5連戦後ということもあり、書きたいネタはたくさんあるので図が多めです。
まず、11月8日(日)に行われたホーム山形戦。
試合後に話したように、この試合では前に出ていった裏、特にMFラインの裏を取られて1-5と完敗した試合だったと思います。
先制点を浴びたのが30分。
ボランチ岡崎が左後方に下がり3枚でビルドアップする山形が、ここでは野田からロングフィード。
これに右SB山田と右SH渡邊が走り込んで、こぼれたところをヴィニシウスが拾います。
ヴィニシウスは1対1になったチャンをかわして、ミドルシュートを決めました。
左SB下平の守備力とチャンの対応にも問題があったかもしれませんが、注目は黒い円で囲ったエリア。
ここが3対3の状態になっていることがわかります。
本来ならば相手のSBやSHが飛び出してきているわけですから、MFがフォローに行っておきたい場面だったと思います。
続いて、直後の37分にも2失点目を決められるわけですが、これも同様の流れからでした。
ここも、野田からのロングパスから攻撃開始。
左SB小野田が間で受けるとバイタルエリアを侵入し、渡邊、山田と右につないで、中央の中村に戻してミドルシュート。
こぼれ球を前川が詰めて、0-2となっています。
両シーンのポイントは、白い四角のエリアで示したように、ジェフのMFラインが高くDFラインとの距離感が空いてしまっていること。
前からプレスに行けて全体のラインが高ければMFがこの位置でもいいのでしょうが、前線が相手DFにプレスに行けていません。
これでは裏へパスが出る恐れがあるため、DFラインを上げることができないですが、MFは前に出ているため間が空いてしまったのではないかと思います。
試合展開を思い返すと、この日もジェフは立ち上りから前への姿勢を見せていましたが、前半中頃から勢いが止まってしまった。
にもかかわらず、MFラインがふらふらと前に行ってしまったため、バランスの悪い守備体型になっていたのではないでしょうか。
また、MFはプレスバックの意識も低く、相手の2列目を開けてしまう問題は、この試合に限らず感じる課題ではないかと思います。
シーズン序盤のジェフは引いて守る形が基本でしたが、ビハインド時などにハイプレスに行く時間帯は意外と悪くなかった。
そして、現在ではそのハイプレスの時間が長くなっています。
しかし、その中間の前に行けないけれど引きたくもない、バランス重視の状態で課題が見える部分があるのではないかと思います。
一方、2-0で勝利した11月15日(日)の新潟戦は、相手対策が功を奏して結果的にジェフの課題も埋まったのではないかと思います。
特に前半は、以下のような噛み合わせになっていた印象です。
図のように、新潟は両SBが中に絞り、両SHが外に出てビルドアップをする。
それに対してジェフは相手SBにはSHが付き、相手SHにはSBが付く形で対応していきました。
これによって黄色いエリアで示したように、中盤4枚がコンパクトになり、課題でもある中盤の守備が硬くなった。
さらにSHが前よりになる4-2-2-2気味になったことにより、ボランチがいつもより少し引いて守れていた印象です。
これによって何度かCBマウロから間を狙う縦パスが出ていましたが、ボランチとDFでうまくカバーできる状況になっていたと思います。
しかし、後半から新潟は左右SHを入れ替え、右SHに移った左利きの堀米悠斗が中に入って右SB田上が外に出ていきました。
これによって堀米には安田が絞って対応し、田上を見るためアランが外に出る必要がでて、ジェフの中盤4枚が横に広げられてしまいます。
例えば67分のシーン。
新潟が後方で右から左にパスを繋いでいき、ジェフの2トップ横で受けた島田から中盤中央の中島にパス。
中島がスルーパスを出すと鄭大世が抜け出し、最後は本間が受けてシュート。
シュートは鳥海にあたって攻撃は終わります。
得点にはなりませんでしたが、この直前にも同じように本間とのパス交換から中島が反転し、ジェフのボランチ2人をかわしてシュートまで持ち込んでいます。
これが生まれたのも、相手の変化によって、ジェフの中盤が横に広がってしまったこと。
それによって、中盤中央の守備が薄くなって、チャンスを作られてしまったように思います。
4-4-2において難しいのは、中盤中央が薄くなりがちで、そこを掻い潜られると一気にピンチを作られやすいということ。
4-2-3-1や3-4-1-2などは全体が4列で形成されており、ボランチ前にトップ下などがいて守備をサポートすることができる。
しかし、フラットな4-4-2だと、ボランチはいわば無防備な状態。
だからこそ、最近復刻した4-4-2ではFWに守備力を求められることが多いのでしょうが、ジェフはそこが課題となっている。
あるいは、昨年の町田のように前後左右にコンパクトで組織的に守ることで、互いに薄さをカバーしあう。
しかし、山形戦のようにジェフのMFはふらふらと前に出ていってしまうこともあるだけに、組織的な統率が保ち切れていない印象もあります。
新潟戦前半は相手対策がはまった結果だと思いますし、他の状況でどうなるかはまだわからない状況だと思います。
ただ、新潟戦の前半は参考になる部分もあるのかもしれません。
両SHと2トップでうまくプレスをかけられれば、ボランチが少し引いて中盤でバランスを取れる状態になるかもしれない。
そのためにも問題はプレスのかけ方とポジショニングによるバランス管理で、それがうまくいったのが新潟戦前半。
苦労したのが、新潟戦後半だったように思います。
ピッチ全体でバランスの良い守備を構築できるかが、今後の注目点の1つといえるのかもしれません。