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2020シーズンを振り返る 田口泰士編

 昨年、磐田からジェフに加入した田口ですが、加入当初から周囲との違いを見せつけていきました。
 昨年における、ジェフの主軸の1人でしたね。

 田口は長短のパスを駆使して、タクトを振るいチームを牽引。
 プレースキッカーとしても大きく貢献し、ハーフウェイライン付近からの長距離FKでもチャンスを作っていきました。
 ジェフは攻撃パターンが少ないだけに、右足の田口、左足の堀米からのプレースキックは、貴重な得点源でした。


 また、守備でもピッチ上のバランスを取ろうと奮闘。
 パスカットの多さもDAZNの中継などで取り上げられていたように、ベテランらしく先を読む守備で貢献していた印象です。

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 以前取り上げた図でも話した通り、シーズン序盤のジェフは引いて守る時間が長かったですが、相手が後方から侵入してきた際に中盤から前に出ていくのが田口の役割でした。
 しかし、その分ボランチ後方のスペースができ、間を取られがちだったこともあって、その後ジェフの戦術は少しずつ変わっていきます。


 田口としては難しい役回りだったと思いますが、9月頃に戦術が変わってからは田口が極端に前に出ていく必要性もなくなりました。
 ただ、それでも田口の後方を相手に突かれることは多く、そこは田口自身の課題もあったように思います。
 フィジカルに優れたタイプでもないですし、本来守備はそこまで得意なタイプではないのだろうと思います。

 それでもチーム全体として守備に課題があったことや、ボランチのパートナーに守備的な選手がいないこともあって、田口は守備面でも汗をかかなければいけないところがあったのではないでしょうか。
 本来はもっと守備的な選手と組ませて、田口の負担を減らしてあげたいところではないかと思います。
 そういった意図もあって、今オフに小林を獲得したのでしょうか。


 ただ、シーズン序盤は大車輪の活躍を見せていた田口ですが、シーズン途中からは怪我もあってパフォーマンスも落ちていった印象です。
 田口は調子を落とすと運動量が減って攻守にボールへの関与が少なくなり、棒立ち状態になって守備に戻れなくなる傾向が見受けられました。
 コンディションに左右されるところが大きい選手なのかなと思いますし、それが磐田を契約満了になった理由なのかもしれません。

 田口も今年で30歳ですのでコンディションは気になりますが、それを差し引いても昨年の田口のゲームメイク能力は目を見張るものがあったと思います。
 ジェフにもテクニックのある選手はいたものの、田口は周りを活かす、2手先3手先を考える、ピッチ全体を見てボールを動かすなど、賢いゲームメイク能力が高い。
 それによって田口がゲームメイクをすると、ボールの動きが一気に活性化するところがあったと思います。


 尹監督のサッカーは4‐4‐2で古きイングランドサッカーも思い起こすようなスタイルで、個々で展開する、個々で打開するという要素が強い。
 攻撃面を個人に依存するからこそ、田口のゲームメイクがさらに光ったというところもあったのかもしれません。
 本当はボランチというよりも、セントラルミッドフィルダーなのでしょうね。

 名古屋でもキャプテンでしたし、昨年の活躍からして今年は田口でもよいのではと思っていたのですが、今年は新加入の鈴木大輔がキャプテンに就任しました。
 スポニチによると尹監督が鈴木を指名したそうで、過去の経験なども重視したのでしょうか。
 いずれにせよ、田口も鈴木や新井章太などと共にチームをリードしてほしい存在だと思いますし、コンディションだけには気をつけて1年間安定したパフォーマンスを見せてほしいですね。