ついにと言うべきか、ジェフにも新型コロナウイルス感染者が出てしまいました。
とはいえ、クラスターが起きた鳥栖、柏を筆頭に、J2でも町田、福岡、磐田、京都、愛媛、山口などに選手の感染者が出ています。
ちょうど同日にはF1のルイス・ハミルトンも新型コロナ感染を発表しましたが、ハミルトンは約2週間前にチャンピオンを決めたばかりで少しでも時期が違えばチャンピオンシップの行方にも影響が出ていたかもしれません。
これまでにも、F1ではドライバーやスタッフ、チーム代表などが感染しています。
今やスポーツの種別や国、分野や業界などが違ってもどこで感染するかわからない状況ですし、画期的なワクチン開発など根本的な対策が確立されるまでは、いつ被害を受けても仕方がないという心積もりで準備をしていくしかないのだろうと思います。
ただ、ジェフの場合は感染者が出た他クラブと比べて濃厚接触者が6人と多い状況ですので、それが偶発的なものなのか、対策に何らかの問題があったのか、今後のクラブ運営・リーグ運営のためにもしっかり精査すべきではないかと思います。
また、今後感染者が増える可能性もまだあるでしょうし、感染者の1人は40度の高熱が出たそうですから、後遺症の心配もあると思います。
時期的に今シーズンの復帰は難しいのではないかと思いますし、今は治療に専念してしっかりと休んでほしいですね。
試合に関しては、お互いに静かな展開だったと思います。
東京Vは前節の0-4での大敗も響いたのか、昇格がなくなったショックか。
ジェフはコロナに関する動揺か、前節の敗戦の影響か。
単純にシーズン終盤の連戦で疲れもあったのかもしれませんし、この時期のナイトゲームということで体が動きにくかったのかもしれません。
ただ、トータルでいえば東京Vの方がゴールに迫っていましたし、ジェフとしては何とか勝ち点1を拾えた試合だったと言えるのではないでしょうか。
コロナショックの直後ということを考えれば、良く戦ってくれたと言えるのかもしれません。
■慎重な戦いで0-0で折り返し
新型コロナ感染者2名、濃厚接触者6名の計8名を欠くジェフですが、思ったよりも主力は残った印象でした。見木は累積警告の出場停止で、安田、ゲリア、小島、矢田がメンバー外になり、山下、川又が控えに戻って、増嶋、下平、熊谷、堀米、アラン、船山、クレーベがスタメンで、増嶋が右SBに入りました。
サブからはチャンが外れて、岡野、米倉、為田、高橋壱晟が入っています。
前節アウェイで琉球に0-4と大敗した東京Vも、メンバーを入れ替え。
近藤、藤田、森田がベンチ、福村、端戸がメンバー外で、高橋祥平、若狭、佐藤、井出、小池がスタメン。
大久保や引退を発表したレアンドロは、不在となっています。
東京Vは変則的なシステムで、守備時は4-4-2で井上と佐藤が2トップに。
攻撃時は流動的ですが、奈良輪が前に出て若狭が残る3バックのような布陣になり、山本がアンカー、井出、佐藤がインサイド、小池と山下がウイングで井上が0トップに近い形。
試合は両チーム、前節敗れていることもあってか、慎重な展開に。
19分には、東京Vの攻撃。
右サイドから中央へ若狭、山本、井出とつないでいくと、奈良輪の前が空きます。
奈良輪がミドルシュートを放ちますが、ゴールの右。
22分にはジェフのチャンス。
後方で右から左へとつないで、下平が裏へのスルーパス。
船山が飛び出していきますが、平がスライディングでカバー。
このプレーで得たCK。
堀米が蹴るとクレーベが飛び込み、こぼれ球をアランが繋いで、ファーで新井がシュート。
しかし、相手選手にあたってゴールならず。
31分、東京Vの決定機。
左から中央へ山下、井上とパスを繋いでいくと、中央でフリーになった佐藤が浮き球の縦パス。
フリーで小池が飛び込みますが、シュートはバーの上。
その後も静かな流れ。
お互いにあまりプレスにはいかず、東京Vは最終ラインからじっくりとつないでいく。
ジェフも縦パスは長いボールが多いものの、後方でゆっくりつなぐ時間が長く、スコアは動かないまま前半終了となります。
■後半から東京Vがチャンスを増やすも1-1で引き分け
HTに東京Vは奈良輪を下げて藤田を投入し、藤田がボランチで山本が左SBに。開始直後、東京Vの攻撃。
田口のクリアミスを藤田がカットし、小池がミドルで狙いますが、GK新井がセーブ。
このプレーで得たCK。
佐藤がショートコーナーで、ボールを受け直しクロス。
若狭がバックヘッド気味に狙いますが、枠の外。
後半からジェフがプレスをかけていきますが、東京Vはパスを素早く繋いで回避していきます。
60分、ジェフは堀米を下げて為田を起用し、アランが右へ。
61分、東京Vは井出に代えて森田を投入。
62分、東京Vの攻撃。
カウンターからパスを繋いでいき、左サイドの森田が山本へ。
山本は中央へ繋ぐと、佐藤の前が空きミドルシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
東京Vが良い攻撃を作る中、68分に先制。
東京Vが中盤でボールを奪ったところから、佐藤が受けて斜めの縦パス。
これを井上が落とすと、藤田がシュートを放ち0-1。
失点したジェフは前への姿勢を強めていきますが、シュートまでは持ち込めません。
73分、ジェフは熊谷と増嶋を下げて、高橋と米倉を投入。
81分、東京Vは山本を下げて近藤を投入し、高橋が左SBへ。
その直後に同点ゴール。
後方でボールを奪った田口が、裏への長いパス。
これに為田が走り込みグラウンダーのクロスを上げると、クレーベと高橋が競り合う形でゴール。
89分、ジェフはアランと船山を下げて、川又と山下を投入。
その直後、東京Vが決定機。
左サイドからのCKを佐藤が蹴ると、ニアで軌道が変わってファーで井上が合わせますが、ポスト直撃。
その直後にも東京Vがチャンス。
カウンターから左サイドで受けた佐藤が、中央へパス。
藤田が落として森田が高橋をかわし、鋭いシュートを放ちますが、ゴールの左を逸れます。
その直後にはジェフがチャンス。
ピッチ中央右からのFK、田口が蹴りこぼれたところを拾ったクレーベがクロス。
山下が飛び込みますが、オフサイドの判定。
92分、東京Vは井上を下げて石浦を投入。
その後も東京Vが攻め込みますが、ゴールは生まれず1-1の引き分けに終わります。
■中盤を横につなぐ東京Vのパスワークを止められず
新型コロナの影響で戦力ダウンが懸念されましたが、替えの効かない主軸選手は出場できましたし、思ったよりも影響は少なかったのかなと思います。今年は過密日程で東京Vもスタメンを5人入れ替えてきましたし、どこも怪我人も多い印象ですから、なんとか残った選手で戦っている状況だと思います。
もちろん難しい状況ではあるとは思いますが、どのチームも苦労しているのでしょうから、頑張ってほしいところですね。
あえていつも通り試合に関して触れると、ある程度予想していた通り、磐田戦の前半を思い返すような内容だったと思います。
確かに4-4-2で守備的に戦って、相手のパスワークをある程度遅らせることはできている。
しかし、潰しきるところまではいかず、完璧には止めきれていないので、スルスルとパスを通されてしまう展開が見受けられる。
特に東京Vの場合は、流動的なパスワークを展開してきますが、5レーンの意識があってワイドにも選手を配置する。
そこへ繋いで相手を寄せておいて、縦に行くのではなく中盤を横につないで、角度をつけていく。
この攻撃に、ジェフは最後まで対応できなかった印象です。
ジェフはサイドを攻め込まれると、中盤も含めてラインが低くなりがちになる。
その状況で横にパスを繋がれると、中盤で空く相手選手ができてしまう。
本来ならばそのボックス前でFWが守備をしてほしいところなのですが、クレーベと船山のコンビではそこに課題が出てしまう。
前回対戦した7月にも似たような形でやられており、ジェフとしては同じ形での攻撃を止められなかったことになります。
当時も話していますが、ジェフの場合はスライドはしてもスライドした後の守備に課題がある印象です。
それでも1点を返して引き分けたことは良かったと思うのですが、来年以降まで考えると守備の安定ができてこないと不安が残る。
そこがベースとなるチームなはずですから、簡単に攻め込まれるような状況ではまずいと思います。
パスワークを展開するチームを相手に、ボールを持たれて攻め込まれるのではなく、ボールを持たせてどこに攻めようか迷わせるような状況を作れなければ。
あるいは、ゴール前に侵入させないような状況がつくれなければ、堅守とは言い難いのではないでしょうか。
この試合に関してはコロナ感染者が出た直後でイレギュラーな面もあったと思いますし、成果という意味では勝点1を拾えて良かったと思います。
ただ、試合内容や課題に関しては前節までと大きく変わっていないように見えたし、コロナによる影響だけではない部分もあったはずです。
選手が離脱する面などは割り切って考えなければいけないところがあると思いますし、厳しい状況の中でも来季に向けての課題と希望が見えてくるといいですね。