げてルアンを投入。
ジェフはソロモン、矢田を下げて、工藤、堀米を投入。
73分、ジェフの攻撃。
工藤のアーリークロスをクレーベが落とすと、堀米がシュート。
しかし、GK徳重の正面。
76分、角田、毎熊、秋野、畑を下げて、フレイレ、米田、カイオ・セザール、イバルボを投入。
79分には長崎のチャンス。
フレイレからのロングパスをイバルボが落とすと、ルアンが仕掛けてシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
後半中頃はジェフが押し込む展開が続きましたが、80分頃からは再び長崎ペースになっていきます。
83分、ジェフは為田、本村を下げて、熊谷、鳥海を投入。
堀米が右WBに入る、トリプルボランチの3-5-2になりました。
その直後にも長崎の攻撃。
セカンドボールを拾ったイバルボが、持ち上がって岡野をかわしシュート。
しかし、GK新井がセーブ。
88分にも長崎の決定機。
カイオ・セザールが堀米をかわして、アーリークロス。
ファーで完全にフリーになった大竹がシュートを放ちますが、GK新井がファインセーブ。
その直後にも長崎のチャンス。
左サイドのルアンのパスから、中央でフリーになっていた亀川がシュートを放つものGK新井がセーブし、こぼれたところを亀川が再び狙いますが、GK新井がキャッチ。
2点ビハインドのジェフでしたが、試合終盤はガス欠状態となり、逆に何度も長崎に決定機を作られ、0-2で完敗となります。
■似たサッカーだからこそ大きな差を感じた試合
似たサッカーを展開するチーム同士の対戦だからこそ、力の差がはっきりと出てしまったように思います。長崎の方が攻守に連動していて、全体的なクオリティが高かったですね。
0-2で敗れた試合ですが、最後に何度もチャンスを作られたことを考えると、2失点で良かったと思うべきなのかもしれません。
ジェフは冒頭でも話したように、前半相手に自由にやらせすぎた。
相手に自由を与え過ぎた結果、全体的に押し込まれてやられてしまった印象です。
ちょうど同じメンバーで戦った松本戦後には、このような話をしました。
ジェフとしては前半のような守備が続けられるかどうか。
前半途中までは高かったラインも、相手の動きが活性化すると下がりがちになってしまったし、マークも捉えきれなくなった。
それを助けるためにも、やはりもう少し前線からの守備を改善した方がいいのではないかと私は思うのですが…。
松本戦ではシルビーニョへの縦パスを、DF中心に潰すことで相手の攻撃を遮断した。
しかし、DFのところで潰すということは、最終ラインが低ければゴール前での対処になってしまう。
そうなれば全体が押し込まれてしまうし、押し込まれれば相手が自由に攻撃が出来てしまい劣勢に立たされる。
さらにセカンドボールも拾えないし、奪い返してもカウンターの距離も長くなってしまいます。
一言で言えば、長崎戦は松本戦と比べてジェフのラインが低すぎた。
では、なぜラインが低くなってしまったのかというと、前からの守備が甘いから。
それによって左右に素早くパスを回され、簡単に深い位置まで持ち込まれてしまう。
もう1つは当然、長崎の攻撃力の高さもあった。
この日の長崎は左右の攻撃だけでなく、中盤の間を何度もついてきました。
それによって、ジェフの守備陣は中央もサイドもケアしなければならず、後手後手の守備になっていってしまいました。
実際、前半だけでも、何度もボックスの間にパスを通されてしまった。
1失点時も失点直後はボール奪取でしたが、その前に中盤中央でのパスワークによって、ジェフの選手たちは混乱していた印象がありました。
2失点目も相手ボランチに2トップ裏でボールを持たれたところから、サイドの守備が遅れてクロスを上げられやられてしまいました。
あれだけ間でボールを触られれば、やられてしまうのも仕方ないと思います。
正直ここまで長崎がパスワークを展開できるとは思っていませんでしたが、間を取られてしまう問題はこれまでにも感じていた部分。
それを修正できなかったことが大きな問題であり、磐田戦前にも話した通りこれまでは相手の攻撃力に助けられていたところも大きいと思います。
東京Vはフィジカル不足でも技術とパスセンスに優れたチームだから、ジェフは劣勢に立たされた。
一方で得点力やパスワークに課題のある山形や町田、松本などには、無失点で終えることが出来た。
要するに単純にこの2連勝は、相手の攻撃力やパスワークのレベルが低かったから優位に戦えたのではないか。
ジェフの戦い方や内容は大きく変わっていない印象ですし、相手の攻撃力が高ければ苦戦する…という可能性も十分あるように思います。
その後の磐田戦での勝利もあって盛り上がってきた部分もあったとは思いますが、長崎で敗れたことで結果的に冷静になれるところもあるのではないでしょうか。
また、長崎はジェフと似通ったサッカーをしてくるチームだからこそ、勉強になる部分もあったと思います。
長崎は守備時もしっかり前から守備をしていたし、簡単には押し込まれずバランスよく守ろうという意欲を感じました。
その分、後半中頃に見せた、ジェフのロングボール攻撃には苦労していた部分もあったかもしれませんが、押し込まれずに守るため一方的な展開は作らせなかった。
また、ボールを奪われた直後に奪い返す展開も効果的で、1点目などはその狙いが形になった展開だったと思います。
さらに攻撃においても、サイドを突くだけでなく、中央からのパスワークも作れていた。
中央からのパスワークの方が確実性は高くなるし、結果的にサイド攻撃も有効になっていく。
守備時のバランス、奪われた直後の守備、中央でのパスワークなどは、ジェフに足りていない要素だと思います。
もちろん、その分ジェフの強みを作れればいいのかもしれませんが、少なくとも現状では力の差がはっきりと出てしまった。
後半中頃の攻撃も長いボールを使ったことで、相手ゴール前までは行けましたが、確実なチャンスは少なかった。
やはり守備だけでは厳しいところもあると思いますし、攻撃面でも物足りなさを感じた試合でした。
一方で守備においても、相手の間を突いてくるパスワークにどう対応するのか。
長崎戦は攻守において多くの課題が見つかった試合だったと言えると思いますし、まだまだやらなければいけないことはたくさんあるように思います。
この後も上位チームとの対戦が続きますし、やはりここからが本番ですね。