当ブログはプロモーションを含みます

中盤で間を取られてしまう要因と2トップの守備

 8月末からの5連戦の成績は1勝1分3敗。
 1勝が最終戦だったのは救いですが、相手は20位のチームでしたし、全体的に見れば残念な結果に終わってしまいました。

 この間の試合結果をまとめると、得点は7もあげていますが、失点が10もあります。
 5連戦で結果が出なかったのは守備の問題が大きいと思いますし、堅守を目指しているのであればなおさら見逃せない部分となってしまうでしょう。
 ここまでくると、本当に堅守が作れるのかという致命的な疑問も出てきてしまうかもしれません。


 連戦初戦の北九州戦でも、相手に自由に攻撃を作られて3失点を浴びてしまいました。
 全体的にパスの出所に対してのプレスが甘く、中盤の間を通されてやられている。
 そうなれば例え引いて守っていても、後方に人数を固めているだけですから、堅守とは言い難い状況になると思います。

 北九州戦で特に気になったのが、29分のシーン。

f:id:aratasuzuki:20200901194044p:plain

 試合のユニフォームカラーに合わせて、ジェフが紫、北九州が黄です。

 左サイドでのスローインから、相手は左CB村松までバックパス。
 ここにクレーベが行きますが、チェイスも甘く、ボランチの高橋に繋がれます。
 高橋はSH椿に縦パスを送ると、椿が持ち上がって中央へ繋ぎ、ディサロがシュートを放ちますが、新井がカバーしました。


 このシーンでも、北九州のパスワークにはキレを感じました。
 図の白い三角でも示した通り、北九州は村松、高橋、加藤で三角形を作って、パスコースを複数作っています。
 さらに逆サイドの福森も前方で待っており、ジェフは守備の的を絞れない状況でした。

 一方のジェフは複数の守備問題を感じ、バランスの悪さも伺えます。
 まず、赤い線で示した通り、2トップの間が大きく空いています。
 ここが空きすぎてしまっては、簡単にボランチへのパスを通されてしまい、そこから中に侵入されてチャンスを作られてしまう。


 さらに全体のラインが低すぎて、相手ボランチなどが自由にボールを持ててしまっています。
 DFもFWも低い位置にいるからコンパクトともいますが、ここまで押し込まれてしまっては、簡単にゴール前まで持ち込まれてしまう。
 そうなれば、当然失点も増えてくるでしょう。

 続いて、5連戦中の4試合目、新潟戦でも似たようなシーンがありました。
 場面は27分のこと。

f:id:aratasuzuki:20200914150511p:plain

 山下とクレーベがふらふらと中途半端に寄せていったところで、マウロと舞行龍とつないでボランチ福田にパス。
 福田への山下のプレスバックも緩く、右サイドに開いていた中島にフリーで展開。
 中島は間を狙っていた本間に斜めのパスを出すと、本間はスルーパスを出しファビオが走り込んでシュートを放ちますが、GK新井がファイセーブで止めています。

 ここでも2トップのプレスが甘く、中途半端に出ていったことで、白い四角で表示した相手ボランチエリアがぽっかりと開いています。
 そこで福田が受けたことによって、黄色い線で示したように左SH堀米と左ボランチ小島は中央前方へ、意識が向いてしまいます。
 それによって黒円で示したように、外に開いた中島と間で受けた本間のいたエリアが空いてしまい、チャンスを作られてしまっています。


 これが4-4‐2の守備で、ジェフの2トップの後方、相手からすればボランチエリアで、簡単にボールを捌かれてはいけない理由だと思います。
 相手ボランチがボールを受けると、どうしても中盤は全体的に中央へ寄らなければいけない。
 全体が中央によれば、サイドへのスライドが遅れてしまう。

 さらに、ジェフのボランチは前へも出ていかなければいけない。
 しかし、4×4のボックスでボランチが簡単に前に出て行ってしまっては、バイタルエリアが空いてしまう。
 そうなれば今回のように、間で受けられてチャンスメイクをされてしまうわけで、頻繁にボランチが出ていく状態の守備は作りたくないはずです。


 このあたりが、ジェフが簡単に中盤の間を取られてしまう原因でしょう。
 だからこそ、ユン監督は2トップはあまりプレスに行かず、ボランチの前を埋める守備を実施するつもりなのかなと思っていました。
 しかし、そのわりには2トップはふらふらしがちで、ジェフのボランチ前はすぐに開けるし、2トップの間も簡単に通させてしまっている。

 ここが開幕時からの大きな疑問点でした。
 前へのプレスにもいかないし、2トップの間…ようするに相手ボランチへのパスを通されても、別に構わないといった素振りをしていることが多い。
 ならば、FWのプレスを整備しないのは、単純にしないというよりも整備できないということなのか…。


 そうなると、ユン監督の守備は本当にただ引いて守るだけ。
 守備意識を高め、局面での対応を重視するというだけなのか。
 それでも一昔前なら構わないかもしれませんが、今のサッカーはそう単純ではないのではないかと。

 それでも愛媛戦などでは、90分間を通してプレスをかけていこうとしているのかなとも感じました。
 そうなれば、チーム状況も変わってくるのかもしれません。
 そうなると今度は、リトリートメインの守備ではなくプレッシングメインの守備が整備できるのかという話にシフトしていくのかもしれない…といったところで、連戦が終わったといった印象です。