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ロングキックから押し込み山口のミスもあって2-1の勝利

 山口は佐藤健太郎を起用し、解説には中島浩司と元ジェフのボランチが名を連ね、どこか懐かしさも感じる試合でした。
 元ジェフのボランチといえば、浦和の阿部はベンチにも入っていないようですが、来年どうするんでしょうね…。

 オシム監督に「サッカーを知っている選手」と評された中島は、解説になってからもさすがの分析力を見せています。
 この試合の途中には、ジェフに関して「相手の守備も見て攻撃を変えているのでは」という趣旨のコメントもしていました。
 これはいつもよりも、ロングキックが多いという見方をしたのでしょう。

 中島は試合後にも、個人的な印象として「千葉は勝ちはしたけれど、選手心理としてはどうなのかな」という戦い方だったのではないかと話していますが、それもアバウトなサッカーを展開したことに関してでしょう。
 内容を見ても前半は押し込んだ時間もあったとはいえ流れの中ではほぼ攻撃を作れず、後半は動きが止まってチャンスを作られる時間もあった。
 最終的には相手GKのミスから勝越点を奪っての勝利ですし、最下位相手であったことを考えれば、大手を振って喜べるような試合ではなかったようにも思います。

■ジェフがセットプレーから攻め込むも前半は0-0

 アウェイのジェフは、スタメンを継続。
 サブから米倉が外れて、矢田が復帰しました。

 山口は11月21日に新型コロナウィルスの陽性者が出ていますが、感染者を公表していないため、誰かはわからない状況です。
 結果が出ていないこともあってか、高、田中陸、河野がベンチ、浮田がメンバー外で、元ジェフの健太郎、古賀、森、小松がスタメン。
 今年ラトビア2部から加入した22歳の古賀がJデビュー戦で先発となり、池上とインサイドに入って健太郎がアンカーの4-1-2-3でした。


 立ち上がりは山口がボールを持って攻め込み、ジェフがカウンターを狙う展開。
 2分、山口の攻撃。
 右サイドからのCKを池上が短く繋ぐと、森が中に入っていき船山をいなしてシュートを放ちますが、GK新井が対応。

 9分にはジェフの攻撃。
 左サイドからのCKを田口が蹴ると、GK吉満が弾き出します。
 これを堀米が頭でプッシュしますが再びGK吉満が弾き、もう一度堀米が足元で合わせますが枠の外。


 17分にもジェフの攻撃。
 左サイドからのCKを、今度は堀米が蹴ります。
 ニアで新井一耀が合わせますが、枠をとらえきれず。

 山口はサイドから良い攻撃を作るもののチャンスまでには至らず、前半中頃からジェフが攻め込んでいきます。
 36分にも、セットプレーからジェフの決定機。
 中盤右で得たFKを堀米が蹴ると、クレーベがファーで折り返して鳥海が合わせますが、ポストに嫌われゴールならず。

 その後は、若干山口も押し返していきます。
 ジェフは押し込んでも流れの中でのチャンスは作れず、0-0で折り返します。

■後半から激しい展開になり2-1で勝利

 後半開始直後、ジェフのチャンス。
 新井一耀からのロングフィードを受けたアランが、右足でクロス。
 クレーベが落として堀米がヘディングシュートを狙いますが、ジャストミートせず。

 51分、ジェフが先制。
 安田からの浮き球のパスを、船山がキープして堀米へ。
 堀米が中央で仕掛けてシュートを放つと相手DFにあたりますが、こぼれたところをクレーベが詰めて1-0。


 その直後には山口の決定機。
 右サイドの奥で池上が粘って安田からボールを奪うと、森がドリブルで侵入し鳥海、田口をかわしてシュート。
 しかし、バー直撃でゴールならず。

 1点を失った山口は54分、古賀を下げて高を投入し、そのままインサイドに。
 そこからは山口が再び攻勢に出ます。
 63分にはジェフがCKからのボールを拾い、田口がクロスを上げクレーベが落とし、アランが足元でシュートを狙いますが、GK吉満の正面。


 その直後には山口の攻撃。
 右サイドからのパスワークから、絞った堀米にボールが当たる形で、小松が抜け出します。
 小松はバックパスを選択し、安在がミドルシュートを放ちますが、ふかしてしまいます。

 66分、山口は健太郎を下げてイウリを投入し、高と池上のダブルボランチに、小松とイウリの2トップになりました。
 その直後、山口が同点弾。
 高井が左サイドからクロスを上げると、こぼれたところをイウリがボレーで決めて1-1。


 74分、ジェフは船山、アラン、堀米を下げて、川又、見木、矢田を投入。
 76分、山口は池上、森を下げて、吉濱、田中陸を投入。
 78分には吉濱が右サイドからクロスを上げ、大外の高井が狙いますが、サイドネット。

 80分、相手のミスから、ジェフが勝ち越し。
 GK吉満が前線にボールを送る際に、足を滑らせミスキック。
 ジェフが中盤で拾って、最後はクレーベがシュートを放ち2-1。


 その直後にもジェフのチャンス。
 GK新井からのロングキックを中盤で田口が粘って、熊谷が縦パス。
 クレーベがヒールでつなぎ、川又が前を向いてシュートを放ちますが、GK吉満がセーブ。

 86分には山口のチャンス。
 高からのロングパス、こぼれたところを小松が拾いイウリが狙いますが、GK新井がセーブ。
 さらにこぼれたところを吉濱が狙いますが、ここもGK新井が対応。

 試合終盤は山口が攻め込む時間が続きます。
 ジェフは92分にはクレーベを下げてチャンを投入し守備固め。
 時間を使って逃げ切りました。

■ロングキックから山口の弱点を突く

 冒頭で話した通り、ジェフはいつも以上にロングキックを多用していた印象でした。
 試合前にも指摘しましたが、山口はプレスをかけてくるものの、そこを掻い潜られると脆さがある。
 そこでジェフはロングキックで、山口のプレスを回避してセカンドボールを拾うサッカーを展開しようと狙ったのでしょう。

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 山口はプレスをかける守備が基本となっている上に、4-1-2-3で前掛かりなシステムになっている。
 しかも、CB2枚と1トップ以外は、比較的小柄な選手が多い。
 だから、ジェフは長いボールに弱いと判断したのではないでしょうか。

 これは昨年後半に戦った時も同様で、あの試合でもクレーベに長いボールを放り込み、CB前貴之に競り勝ってそこから2得点を挙げています。
 2-3で敗れはしましたが、山口のロングボールとクレーベへの対応の甘さを感じた試合でした。
 今季前半に戦った際は、負けが込んでいた山口が引いてカウンターを展開し1-2でジェフが破れていますが、そこからまた前に出るようになって苦労しているということでしょうか。


 ただ、山口も霜田監督1年目はオナイウを目がけて長いボールを蹴り込み、そこを拾うサッカーだったと思います。
 確実につながなくてもプレスをかけて奪い返すので、アバウトでもよい。
 今日のジェフのようなサッカーだったと、言えるのではないでしょうか。

 しかし、ロングボールを蹴り込みそこを拾う展開だけでは、長くやっているとどうしても限界がある。
 実際、この日のジェフも山口が運動量を増した、高の投入直後などは相手ペースでした。
 フィジカルを前面に押し出すロングボールサッカーでは、コンディションが良い時は良いものの、走り負けると一転して苦戦してしまう。


 これは関塚監督時代にも経験していたはずで、2015年も前半はパワーサッカーをしていたけれど、それがフルシーズンは持たずガタっと崩れてしまいました。
 それだけに現在の山口も戦い方を変えて細かく繋ぐサッカーにシフトしているのではないかと思いますが、この日の前半もサイドを何度かよい形で攻め込めたものの、そこから完全には崩せなかったり、最後の質がもう1つだったりでチャンスが作れなかった。
 これは現在の大宮もそうで、ロングボールサッカーに限界を感じ、パスサッカーを目指そうとしているところで、壁にぶつかっているのではないかと思います。

 ジェフも長い目で見るとロングボールだけでは厳しいでしょうし、実際にシーズンが進むにつれパスを繋ぐ時間帯も増えてきている。
 しかし、そこで崩しきれない試合が多い。
 そうなってくると、ボールを持ってもカウンターを受ける機会も増えるかもしれないし、中途半端なチームにもなりかねないように思います。


 フィジカル主体のサッカーだった山口や大宮が、2年目、3年目に苦労して迷走しているようにすら見える。
 それだけにジェフも将来的に攻守において、どういったビジョンを描くのかを真剣に考えないといけないと思います。
 時期的にも順位的にも、目先の勝利に喜んでいる場合ではないでしょう。

 例えば反町監督時代の松本ように、プレスに行きつつも、行けない時はセットした状態での堅守を準備すべきか。
 それならば、やはり引いている時の守備をもっと改善しなければいけないと思うし、この日のように押し込まれてチャンスを作られるようでは厳しい。
 また、プレースキックは当時の松本や現在のジェフも武器となっていますが、引いて守るのであればカウンターも欲しいところでしょう。


 あるいは、完璧にプレッシングサッカーを目指すのか。
 そうであるのなら、今の前線の組み合わせは適当ではないと思うし、2列目も含めて大幅な選手変更も実施しなければいけないのかもしれない。
 ただし、今年のジェフはハーフカウンターからの攻撃はほとんど作れていないだけに、プレッシングサッカーも現段階では現実的ではないように思います。

 中島も話していましたが、この戦い方は山口戦で勝つためには正解だったのかもしれませんが、他の試合でうまくいくのかは疑問が残ります。
 勝てば官軍…と言いたいところではありますが、相手は最下位でジェフも今は昇降格のない状況。
 現在のジェフの置かれた立場を考えれば、何よりも来年に向けての可能性を見せてほしいところだと思いますし、そういった意味では物足りなさも残る試合だったと思います。
 来年に向けてのステップが残り試合で見られるかどうかが、今後の注目点ではないでしょうか。