今年も残り2試合。
ジェフは今シーズン最後の水曜日開催試合を、アウェイ栃木で迎えることになります。
栃木は今年7月新たにカンセキスタジアムが開場し、ここで初めての試合ということになります。
今年の栃木と言えば、特徴的な"ストーミング"のスタイルが印象的です。
ボールを失った直後に嵐のように選手がボールを奪いに行くサッカーで、Jリーグ全体でも異質なスタイルを展開しているということになるのではないでしょうか。
このサッカーで昨年20位だったチームが、現在11位に付けているわけで、どれだけスタイルを明確化し、具現化することが重要なのかがわかる気がします。
この方向性は、数値にも表れています。
以前にも紹介しましたが、Football LABはJリーグ各クラブのデータを収集し、スタイルなどをグラフ化しています。
グラフで見ると一目瞭然ですが、現段階でも栃木は飛び抜けたショートカウンター指数を叩き出しています。
それだけ、ショートカウンターからの攻撃を狙えているということになります。
また、ショートカウンターほどではないにせよ、ロングカウンター指数もJ2で3番目の数値を誇っており、全体的にカウンターへの意識が非常に高いチームであることが伺えます。
それに比べると、ジェフはショートカウンター指数の数値が最下位。
ロングカウンターの数値も11位と、あまり高くない状況です。
パスサッカーを志向するチームなのでこの数値が高くなくても良いのでしょうが、ジェフは遅攻も作れていないだけに、攻撃の形がシーズン終盤まで作れなかったと言えるのではないでしょうか。
栃木もジェフもガテン系のサッカーで長身選手が多く、似ている面も少なくはないと思います。
どちらもセットプレーが攻撃の武器で、長いボールも多い。
しかし、前への意識や組織的な動きは、大きく異なるように思います。
例えば前線へのロングボール1つ取っても、ジェフがクレーベなどを長身選手の高さを目がけて蹴り込み1人、2人がその落としを狙うのに対して、栃木は速い速度のボールを蹴ってこぼれることを前提で複数人が拾おうと動いていく印象です。
栃木の場合はボールを失っても構わないといった意図で、むしろ失った直後のボール奪取を目指し、そこからハーフカウンターを仕掛けていく。
さらに相手の遅攻時にも前線とSHがプレスをかけていき高い位置でボールを奪うか、苦し紛れのボールを蹴らせてセカンドボールを狙うサッカーだと言えると思います。
そんな今年の栃木にジェフは溝渕と大野をレンタルで移籍させていますが、溝渕は現在左SBに移って主力としてプレーしています。
運動量豊富でオーバーラップのタイミングも良く、縦にスピードある飛び出しのできる溝渕のスタイルは今の栃木に合っているのでしょう。
チャンスメイクの面でも効いている印象で、ジェフ戦で出場できないのが残念ですね。
ジェフとしては右SBの選手層が薄く、左SBも高齢化が進んでいますから、左右で経験を積んだ溝渕のレンタルバックは良い選択なのではないかと思います。
ただ、サイズの面などでは課題もあるタイプだと思いますし、尹監督が好まないの出れば、せっかくつかんだレギュラーの座ですし、栃木に残った方がいいのではないかとも思いますね。
なお、大野はここまでベンチ入りの機会はあったものの、出場機会なしと厳しい状況になっています。
現在11位とジェフより上位に立つ栃木ですが、ここ最近は3試合連続引き分けと勝ちきれない試合が続いています。
前に積極的にプレスをかけていく栃木だからこそ、SHの裏を取られると劣勢に立たされるなど、課題もある印象です。
また、フィジカルを前面に押し出すサッカーをしている分、どうしても運動量が落ちると苦労する面もあるのではないでしょうか。
一方、ここ数戦のジェフは磐田、東京V、徳島と、パスサッカーを展開するチームとの対戦が続いていました。
甲府戦も相手の支配率が60.1%だったそうで、ジェフがスペースを消して守りそこから隙を狙う展開が、ここ数戦のジェフの戦い方だと言えるでしょう。
しかし、明日の試合は栃木も基本的にはボールを持たないチームですから、また違った展開が予想されるのではないでしょうか。
長いボールの蹴り合いになるのか。
または、ジェフがボールを持った状況での遅攻を求められるのか。
セカンドボールへの反応や運動量、球際での強さなども重要となってくるかもしれませんし、ここ数戦とは違ったものが強く問われる試合となるのかもしれません。
ジェフもシーズン終盤に成績が若干上がってきたとはいえ、磐田戦から振り返ると1勝2分1敗とイーブン。
そこまで好成績とは言えない状況ですし、良いシーズンの締めくくりを果たすには、残り2試合が重要となるのではないでしょうか。