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2020シーズンを振り返る チャン・ミンギュ編

 21歳のチャン・ミンギュは漢陽大学からジェフに加入し、プロ入り1年目で31試合に出場しスタメン出場も26試合。
 CBの最多出場の鳥海が31試合出場スタメン27試合出場でしたので、それに肉薄する成績となります。

 尹監督やチャンのコメントからも、カバーリングを重要視している印象で、その点でチャンが評価されていたのではないでしょうか。
 昨年のジェフはゾーンディフェンスがベースで、後方に人数を固めることで狭いエリアを個々で対応するのが基本。
 チャンは危険なエリアにスッと入って、スペースを消すのが得意なタイプだったと思いますし、尹監督がスカウトした選手でもあったため、開幕戦からチャンスが巡ってきたのではないでしょうか。

 また、足元の技術にも特徴があり、ロングボールの質が高い。
 特にCBの位置から左右大外にいる選手の足元にピタッと合わせるロングパスの技術は、ジェフの中でも随一で綺麗なパスを出していました。
 細かいパスを繋いでゲームメイクができるようなタイプではないのかもしれませんが、テクニックにも可能性を感じます。


 ただ、カバーリングやロングパス以上に、チャン一番の強みはメンタル面なのかもしれません。
 昨年のチャンは相手選手に競り負ける、相手のスピードやドリブルに苦戦することも多かったですが、その後も大きく気持ちを落とさずにプレーしていた。
 キャプテンシーのあるタイプのようには見えませんが、良い意味でマイペースなのが武器なのかもしれませんし、そのキャラクターがいきなりの日本挑戦にもつながったのでしょうか。

 一方で、フィジカル的に強みがあるタイプではなく、高さやスピードに関しては苦戦しており、対人守備には課題があると思います。
 そこが同じ大卒外国人CBだったキム・ヒョヌンとは大きく異なるところで、キムはアスリート系CBで粗さはあったものの、その粗ささえ取れれば大きく化ける見込みがあった。
 しかし、チャンはどちらかと言えばテクニック系CBで、現状での完成度は高いものの、伸びしろに関しては不安もあるように思えます。


 フィジカル的な課題や伸び悩みもあって、昨シーズンも終盤からは新井一耀にポジションを奪われたのではないでしょうか。
 先月から行われていたU-23韓国代表トレーニングキャンプにMFとして選出されたのも、CBとしては対人守備がもう1つと判断されたのかもしれません。
 今から身体的に大幅に伸びるのは難しいでしょうから、尹晶煥洪明甫のようにキャプテンシーを持ち賢いプレーでチームをリードできるタイプになるか、柳想鉄のように器用でオールマイティな選手に成長することが理想と言えるでしょうか。

 これが日本人選手ならゆっくりと育てようとも思えるでしょうが、外国籍選手枠を使うとなるとどうしてもシビアな目も必要になってくる。
 鳥海が抜けたことで今年は再びチャンスが回ってくるかもしれませんが、チャンの将来を考えるともう1つ何かしらの武器が必要になってくるのではないかと思います。
 ただ、一方でジェフとしては、チャンを除くと今年で24歳になる岡野くらいしかおらず、その次が28歳の新井一耀ということで、若いCBがいないという大きな問題も抱えています。

 クラブとしてチャンを将来の有力CB候補として見ている可能性もありますが、外国人選手ですし尹監督がいなくなったらどうなるのかという難しい状況でもあります。
 短期的にはチャンなどを育てつつも、長期的には若い有力なCBのスカウトも重要となってくるのではないでしょうか。
 チャンに関してはしっかりと体を作りながら、もう一皮二皮むけてほしいところだと思います。