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福岡のスピーディで組織的なカウンター攻撃

 5連戦ラストで戦った福岡は、守備が非常に硬く、真面目に丁寧に穴なく守っていた印象でした。
 ただ、守備だけではなく常にカウンターを狙っていて、ボールを奪ったら素早く縦へという意識付けができていたように思います。
 それも浮き球のパスではなくグラウンダーでの縦パスが多かったわけですが、それを素早く縦につなぐということは受け手もしっかりと準備ができていなければいけないわけで、チームとしてしっかりとカウンターが作れているということが言えるということになります。

 守備時にうまくボールを奪えさえすれば、カウンターからゴールを狙えるという意識があれば、守備への意欲も増すのではないかと思います。
 そこでゴールを奪えば、結果的に点差が開いて守備も楽になるわけで、守備が報われることになる。
 さらに鋭いカウンターは、相手を脅かすことになり、相手の攻撃を緩める効果もあると思います。


 福岡はカウンターの作り方がうまかった印象で、例えば59分のシーン。

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 新井一耀のパスミスから中盤左後方で石津がボールを受けると、センターサークル内にいた遠野に縦パス。
 そして、図のように遠野は山岸に浮き球のパスを送ると、山岸は胸トラップで前へと落とします。
 前は左前方に開いた石津に展開し、石津がクロスを上げて山岸が頭で合わせますが、新井一耀がブロックという展開でした。

 チャンスには結び付きませんでしたが、カウンター展開としては鋭さを感じたシーンだったと思います。
 ポイントとしては、決して縦へ急いでるだけではないということ。
 図では記載しませんでしたが、石津からのパスを受けた遠野は、中盤でパスを受けることによってチャンスメイクを図りました。


 このシーンに限らず、福岡はボールを奪ったら、必ず前方の選手の1人が足元で受けようとする動きを見せる。
 そして、その選手に鋭いグラウンダーのパスが入って前を向けたら、他の選手が一気に飛び出していく。
 あるいは、縦パスが入っても相手選手がいて前を向けなかったら、そこで一度近くの選手に落とす。

 それが図で示したシーンで、山岸が落として、前が前を向く(誤字ではないです)。
 そこからもう一度、選手たちが走っていって、チャンスを作ると。
 このあたりのカウンター時の連携が、うまく出来ていると思います。


 パスを出す選手と、受ける選手と、それをサポートに行く選手。
 さらにそれを追い越して走り込んでいく選手と、連動したカウンター攻撃ができていることが、福岡の大きな武器ではないでしょうか。
 攻撃のスイッチがはっきりしていて、チームとして組織的にできているからこそ迷わず走り込めるし、スピーディなカウンターが作れているのだと思います。

 ジェフもここ数試合はコンディションは良い印象で、相手を押し込める回数は多かった。
 ただ、フリーな選手を作り出すというところまではできておらず、最後はいわゆるごり押しでの展開になりがちだったと思います。
 周りの選手がサポートして、他の選手が飛び出して、3人目、4人目を使うというような展開は、なかなか作れていないですね。


 ジェフはカウンターへ移る意識も、相変わらず低いように感じます。
 だから、相手の守備が整ってしまい、ブロックを攻略しなければいけなくなる。
 上記の図はカウンターを受けたシーンですが、相手に素早く仕掛けられている分、この時点でDFライン4枚が戻り切れていないし、綺麗なラインなども作り切れずに攻め込まれています。

 昨日のブロブでは攻撃の質の話をしていましたが、今日は攻撃のスピードの話。
 素早く攻め切ってしまえば、細かな攻撃の質は求められないかもしれないし、得点の確立も高まるかもしれない。
 とはいえ、その素早く仕掛ける攻撃を作るためにも、やっぱり質は必要なのではないかとも思うのですが…(笑)


 ともかく、福岡が常にカウンターを狙っていて、そこから素早く攻め切る攻撃は見事だったと思います。
 縦パスから先の展開に関する意思疎通がはっきりとできているからこそ、奪った直後に素早く縦にパスを出せるのでしょうし、アバウトなロングパスではなく明確な意図を持ったカウンターが作れるのだと思います。
 そこは明らかにジェフに足りていない部分で、首位との大きな差を感じました。

 福岡は守備が堅いだけでなく、攻撃も狙いが明確でした。
 このまま長谷部監督はJ1に進むのかなとも思いますし、J1でもやれるのではないかと感じられる試合だったと思います。
 攻守において丁寧に細部にこだわったサッカーをしている印象でしたし、90分間大きな隙がなくサッカーに集中していたように思います。

 ジェフも似たところのあるサッカーをしているわけですから、勉強になるところもあったのではないでしょうか。
 半年で契約を切ってしまった監督が指揮を執っている上、昨年の順位は1つ違いだった福岡が素晴らしいチームになって優勝争いをしている。
 その悔しさもばねにして、頑張っていかなければいけないと思います。