9月19日(土)から10月4日(日)までの5連戦は、2勝2敗1分で終わりました。
5連戦スタート時は好調にも思え、守備面でも改善点が感じられたように見えましたが、終わってみれば勝ったり負けたりのイーブンな成績に留まってしまいました。
岡山、山口、琉球、群馬と下位に落ち込むクラブとの試合が多かったことを踏まえると、望ましい成績ではなかったと言えるでしょう。
ここまでターンオーバーで過密日程を戦ってきたジェフですが、5連戦の前の愛媛戦からメンバーを固定化。
また、守備面では前からのプレスもかけるようになり、よりコンパクトな守備陣形を目指すようになった印象です。
プレスとコンパクトな守備に加えて、中盤でもコースを閉じる意識が強まったことによって、簡単にはボックス内に侵入されない守備に改善された部分があるのではないでしょうか。
それもあって、愛媛戦、岡山戦では2連勝。
琉球戦こそ相手対策だったのか引いて守る時間が目立ちましたが、上位の京都戦では引き分けだったものの、スコアレスドローと無失点。
ただ、一方で山口、群馬と相手が引いて守ってくると攻撃力を問われて苦戦し、カウンターでやられてしまうという課題も見えて、5連戦が終わったといったところだと思います。
守備が改善したように感じる中でも、特に京都戦はうまくいっていたように思います。
例えば16分のシーン。
DFラインまで下がっていたアンカー庄司からのパスを、右MF曽根田が受けたところでクレーベがプレスに行きます。
これによって曽根田はバックパスを選択し、CB安藤が受けて縦パス。
ウタカが間を覗いて受けようとしますが、田口がインターセプトして相手の攻撃を止めています。
このシーンではクレーベがプレスに行ったことによって、曽根田が前を向けなくなり、安藤までボールを戻させたことが大きかったのではないかと思います。
これによって一列後方からのビルドアップとなり、縦パスの距離が長くなった上、選択肢も減って田口がインターセプトしやすい状況になりました。
また、ジェフは全体の距離感も近かったため、コースを閉じやすかったとも言えるでしょう。
これができたのも、ジェフのコンディションが良かったことが理由として考えられるように思います。
もう1つには最終ラインが高く保てていたため、結果的に2トップが追う距離が短く済んだという点があるのではないでしょうか。
このシーンで、ラインが低かった場合を強引に考えてみると。
2つの図において白い円で示したエリアを見比べると、ラインが高い時の方がエリアが小さくなっていることがわかると思います。
実際のケースだとクレーベは少し下がってプレスに行っていますが、ほぼ真横に走っています。
しかし、全体のラインが低くFWのポジションも低かったとすれば、斜め前へ出なければいけなかったわけで、その分、走る距離も長くなっていたと思います。
さらに、これまでのジェフは2トップ脇のスペースを相手に取られがちで、そこにはボランチが前に出て対応しなければいけない状況でした。
しかし、このように守備範囲が狭まって、FWが横にスライドしてプレスに行けるようになれば、ボランチが前に出ていかなくて済むことになる。
その分、ボランチは中盤でののバランス調整や守備に力を注げるし、今回のようなパスカットも狙いやすくなるかもしれません。
ただし、ジェフ戦での京都はコンディションが悪く動きが重かったため、ジェフが対応しやすかった面もあったのではないかと思います。
京都もジェフより先に主力を固定化し疲れが感じられましたし、ボールを持っても人もボールもあまり動かなかった印象でした。
ジェフも京都の最終ラインにはあまりプレスに行けていませんでしたし、もっとジェフのラインの裏をつくことも可能だったのではないでしょうか。
実際、群馬は積極的にジェフの裏を狙ってきた印象がありました。
ラインの裏を突いて攻撃を作られると、ジェフはラインを上げにくくなる。
ラインが上げにくくなれば、プレスもかけにくくなるわけで、そこで前に行くか下がるかのせめぎあいが生じるはずです。
京都の場合は上記のシーンでもそうですが、ボールホルダーがどうしてもウタカを中心に見るところがあって、他の選手が裏に走ってもボールが出ないことも珍しくない印象でした。
さらに、ウタカが動いてからパス出しの選択をすることも少なくなく、その分攻撃が若干遅れることも少なくない。
また、ウタカ自身も動きが重い印象で、裏への飛び出しは少なかったため、ジェフがコンパクトに守りやすい状況だったのではないでしょうか。
そして、ジェフはコンパクトに守れたからこそ、ウタカに対して数的優位を保って対応することができたように思います。
それでも一発があるから怖い選手ではありますが、京都のジレンマもあって守りやすくなった部分もあったのかもしれません。
今後はより積極的に裏を狙ってくるチームも増えるかもしれませんし、その時にプレスやラインコントロールをいかにしていくのかが注目となるのではないでしょうか。