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12連勝を遂げた長谷部監督と福岡のチーム作り

 前節金沢戦で、6試合ぶりの勝利を遂げたジェフ。
 5連戦の最後は、アウェイ福岡戦となります。
 福岡は怒涛の12連勝を遂げていました。


 長谷部監督率いる福岡は、ジェフ、水戸時代と同様にポジションを細かく修正する4バックが印象的。
 中央からプレスをかけてサイドに追いやり、バックパスをさせた瞬間に激しくプレスをかけていくなど、連動した組織守備を構築しています。
 ジェフ時代もそうだったように、ラインが綺麗だからこそ押し込まれると前に出て行けなくなる傾向もありますが、福岡は上島、ドウグラス・グローリなどのCBも強く、最後尾でしっかりと跳ね返せている印象です。

 また、福岡は開幕戦から、攻め込まれるとFWが縦関係の4-4-1-1で守る形をとっています。
 トップ下の選手が若干下がって守備をすることによって、中盤の選手がサイドに流れても、その穴を埋めることができる。
 これによって4×4における守備の悩みを、解消しているように思います。


 攻撃に関しては、シーズン序盤は長いボールが多く、フアンマが落として遠野などが受けるパターンが目立っていました。
 一方でSHが高い位置でポイントになるなどして、SBが走り込んでクロスを上げるサイド攻撃も武器の1つとなっていた印象です。
 これによってエミル・サロモンソンなどをうまく使えていましたが、長谷部監督はジェフでも乾や比嘉、水戸時代にもジエゴや志知を活かしていたように、SBを使うのが得意な気がしますね。

 また、最近ではボランチを使った中央での縦への繫ぎや、近い距離間で素早く繋ぐパスワークが作れるようになっていきました。
 ジェフ時代にも終盤にはエウトンへの楔のパスから船山や町田などが受ける攻撃を狙うようになっていきましたし、水戸でも徐々に木村などSHが間で受ける攻撃を作っていきましたから、まずは守備とロングボールやサイド攻撃からチームの基礎を作って、その後パスワークを構築していくというのが長谷部監督の狙いなのかもしれません。
 パスワークによって確実な攻撃を作れるようになり、攻撃面で幅が広がったことによって、好成績を収められるようになったのではないでしょうか。


 さらに、大きかったのは8月下旬に広島から松本を獲得し、新型コロナウィルスから前が復帰したこと。
 どちらも運動量豊富に守備のできるボランチで、二人が全体のバランスを管理し、より激しく戦えるようになったことで、守備面も締まっていったように思います。
 特にキャプテンの前はちょうど12連勝の初戦にあたる9月5日の山口戦から復帰しており、メンタル的にも大きな存在なのかもしれません。

 現在の福岡は、17勝5分6敗で首位。
 昨年16位だったことを考えると、大きな飛躍を遂げたことになります。
 ジェフは現在10勝5分13敗の16位ですが、福岡のケースがあると昨年17位だったことを言い訳ばかりにはしていられなくなりますね。


 「たられば」ばかり言っても仕方がないとは思いますが、改めてジェフも長谷部監督でもう1年粘っていればと思ってしまいます。
 個人的にはネームバリューばかり考えて、エスナイデル監督にしたところがあるのではないかと思いますが、もっとじっくりとチームの中身を吟味すべきだったのではないでしょうか。
 関塚監督直後で崩壊状態だったチームを受け取った長谷部監督ですが、コーチの増員などもなく厳しい状況下で頑張っていたと思いますし、それらを差し引いて評価すべきだったと思います。

 もちろん福岡の成功は長谷部監督の手腕だけでなく、強化部などのバックアップも大きいでしょう。
 今年の福岡は監督だけでなく、大分で監督などを務めた柳田強化部長を招聘。
 選手も大幅に入れ替え、長谷部監督の意向に沿ったメンバーを揃えて、成功を遂げつつあります。


 一方で福岡と歴史や規模は似通ったところもあるジェフは、鈴木健二氏が今年からテクニカルディレクターを務めているそうです。
 次期GM候補ということになるのでしょうか。
 ただ、実績を確認してみると…。
ja.wikipedia.org

2004年からはアルビレックス新潟でスカウトを担当。2014年12月、アビスパ福岡の統括部長に就任した。2019年末に退任。2020年、ジェフユナイテッド市原・千葉のテクニカルダイレクターに就任。

 上記した通り、昨年の福岡は下位に低迷。
 ペッキア監督が失敗に終わり、久藤監督を招聘するもこちらもうまくいかず、強化部がバタバタとした1年だったというイメージが強く残っています。

 補強の面でもうまくいかず、戦力面でも苦労したシーズンだったように思います。
 今年の成功も昨年の土台があるといえればまだいいのですが、むしろ主力墓全に入れ替わって成功していることが、逆に昨年の失敗を色濃くしているように感じてしまします。
 それでも2015年にはJ1昇格を果たしているわけですが、そもそも鈴木強化部長は横浜FMの元選手で、井原監督とセットで福岡の強化部長に就任したようです。

 当時の福岡の成功も井原監督によるものが大きく、補強も柏や浦和など井原監督ルートで強化していた印象ですから、どこまで鈴木強化部長の手腕が反映されたのか。
 2018年に井原監督が退任してガタっと崩れたというか迷走したようにも思うだけに、正直不安な面もありますね。
 結果的に福岡はうまく元ジェフの長谷部監督を招聘して成功の兆しを見せ、ジェフは福岡が苦戦した際の鈴木強化部長が加入してどうなるのかということになるわけですが、果たして…。


 これらは人事的な話ですから長期的な観点になりますし、週末の試合に関しては一発勝負ですからまた違った展開になるかもしれません。
 9月から12連勝を遂げた福岡ですが、前節町田戦は0-0で引き分け。
 試合内容もどちらともつかない、均衡状態だったと思います。

 福岡はコンディションがもう1つで、プレスも少しずつ遅れがちでした。
 新型コロナウィルスの影響で1試合が延期になっていた福岡は9月に11連戦を経験した上に、町田戦はアウェイ4連戦という過酷な日程でした。
 さすがに選手の疲労も、たまっているのかもしれません。


 この連戦もあって長谷部監督はメンバーを少しずつ入れ替えていますが、それによってチーム力が落ちる試合があるのが課題の1つとなっているように思います。
 前節もキャプテン前をスタメンから外したことで、苦戦したところもあったのではないでしょうか。
 また、ジェフ戦からはフアンマが累積警告で2試合出場停止となっており、山形から山岸を補強したとはいえ、影響は大きいのではないかと思います。

 加えて、まだまだ残り試合はあるとはいえ、首位に立ったことでプレッシャーがかかってくるかどうか。
 首位の福岡、2位の徳島は少し抜けつつある状況ですが、意識し過ぎると動きが固くなるかもしれない。
 特に今年は3位以下のプレーオフがなく、救済措置は残されていないわけですから、リードしてシーズン終盤まで行きたいところではないでしょうか。


 前節は引き分けてしまったわけで、福岡としてはここで流れを切らずに勝ちに行きたいところではないでしょうか。
 一方のジェフも前節久々に勝利を遂げたところで、前節の勝利を裏付ける試合がしたいところ。
 前節のジェフは福岡とは逆にフクアリ2連戦だったため、後半相手に走り勝てたところがあると思いますし、アウェイで首位相手に真価が問われるところがあるのではないでしょうか。

 なお、12連勝した福岡ですが、12連勝の1つ前はジェフとの試合で2-2の引き分けでした。
 ジェフと長谷部監督の試合も、ここまで2勝2敗3分とイーブン。
 過去に遡ると因縁も多いチーム同士の戦いですし、どちらもシーズン終盤に向けて大事な時期だと思いますので、熱い試合を期待したいですね。