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課題も収穫も見せながら北九州に2-1で勝利

 新型コロナウイルスへの不安もあって、今年は現地観戦を控えていたのですが、今年は1試合も見にいけていないし、最終節ということもあって悩みつつもフクアリに向かいました。
 この時期での開催ということで、すごく寒かったですが、行けて良かったと思います。
 コロナで観戦に行けない状況が続いたからこそ、現地の空気感を肌で感じることの重要性を改めて感じることができました。

 キックオフ直前に増嶋の引退も発表になり、増嶋、田坂、寿人のラストゲームとなった試合。
 内容としては、今年のジェフらしい課題もあり、収穫も見えた試合ではないかと思います。
 決して盤石な試合ではなかったという点からも、今年を象徴するような試合だったのかもしれません。
 それでも3人の引退選手への思いもあったのか、最後に選手たちが気持ちを見せてくれたことで、勝ち星で終えることができたのかもしれませんね。

■北九州の攻撃が目立つも1-1で折り返し

 前節に続き田口が出場停止のジェフは、ゲリア、矢田、為田、工藤がメンバーから外れ、川又が控えに回って、増嶋、堀米、アラン、船山、クレーベが先発復帰。
 熊谷も体調不良で欠場し、チャン、寿人が復帰しました。
 前節のスタメンはターンオーバーで、今回がベストメンバーということでしょうか。

 北九州は大卒新人の佐藤喜生が今季初先発で左CBに入り、3バックに変更。
 アンカーに加藤が入り、右インサイドに高橋大悟、左インサイドに針谷が回る3-5-2になりました。
 引退を発表し、前節は途中出場を果たした池元はメンバー外に。


 6分、北九州の攻撃。
 中盤の右で得たFK。
 高橋が直接狙いますが、GK新井がセーブ。

 その直後にも北九州の攻撃。
 生駒のビルドアップから、高橋が中盤で受けて縦パス。
 こぼれたところを藤原が拾って、ミドルシュートを放ちますが枠の外。

 11分にも北九州の攻撃。
 高橋が中盤でボールを奪って、ドリブルで持ち上がります。
 そのままミドルシュートを放ちますが、GK新井の正面。


 17分、相手のミスからジェフが決定機。
 こぼれ球を拾った加藤がバックパスをしますが、このボールが弱く船山へのプレゼントパスに。
 これを受けた船山がGK永井もかわしてシュートを放ちますが、村松が戻ってクリア。

 23分、北九州が先制点。
 村松が縦パスを出すと、高橋がカットに行くも触りきれず針谷が前へ繋ぎ、鈴木が新井一をいなしてミドルシュートを放ち0-1。
 鈴木の見事なミドルではありましたが、このシーン以外でもボランチ付近でボールを持たれすぎている印象でした。


 その後はジェフが若干盛り返し、33分に同点ゴール。
 鳥海のパスミスからジェフがカウンターを受けますが、藤原のパスミスから高橋壱晟、船山とつないでアランへ。
 アランがそのまま持ち上がり、シュートを決めて1-1。

 37分にも北九州の攻撃。
 生駒からの縦パス。
 鈴木が落とすと、バイタルエリアでディサロが受けてミドルシュートを放ちますが、枠をとらえきれず。


 41分にはジェフの攻撃。
 増嶋からのアーリークロス
 こぼれたところを高橋が拾い、アランがポストプレーでキープして、下平がシュートを放ちますが、GK永井がセーブ。

 43分には北九州の攻撃。
 ジェフのMFラインが低くなったことで、フリーになった加藤がミドルシュートを放ちますが、GK新井の正面。
 1-1で折り返します。

■後半初めにジェフが勢いを見せ逆転勝利

 46分、ジェフの攻撃。
 後方から長い距離のFK。
 こぼれ球をアランが拾ってシュートを放ちますが、ゴールの右を逸れます。

 53分、ジェフが勝ち越し点。
 高橋がボールを奪ったところから、堀米が持ち上がり船山がシュート。
 これがポストに直撃し、こぼれたとこを高橋が決めて2-1。

 55分にもジェフのチャンス。
 小島が中央で堀米とのワンツーから抜け出すと、クレーベにパス。
 クレーベがシュートを放ちますが、GK永井がセーブ。


 61分、北九州は生駒と加藤を下げて、國分と佐藤亮を投入し、佐藤亮が左SHに入る4バックに戻します。
 その直後、北九州の攻撃。
 左サイドで國分と佐藤亮が絡んでクロスを上げ、こぼれたところを高橋が狙いますがふかしてしまいます。

 63分、ジェフは堀米を下げて山下を投入し、そのまま右SHに入りました。
 後半中頃まではジェフペースでしたが、ジェフの足が止まってラインが下がり、北九州が攻め込む時間帯に。
 73分にも村松からの縦パス、鈴木が受けて粘ってシュートを放ちますが、GK新井が対応。


 76分、北九州はディサロを下げて町野を投入。
 82分、ジェフはアラン、船山、クレーベを下げて、米倉、川又、寿人を投入し、増嶋がCBの中央に回って3バックに変更。
 試合終盤は北九州も動きが止まって、攻撃が加速できない状況に。

 85分、北九州は永田、鈴木をさげて、新井、佐藤颯汰を投入。
 87分、ジェフの攻撃。
 セカンドボールを寿人が拾うとアバウトに放り込み、こぼれ球を川又が拾ってシュートを放ちますが、GK永井がセーブ。

 93分には鳥海を下げて岡野を投入。
 そのまま、2-1でジェフの逆転勝利となりました。

■来季の準備を進める北九州と課題解決を模索するジェフ

 キックオフ直後から驚いたのですが、北九州は中盤を3枚にした3バックで戦ってきました。
 北九州からスタートから3バックにしたのは、今季これが初めてではないでしょうか。

 ジェフはクレーベへのロングボールが多いので、高さ対策で新人の佐藤喜生を入れたかったということか。
 また、ジェフはFWとボランチの間のスペースが空きがちなので、北九州のインサイドがジェフのボランチを食いつかせて、アンカーからチャンスメイクを狙いたいという部分もあったのかもしれません。
 実際に、その形からの攻撃を何度も作られていました。


 DAZNの実況・解説にも、前半は何度もジェフの守備の問題を指摘されていましたね。
 ジェフの守備はFWからのプレスが弱いから、SHのサポートが重要となる。
 しかし、FWのプレスが弱いのでSHはプレスに行くタイミングに悩んでしまうし、SHが不用意に前に出ると後ろが空いてしまう。

 さらにボランチが相手に食いつきすぎたこともあって、何度も周辺でボールをもたれてしまいました。
 田口などが不在だったにしても、ボランチ周辺の守備は今季を通しての課題で、この試合の前半はかなり酷い状況だったと思います。
 北九州が中盤の間を狙ったパスワークが得意だとはいえ、かなりバラスの悪い状況が目立っていたと思います。


 後半からのジェフはSHが絞る意識を高めて、運動量も増えたことによって、状況が改善していきました。
 後半中頃からはプレスがかけらなくなり、全体のラインも下がってしまいましたが、北九州も終盤は動きが落ちて攻め切れない状況になっていった印象です。
 北九州もアウェイで、コンディションがもう1つだったのかなとも思います。

 北九州は3バックに関しても、いつもに比べると選手の動きに流動性がなく、パスワークも中央に寄り過ぎて、結果的に窮屈になりがちだったのではないでしょうか。
 5-3-2で守る分ジェフのSBへの守備も遅れていましたし、試合後の小林監督も「今日は失敗しました」と認めています。
 ただ、前々節の磐田戦では高橋をトップ下で起用するなど様々なテストをしており、「来季に引き出しの1つになっていけば」と話している点に関しては、今季の成功もあって余裕すら感じる部分があります。

 また、「ロングボールとスローイン、リスタートというゲームになるとテンポがでないので苦手」とも話しているので、ジェフのような相手は基本的に得意ではないのでしょうね。
 もともとサイズに課題がある選手構成ですし、だからこそ、システムを変えてまでCBを1人増やしたのでしょうが、うまくいかなかったと。
 ならば、高さがあってテクニックもある選手を起用できれば…となるのが理想でしょうが、そこは予算などの問題もあるし、栃木と同様にどこかで割り切った上で、パスサッカーを目指しているのではないでしょうか。


 ジェフに関しては、上記の通り前半の守備は大きな課題を感じました。
 前線からのプレスの甘さ、プレスをかけるタイミング、プレスをかけた後の裏のペース、そしてボランチ付近の守備。
 この辺りは、今季長らく感じていた課題で、そこを改善しきれなかったともいえるでしょう。

 後半から修正し対応できたのは良かったですが、堅守を構築するのであれば一定時間良くてもダメで、常時安定した守備を実現しなければいけないと思います。
 守る時間が長くなるのは仕方ないとは思いますが、どこでどうやってボールを奪うのか。
 現状ではボックスの中に入れられてからの対応が多く、組織で守っているのではなく、個人で踏ん張っている部分が大きい印象もあります。


 それでも後半から運動量も上がって、球際にも激しく行けるようになって、その時間帯は良かった。
 また、この日はカウンターから2度、3度とチャンスが作れて、ゴールも奪えた。
 これも大きな収穫だと思いますが、もっと安定して狙えるようになっていかなければいけないですね。

 増嶋、田坂、寿人とベテランが引退となった試合ですが、その試合で若い高橋がゴールを決めて勝てたことも収穫だと思います。
 しかし、高橋も守備面では課題が多く守備だけでいえば、広範囲を安定して守れるボランチが必要ではと思わなくもありません。
 そう考えると、高橋も瀬戸際な状況ですし決定力などは魅せた年ではありますが、まだまだ改善点も多いのではないでしょうか。

 最終節に勝てたことは良かったですが、来季に向けた準備をし始めている北九州の状況と比べると、ジェフはまだまだ厳しい。
 課題を埋められるかどうか…といったレベルで話が続いているだけに、来季への準備にもシフトしきれないのでしょうし、その分遅れを取っていることにもなります。
 この勝利は引退する3人への餞として考え、今季の課題点、修正点をしっかりと見つめて、来年に進んでほしいところではないでしょうか。
 ともかく、大変なシーズンでしたが、お疲れさまでした。