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現在2位北九州のパスワークを封じ勢いを止められるか

 真夏の5連戦が終わり、J2は中断明けから2カ月が経過しました。
 今年就任した尹監督に関しては今までの印象だと、大きく崩れることはないのかなと思う一方、がっつり嵌りそうといった印象はまだなく、尹監督自身も自分のサッカーをチームに嵌め込むといった意志はあまりないのかなと感じます。
 戦術面においても約束事はあるものの選手の自主性に期待している面が強い印象がありますし、良くも悪くも思ったより人間味のある監督なのかなと感じています。

 攻撃に関してはアバウトなイメージが強いですが、そこはある程度予想できたことだと思います。
 小難しい攻撃を目指して失敗するくらいなら、大味でも強引に攻めようという発想であれば理解できるし、結果的にFWの個を活かした展開が作れている部分もあると思います。
 カウンターに関しても徐々に狙っていく試合が増えていますが、総合的に見るとそこまで攻撃に拘りがあるタイプではないのだろうといった印象です。


 一方、守備に関しては引いて守ることを第一にした結果、チーム全体の守備意識は高まっている印象です。
 ただ、前からの守備が整備されていないため、本当に引いて構えるだけになってしまうことも多く、ボックス間に隙が出来る試合も目立ちます。
 今年のジェフに対して「綺麗な4-4-2」と形容されることも多いですが、ボールが入ると人に食いつく傾向が強く、それによってポジションが乱れることも多いですから、実際にはそこまで綺麗な組織で守る形ではないように思います。

 これらの課題に関して、まだ尹監督が就任して間もないから、時間がかかる部分もあるという見方もあるでしょう。
 しかし、カウンターや前からの守備、ボックス間の隙間の埋め方などに関しては、そもそもチームとしてあまり重視していないように思えます。
 元々やる気がないのであれば時間の問題とは言えないわけで、どちらかと言えばコンセプトの問題ではないでしょうか。


 個人的には前から守備をしない、ボールが入ったら個人で対応するといった点が、戦術的に古さを感じる部分だと思います。
 戦術的に古くても最新のトレンドに対応できていればいいとは思うのですが、DFからの縦パス、間で受ける攻撃などは、ここ10年でJ2でも当たり前のように見られるようになった。
 そのため前からの守備などが重要となってくると思うのですが、そこを重視していないことが今後のネックとならないか。

 もっとピッチ全体でがっつり守備をチューニングする監督だと思っていただけに、そこが一番嵌り切れない印象に繋がるのではないかと思います。
 その分、大きく外れることもないかもしれませんが、大きく跳ねることもないのかなと今は感じます。
 シンプルなサッカーなだけに、あとは個々の選手がどれだけやれるのかが問われるのかもしれません。

 オーソドックスなスタイルなこともあって、選手を入れ替えても戦えることは、この過密日程にあってプラスだと思います。
 また、若手を積極的に起用してくれることは、ここまで若手育成に失敗してきたジェフなだけに嬉しいところですね。
 ただ、それらは過密日程だからこそ、生まれた要素である可能性もあるのかもしれません。

 ここまでの尹監督は思ったよりも癖がないというか、我を通すタイプではないのかなといった印象です。
 それだけに監督で勝たせるタイプではなく、クラブや選手個々で勝っていかなければいけないのではないかと思います。
 少なくとも現状では尹監督が魔法をかけてくれる、尹監督だから時間をかければ大丈夫といった感じではないですし、当たり前ですがクラブ全体で戦っていく必要がありますね。


 さて、改めてこの5連勝ですが、ジェフは3勝2敗ということことで、まずまずの成績で乗り切ったと言えるのではないでしょうか。
 ただ、スタートは3連勝でしたが、ラストは2連敗。
 さらに、序盤は下位チームが多かったですが、最後の上位2連戦では力負けしてしまいました。

 そして、明日の試合は現在2位で8連勝中の北九州と、アウェイで対戦します。
 8連勝ということで、この5連戦を5戦全勝で終えているわけですから驚異的ですね。
 特に堅守の大宮相手に4-1で勝利した試合はインパクトが強く、現在総得点25はJ2トップとなっています。


 やっているサッカーは、基本的には開幕戦から変わらず。

yukkuriikou.hatenablog.com

 ボランチからのパスや前線でのコンビネーションなど中でもポイントを作りつつつつ、サイドでもスピードアップできる。
 前線では2トップにうまく中盤が絡んで起点とサポートの関係性ができているし、そこを警戒しているとサイドのスペースを使ってくる。
 また、少ないタッチでの素早い展開も多く、全体的に選手が動けている印象があります。

 守備に関しては、前線からしっかりと走ってチーム全体で守っていく。
 局面での粘りも見せていて、小林監督らしい守備となっている印象です。
 その守備を捨てずに、むしろ攻撃的なサッカーを展開しているのですから、小林監督の手腕が際立っていますね。


 攻守における組織的な整備は開幕時から感じていましたが、それでも個の部分で苦戦するのかなと思っていました。
 ゴール前の最終局面では個が問われることが多いですし、実際に開幕戦でダービーとなった福岡戦でも、最終的には相手のフィジカルにやられて0-1で敗戦した印象です。
 それがここまで成績を伸ばしているわけですから、予想とは難しいものだなと思います。

 ただし、まだシーズンは先が長いですから、今後どうなるかはわからないと思います。
 北九州の躍進もあって、早くもJ1昇格だとか優勝だとか気の早い記事がたくさんでいていますが、長くJ2にいるとそこまで驚きはありません…(笑)
 というのも、2015年の金沢、2016年の山口、2019年の琉球など、J2昇格チームがシーズン序盤に快進撃を遂げたものの、途中からがたっと失速したパターンは少なくないからです。


 なぜこういったケースが多いのかを推測すると、J3での成功の余韻もあって勢いや自信があるから。
 あるいは、シーズン途中からは、クラブとしてのスタミナが求められて苦戦するから。
 または、相手の研究が進んで停滞していくケースが多いから…と言ったところが、考えられるでしょうか。

 もちろんJ2とJ3のレベル差が小さい、J2クラブの緩慢が目立つといった部分もあるかもしれませんが、J2は特に徹底して相手対策をするチームが多いと語る選手も多いわけで、J2昇格組はまだ対策が進んでいない序盤に結果を残せるのかもしれません。
 頻繁に監督を変えるジェフも、チームが変わった初年度や監督交代直後は結果を残しやすい傾向を感じます。
 しかし、徐々に相手に対策を取られていって、停滞していく印象です。


 それだけに、北九州もまだ未来が約束されているわけではないし、これからが大事でしょう。
 単純に今はコンディションも良く、選手たちも自信に満ち溢れているように見えますが、1つ転んだ時にどうなるか。
 現在8連勝中ですが、逆にそろそろ土がついてもおかしくない、息切れしても不思議ではない時期にきているかもしれません。

 ジェフは昨年も、開幕から負けのなかった琉球を相手に第7節で勝利。
 琉球はそこから5試合勝てずに、順位も一気に落ちていきました。
 一時の好成績なら出せる傾向にあるJ2ですから、北九州もここからが勝負所ですね。


 その北九州の勢いをジェフが止めるためにも、守備が問われる試合となるのではないでしょうか。
 中からも外からも攻撃が作れる相手ですから、バランスの良い守備が求められると思います。
 また、ボランチからの展開も多いですが、ジェフはそこからやられることが多いだけに、どう対策を打つのかが見所ではないかと思います。

 前節徳島戦も先制しながら徳島のパスワークに押し込まれ耐えきれずに敗れてしまい、前々節長崎戦も相手のパスワークに翻弄されてしまいました。
 東京V戦も敗れたようにパスワークを展開できるチームには苦戦する傾向がありますし、やはり引いて守るだけでは厳しいかもしれない。
 パスワークに対応するためにも、DFラインを下げて後方を固めるだけでなく、そこから前方も封じられるかが問われるところなのではないでしょうか。