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高橋悠太GMの退任発表と今後のクラブへの期待

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 連戦の影響で取り上げるのが遅くなりましたが、高橋GMの今季限りでの退任が発表になりました。
 タイミングからして、今季の成績が悪ければ11月末日で契約満了となる予定だったのでしょうか。
 高橋GMは2016年にジェフGMに就任していますが、数字の面で見るとかなり厳しいものとなってしまいました。

 それまでJ2で二桁順位のなかったジェフですが、就任初年度を11位で終えると2017年こそ6位でPO進出を果たしますが、2018年は14位、2019年17位とクラブ最低記録を更新し、今年もJ2下位で苦しんでいます。
 また、経営面の改善も期待されていた可能性がありますが、こちらも初年度こそ選手の大幅入れ替えもあって『チーム人件費』が抑えられていますが、その後は増加の一途を辿っています。

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 大幅入れ替えによって一時的に戦力も低下したよう見えましたし、就任当初に経営問題を指摘していたわりには、経営面でもうまくいっていないように見えました。
 もちろん、成績などは高橋GMだけの責任ではなく、長いJ2生活でクラブの総合力は下降傾向にあったと言えるでしょうが、それに歯止めをかけられなかったということになるでしょう。


 それでも今季のチーム運営に関しては、今までよりは悪くない印象も受けていました。
 今年就任した尹監督もそこまでうまくいっている印象はないですが、少なくとも招聘段階のチョイスとしては過去の実績などを考えると悪くないものだったはずです。
 また、年齢構成の問題はありますが、田口、新井章太、山下、川又などの補強は成功で、昨年途中に加入した安田も含めて、新加入の選手が今季のチームを引っ張っていることにもなります。

 しかし、それがむしろ今までのチーム運営の拙さを、浮き彫りにしている印象もあります。
 高橋GMが2年目に招聘したエスナイデル監督は経験が浅いだけでなく、過去にも監督としてうまくいっておらず、人事の失敗は「運が悪かった」では済まされないでしょう。
 しかも、エスナイデル監督の2年目を継続した判断はともかく、3年目の継続は明らかに無理がある決断で、結局その年は早期に監督解任をしほぼ1シーズンを棒に振ったことになるわけですが、クラブにとって1年を無駄にするというのは相当な損失と言えるのではないでしょうか。


 さらに、補強に関しても田口や新井章太などはジェフ加入直後から飛び抜けた活躍をしており、結果的に今までの選手の能力不足を強く感じることになりました。
 今季の出場時間を上位から見ていくと、新井章太、安田、田口、チャン、山下と新加入の選手がずらっと並んでいます。
 新体制に合う合わないはあるにしても、それまでの補強や選手構成にどこか問題があったのではないかと感じてしまいます。

 上記の通り『人件費』は年々増えていたわけですから、選手を補強できるのはあたりまで、問題はバランスや軸となる選手を補強できるかどうかでしょう。
 ジェフは華があって一発のあるアタッカーやネームバリューを重視した補強が多かった印象で、総合能力の高い選手、バランスの取れる選手、黒子になって汗のかける選手がかけていたように思います。
 そういったバランスを取る仕事こそ、GMに求めらられるのではないかと思うのですが、全体を見る目という面において課題があったのかなとも思います。


 非常に残念なのは高橋GMがどんなクラブを目指したかったのか、どんなチームを作りたかったのか、最後までわからなかったこと。
 就任当初に、昇格するチームは「連敗しない」、「二桁得点を取る選手が2人いる」、「スタイルを明確に表現できるチームであること」などを説明していましたが、あくまでそれは手法や結果あって具体的な目的やビジョンではないはずです。
 攻撃的なエスナイデル監督から守備的な尹監督にシフトしたことも含めて場当たり的な印象を受けざるを得ず、長期的なビジョン作りという点でも課題を感じました。

 アバウトなチーム作りで華のある選手をどんどん集める手法でも、多額の資金を使える神戸ならまだよかったのかもしれませんが、ジェフはJ全体でいえばそこまでの予算規模があるわけではない。
 もちろんジェフも内部では親会社などとのしがらみなどが多いのではないかと思いますし、下降傾向のあるクラブを立て直さなければいけない難しさなど同情すべき点も多々ありますが、どこのクラブも何かしらの悩みはあるはず。
 問題の多いジェフを率いるには経験も実績も浅すぎたということなのかもしれませんが、GMとして就任した以上は言い訳できないところもあるはずです。


 もっと深く言えば言えば、高橋GMからは"現場感"を感じないと言うか、"サッカー人"としての雰囲気を感じ取れなかったように思います。
 サッカーを愛しているのであれば、監督やコーチなどではなかったとしても、どんなサッカーがやりたいのか、どんなクラブを目指したいのかが外から見えてくるものなのではないかと思うのですが、それがまったくと言っていいほど感じられなかった。
 ともかく監督と選手の組み合わせでどうにかしようとしていた印象で、チームや選手をコツコツと育て上げ、理想のサッカーを作り上げたいんだというような意思はほとんど感じませんでした。

 考えてみれば、祖母井GMなどを筆頭にGMは、コーチを務めた実績のある方やJSLJリーグなどで選手として経験を積んだ方が多い。
 現場で地に足をつけて、どんなチームを作りたいのか、どうやったら良いチームが作れるのかを学んでいくということなのかもしれません。
 しかし、高橋GMの場合、学生サッカーは経験しているのの楽天入社後、神戸の営業本部長を経験した後、Jリーグ最年少でGMに就任するという珍しい経歴の持ち主で、じっくりと現場でチームを作るという経験が薄いのかもしれません。


 そのため、高橋GMからは"サッカー人"としての印象は薄く、どちらかといえばクールな"ビジネスマン"という印象が強かったのかなとも思います。
 しかし、今のジェフに足りていないのは、むしろチームや選手をじっくりと育てたり、チームのビジョンを明確にしてそれを根付かせたりといった、サッカーのベース作りに関わる要素なのではないでしょうか。
 そう考えると、足りない部分を補えていない関係性だったと言えるのかもしれません。

 後任として発表のあった鈴木健二GMにはそういった部分を期待したいところですが、以前にも書いたように福岡での実績を考えるとどこまで期待していいのか。
 福岡では井原監督がチーム作りをリードしていたのだろうと思いますし、その井原監督退任直後にガタっとチームが崩れて鈴木強化部長も退任。
 そして、鈴木強化部長が退任した翌年にあたる今年、福岡は16位から立ち直ってここまで優勝争いをしているわけで。

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 高橋GMに関しては、今後もサッカー界に残るのであれば割り切って現場には関わらず、事務方に専念するというのも良いのかもしれませんね。
 そういった需要もあるのではないかと思いますし。
 ひとまず、お疲れさまでした。

 ジェフも高橋GMにすべての責任を擦り付けるのではなく、なぜうまくいかなかったしっかりと検討した上で次に進んでほしいところですね。
 一部では尹監督は悪くないからGMさえ変わればよくなるだろうという見方もある気がしますが、現在の成績や内容を見るとそう簡単なものではないように感じますし、より厳しく来季以降を見据えていかなければいけないのではないでしょうか。