本題に入る前に、2002年にジェフを率いたベングロシュ監督が亡くなられたそうです。
The former Czechoslovak player and coach who was the assistant coach during the winning EURO 1976 or bronze medalist four years later, Jozef Vengloš, has passed away in the age of 84.
— Czech Football Team (@ceskarepre_eng) 2021年1月26日
Rest in Peace. pic.twitter.com/MEzDdUPG6C
当時のジェフは長らく低迷していましたが、前年の2001年にベルデニック監督の下で上位争いに食い込みました。
ベングロシュ監督が率いた2002年は前年よりも成績は下がったもののまずまずの結果を残し、天皇杯でもベスト4に入ったことで、前年の成績が偶然ではないことを証明することができました。
むしろ自信をつけたのはこの年で、それが翌年からのオシム監督での成功に結び付いたのだと思います。
ベングロシュ監督は厳しい中にも優しさを感じる方で、何よりもサッカーを愛しているんだなと深く伝わる監督だったと思います。
84歳だったとのことです。
謹んでお悔やみ申し上げます。
ジェフとしては今まで貢献してくださった方たちのためにも、浮上のきっかけをつかまなければなりませんね。
本日は動きの多かったSBの移籍に関して、まとめて取り上げていきます。
年末に伊東、小田の獲得が決まった段階で、溝渕は放出かなと話していただけに、意外な発表でした。
ジェフとの契約が残っていて良い移籍先が見つからなかったため、残留となった可能性もあるでしょうか。
昨年の溝渕は栃木にレンタル移籍し、シーズン前半は右SBで、後半からは左SBで活躍。
栃木はカウンターサッカーで、ボールを奪ったら多くの選手が走り込んでいくのが特徴。
また、積極的なプレスも武器で、12月のジェフ戦でも溝渕の代わりに入った左SB大島が、ジェフの最終ラインにまでチェイスに来るほどでした。
その中で溝渕は運動量豊富とスピードで攻守に貢献し、粘り強い守備も光っていました。
さらにジェフでは課題にも思えたクロスの質も成長が見え、チャンスメイクでもアクセントになっていたと思います。
今やJ1で活躍する北爪もそうですが、溝渕も出場機会を得たことで成長した選手だと思いますし、ジェフは若手選手を粘り強く起用するという点で課題があるように思います。
それでもジェフには伊東、小田など似通ったタイプのSBが加入しただけに、溝渕は放出だろうと思っていました。
そもそも小柄なタイプのSBは、あまり尹監督の好みではないようにも思えます。
安田も小柄ですが、意外と馬力はある選手ですし、尹監督の下での実績もある。
これでSBは伊東、安田、小田、溝渕の争いになりますが、小田はレンタルなだけに立ち位置が微妙な気もします。
レンタル選手がベンチを温める可能性があるのなら、本村を残しておいても良かったのではないかと思ってしまいますが。
一方、溝渕も栃木では活躍していただけに、今年結果を出せるかどうかが、ジェフでの今後を左右するのではないでしょうか。
この溝渕の復帰によってゲリア、下平は両者かいずれかが退団なのだろうと予想できましたが、2人とも契約満了となりました。
2017年にジェフへ加入したゲリアはスピード、パワー、跳躍力に秀でたSBで、2020年はジェフ加入後最多となる22試合に出場しています。
前年にも書いた通り、スピードや高さなどがある分、米倉よりも守備で期待できる印象でした。
そこがSBに守備力を求める尹監督の下で生まれた、ゲリアと米倉の差となったのではないでしょうか。
前年までのゲリアは日本人の細かなステップに苦労していた印象もありましたが、昨年後半からはドリブル対応も改善。
無理に飛び込まず、粘りの守備を魅せられるようになったように見えました。
ゲリアも出場経験を経て、成長したのではないでしょうか。
ただ、攻撃面では課題が多く、トラップミスが多い上に、ビルドアップでも計算できない。
仕掛けの部分でも貢献できず、スピードのあるスプリントやフィジカルを活かしたインナーラップなどを狙ってはいましたが、ボールを受けた後のプレーに大きな問題がありました。
パワーがあるため鋭いクロスは蹴ることができますが、技術力はないため尹監督が好むアーリークロスも狙えない状況でした。
それでも、攻守にセットプレーのターゲットとしては存在感を見せていたと思います。
さらに守備でも引いて守る時間帯が長かっただけに、SBに跳ね返せる選手を置くというのが非常に重要だったのではないでしょうか。
ゲリアは外国人選手としては総合的にもう1つで退団も仕方がないとは思うのですが、今年はゲリア、本村がいなくなり跳ね返せるタイプのSBを補強しなかったことが、チームの不安要素となる懸念もあるのではないかと私は思います。
下平は2019年にレギュラーとして活躍し、下平の高質なクロスからクレーベのヘディングというのがジェフの武器となっていました。
しかし、今年は尹監督がSBに守備を重視したこともあって、G大阪時代もライバルだった安田にポジションを奪われる形となりました。
それでも11月4日の愛媛戦で久々に後半から途中出場を果たすと、攻撃面で能力の高さを発揮していました。
SBの攻撃参加が少ないチームなので、クロスを上げる回数は少なかったですが、後方からのビルドアップで貢献。
細かなビルドアップができないチームにおいて、前線に鋭い楔のパスを何度も出し、違いを見せていきました。
それだけ技術力があるだけでなく、視野の広い選手と言えるのでしょう。
しかし、続く11月8日の山形戦でスタメンしたものの、この試合では相手に下平の守備面を狙われてしまいました。
長いボールも含めてジェフの左サイドから攻め込まれることが多く、下平はしっかりとボールを跳ね返す能力やそれを拾うアジリティの部分で苦戦。
この試合を1-5で落とすと、そこから新型コロナウイルス陽性者が出るまで、出場機会を得られない状況に立たされました。
愛媛戦、山形戦で下平の長所と短所が出たことになりますが、SBは機動力が求められるだけに、元々そこに課題がある選手は年齢を重ねると苦労する傾向があるように思います。
それでも左足でのキックはクロスもパスも魅力的な上、視野の広さも持ち合わせた選手ですから、必要とするチームもあるのではないでしょうか。
引退というわけではないようですし、良いチームが見つかるといいですね。