試合前に話した通り、町田はやっぱりコンディションがもう1つで、選手の動きが重そうに見えました。
日本代表に多くの選手を選出されていた、アマル監督時代も思い出しました(笑)
あの時もやりくりが大変そうでしたが、ポポヴィッチ監督もアマル監督もオシム監督と同じようにメンバーを固定化する傾向がある。
しかし、今年は異例の過密日程もありますから、さすがに選手への疲労が大きく出ているのではないでしょうか。
もっともアマル監督時代のジェフも今の町田もそうですが、選手層は厚くないのでどうしても固定化せざるを得ないという事情もあるのかもしれません。
町田も現在14位と苦労している状況で、前節対戦した大宮もそうでしたが、苦戦しているなりの試合内容だなといった印象でした。
一方のジェフはホームということもあってか、選手の動きは非常に良かったと思います。
しかし、9月末の京都戦もそうでしたが、レベル差のないJ2ではコンディションさえ上回れば、良いサッカーをしているように見える。
けれども、京都戦の翌戦には選手の動きが落ちると一気に低迷し、群馬相手に0-1で敗れているわけですから、しっかりと内容を吟味しなければいけないと思います。
むしろコンディションが良い時にしっかりと相手に勝っておくことが重要ともいえるわけで、相手の出来を考えるとうまく戦えたというより勝ちを逃したといった印象の方が大きいと思います。
しかも、前節に続いてのスコアレスドローで、これでジェフは2-1で勝利した9月19日(土)の岡山戦以降、約1か月間複数得点がないことになります。
勝ち星も5試合遠ざかっているわけですから、苦しい展開が続きますね。
前節大宮戦では相手にボールを持たれてチャンスも作れなかったですが、今回はジェフがボールを持ててもゴールが奪えなかった。
改めて、どうやって勝ちたいのか、はっきりしないことが大きな悩みとなっているのではないでしょうか。
町田は悪いなりにも守備で粘って素早いパスでカウンターで一発を狙うという意図が見えていたように思うのですが、ジェフはどう勝っていくつもりなのでしょう…。
■ジェフがボールを持つも動きは少ない前半
ジェフはゲリアがメンバー外で、本村がスタメン復帰。ベンチからは高橋が外れて、小島が復帰しました。
町田はこの日も、前節からスタメンを継続。
元ジェフの水本が、キャプテンマークを巻きます。
控えからはマソビッチが外れて、井上が入りました。
キックオフ直後、ジェフの攻撃。
カウンターで船山が持ち上がり、為田がクロス。
しかし、ニアで矢田が触るものの、中央には合わず。
立ち上がりから、ジェフがボールを持ってサイドから攻め込む展開。
ジェフは攻撃から守備への切り替えも良く、奪われた直後のプレスも効いていました。
しかし、18分、ジェフの田口が肩を負傷し、小島を投入。
その後も、ジェフがボールを持ち、町田は無理をせずカウンターを狙う展開。
22分には町田の攻撃。
左サイドの低い位置で安田が吉尾にボールを奪われると、吉尾はそのまま持ち込んでシュートを放ちますが、GK新井が対応。
33分、町田の決定機。
為田のパスミスから町田が中盤でつなぎ、ジョン・チュングンが中央へパス。
バイタルエリアでフリーになった高江がミドルシュートを放ちますが、ポスト直撃でゴールならず。
前半途中からは町田も若干盛り返していきますが、どちらも決定機は作れず。
スコアは動かずに前半を終えます。
■町田が巻き返す展開もあるも0-0
ジェフはHTで、為田を下げてアランを投入。47分にはジェフのチャンス。
チャンからのパスに対し、ニアで船山と相手選手が潰れてボールが流れ、山下が受けてシュートを放ちますが、GK秋元がファイセーブ。
その直後にも、ジェフの攻撃。
矢田のCKの流れから、本村が拾ってクロス。
チャンが頭で合わせますが、GK秋元の正面。
63分、町田のチャンス。
安藤が左サイドでつぶれたところから、ジョン・チュングンが抜け出して中央へパス。
平戸がフリーで受けてシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
徐々に町田が、前へ持ち込んでいく展開が増えていきました。
66分、ジェフは鳥海が足を痛め、増嶋が入りました。
71分、町田は吉尾を下げて、岡田を投入。
72分、町田のチャンス。
後方でのFKからGK秋元が前線に蹴ると、安藤が落として平戸が繋ぎ、再び安藤。
安藤がシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
83分、町田は平戸と安藤を下げて、井上と中島を投入。
87分にはジェフの決定機。
増嶋からのパスを間で受けた矢田が繋ぎ、山下がシュートを放ちますが、ポスト直撃。
89分、町田はジョン・チュングン、酒井を下げてステファン、小田を投入。
その後もジェフはCKとサイド攻撃から攻め込みますが、チャンスは作れず。
スコアレスドローとなりました。
■ボールを持ちたいのかカウンターを狙いたいのか
やはり町田はボールを持って攻め込むよりも、カウンターの方が怖い印象がありました。素早くダイレクトでパスを繋いでいく展開が特徴だと思うのですが、その精度がもう1つというのが町田の大きな課題ではないかと思います。
しかし、常に速い攻撃を狙っているからこそ、相手にスペースがある展開…ようするに、カウンターでボールが1つでも通れば、一気にチャンスが生まれる可能性がある。
もともと安藤、平戸、吉尾、ジョン・チュングンなど縦に速い選手も多いし、中長距離の強いボールを蹴ることができる選手もいる。
さらに後方では水本、深津、秋元と守備で粘れる選手がいるわけで、じっくりとパスを繋ぐよりも守ってカウンターというサッカーに合っているのかもしれません。
だから、多少ボールを失っても構わないので、速い攻撃にチャレンジしていこうという発想なのでしょうか。
それにしても、もう少し丁寧につないでいけばチャンスが作れるのでは…と思うこともありますが、そこは若さによる課題という側面もあるのかもしれません。
この日も町田のスタメンは、中盤から前線の選手は全員が20代前半で占めています。
それでもこの試合を見ていて感じたのは、ジェフがボールを持って攻め込んでいても、町田からすればこれが町田のパターンだよなということ。
もちろんもう少し前でボールを奪いたいだろうし、攻撃時のミスもなくしたいはずだとは思います。
しかし、守備から攻撃に移れば一気に選手たちが走り込んでいき、鋭いロングカウンターを狙えるチームなだけに、相手にボールを持たせてカウンターという勝ちパターンを持っていると言えるのではないでしょうか。
それに比べると、ジェフはコンディションは良く個々の動きでは優位に立っていたとはいえ、どういった試合展開が理想のパターンなのか見えてこない。
前節大宮戦では守備で粘っていましたが、カウンターが作れないだけに得点の道筋が感じられない。
かといって、今節のようにボールを持ってもそこから崩せる形はほとんどないし、良い攻撃を作りきれないから逆にカウンターも受けかねない…。
結局、攻撃はサイドからとセットプレーだけなわけですが、それも相手に読まれてきている印象です。
この試合でもクロスからのチャンスはほとんどなく水本、深津に跳ね返され続けていましたし、田口が負傷交代してからはFKでの可能性も下がってしまった。
クレーベがメンバーから外れた分、前からの守備は改善しているようにも思いますが、その分クロス展開だけでは厳しくなっているようにも思います。
単純に相手に持たせてカウンターが、自分たちのパターンなのか。
それとも、ジェフがボールを持って得点を奪うのが、自分たちのパターンなのか。
現状だとどうやって勝ちたいのか見えてこないだけに、理想とする絵が曖昧な印象を受けます。
確かに守備、クロス、セットプレー、それぞれにやりたいこともあって改善点が見られる部分もあるのかもしれませんが、それが局所的で1つに繋がっていかないというか。
全体として強くなり切れていないように思います。
無失点が2試合続いたことは収穫なのかもしれませんが、勝利に繋がるコンセプトがなかなか見えてこないような気がしてしまいます。