2020年のジェフを振り返る後編「尹監督への来季の期待」

 昨日の前編に続き、後編では今年の成績にも軽く触れつつ、尹監督への評価と来季への期待などに関して触れていきます。
 数字を見ると今年も厳しいシーズンだったことは間違いないわけですし、そこから目を背けず、何が問題だったのかを考え、改善点を模索していくことが大事なことだと思います。

■14位に終わりJ2下位から抜け出せなかった1年

 2020年のジェフの最終成績は、15勝8分19敗で勝点53の14位。
 ちなみに、開幕戦を見た後の私の順位予想ではジェフを14位としていたので、そこはピタリと当たったことになります。
 もっとも徳島の昇格は当てたものの、北九州の躍進や磐田、大宮、松本などの苦戦は予想できなかったので、全体的に見れば外れの多い予想でした。

 2019年のジェフは10勝13分19敗の勝点43で17位でしたので、勝点も順位も上回ったことになります。
 ただし、昨年は監督交代などバタバタしたシーズンでしたし、直接比べられるものでもないかなとも思います。
 一昨年は16勝7敗19敗で勝点55の14位ですから、ほぼ変わっていないどころか勝点は下回っていることになりますし、負け星19は3年連続で同数ということにもなります。


 総じて、ここ数年と比べると、成績上は大きな変化のない結果と言えるでしょう。
 今年もJ2下位からは、抜け出せなかった1年ということになります。
 少なくとも成功に終わった年とは言えず、内容面でも大きく軌道に乗ったといった印象もなかったと思います。

 特に気になるのが失点数で、総失点51は11番目の成績。
 これで攻撃的なサッカーなら良いのですが、総得点47も13番目に少ない数字で、守備的な試合運びが多かったわりには、失点が減らせなかった印象です。
 さらに5失点で敗れた試合が2試合も起これば、堅守とは誇れない状況だと思います。


 尹監督の評価をする上の別れ目は、守備が本当にうまくいっているかどうかではないでしょうか。
 攻撃面に課題があることは共通理解としてあると思うだけに、あの守備をどう評価するかだと思います。
 攻撃特化のエスナイデル監督体制直後なだけに、守備意識が高まった印象は強いですが、客観的に見て堅守とまで言えるのか。

 個人的には最終戦でも中盤であそこまでボールを繋がれてはまずいと思いますし、プレスに関しても2人目、3人目が連動して追い込んでいくような組織的な動きは見られなかったと思います。
 確かにスタートのポジショニングは綺麗ですが、そこから相手に食い付いてバランスが崩れることも多く、スライドを褒められることも多かったですが、DAZN解説の幸谷氏も話していたように「むしろスライドしない方がいい」こともある。
 大事なのはスライドしてどうスペースを消し、どうボールを奪うのかであって、肝心のところで約束事ができていなかった印象です。

 結局、守備面でもゴール前で耐えることはできるようになったもののそれ以外では課題が多く、攻守に戦術の細部を作れなかった印象です。
 そのため、ボール奪取の位置も低く、ハーフカウンター指数もJ2最下位で終わってしまった。
 それでは来たボールを何とか凌いでいるだけのサッカーになってしまいますし、発展の可能性という意味で物足りなさが残る守備だったのではないでしょうか。

■監督も選手もどん欲に成長できるか

 総じて見ると、尹監督は戦術家ではないのだろうと思います。
 がっつりプレスをはめ込んでボールを奪ったり、ゾーンディフェンスで完璧にコースを消して守ったりというようなチーム作りではない。
 攻撃においても、細かくボールを運ぶ形を作り込む監督ではないでしょう。

 ただ、世界中に多数いるサッカー監督は、すべてが戦術家タイプというわけではないはずです。
 尹監督の場合、鳥栖C大阪の頃は厳しさを武器としたモチベータータイプといったイメージもありました。
 しかし、ジェフではその厳しさが抜けて、穏やかな監督のようにすら見えることがあります。


 勝敗に関係なく選手を褒めることが多く、ピッチでも怒鳴っている時は審判や相手チームに対しての声が目立っている印象です。
 前にも取り上げましたが、安田もこのような話をしていました。
www.targma.jp

千葉ではあの時よりルールとかってそんなにないというか、鳥栖のほうがルールも多かったし練習も全然厳しかったと思いますね。

 尹監督の表情などからしても、年齢と経験を重ねて、丸くなったというか牙が抜かれたということでしょうか。

 あるいは、パワハラ問題も注目されている時代ですし、厳しさだけで指導するのは難しいと考えているのかもしれません。
 時代に応じて対応し、指導や練習方法を変えることは理解できます。
 しかし、それによって尹監督の武器がスポイルされてしまったのであれば、新たな尹監督の武器を作り出さなければいけないはず。


 監督も一度成功を遂げたからといって、その後もうまくいくとは限らない難しい職業。
 実績だけで見れば関塚監督も素晴らしいものを持ち合わせていましたが、ジェフでは右肩下がりに終わってしまいました。
 あるいは、あれだけ褒め称えられ結果を残していたモウリーニョ監督ですらも、今は時代遅れの監督とまで言われています。

 逆にJ2では経験の浅い長谷部監督が成功を遂げていますし、実績があるから尹監督に安心して任せられるではなく、尹監督と共に成長するくらいの気持ちでいなければいけないのではないでしょうか。
 今季の尹監督のチーム作りは決して完璧ではなかったと思うし、むしろ課題の方が目立ったようにも思います。
 それをしっかりと受け止めた上で、クラブ全体でどう改善策を練っていくかが大事なところではないでしょうか。


 これは選手にも言えることで、オフの補強も進んではいますが、近年J1で大活躍した選手などは取れないでしょうから、補強をしただけで満足してはいけないはずです。
 残留する選手もジェフを昇格させることはできなかったわけで、現状から皆で成長するという意識が必要なのではないかと思います。
 そのためにも、もっとどん欲に、もっと意識を高くもって、厳しく戦わなければいけないのではないでしょうか。

 若い選手が多いチームの方が野望を持って戦えるのかもしれませんし、このクラブからステップアップしてやるんだという気持ちくらいの方が、結果的にチームも活性化するのかもしれません。
 その点においてジェフは甘いし、そこを尹監督を中心に変えていけるかどうか。
 そのためにも来年はより厳しい指導を実施するか、あるいは新たな武器を見出して指揮を執ってほしいと思いますし、尹監督も決して盤石ではないと思います。
 監督も選手もこのままではダメだという強い気持ちを持って戦うことが大事だと思いますし、クラブ全体で甘さを捨てて成長することが求められるのでないでしょうか。