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2020シーズンを振り返る 船山貴之編

 船山は2020年も35試合に出場と、チームの主力として活躍。
 しかし、出場時間2258分と3ゴールという結果は、ともにジェフに加入してからの5年間で、最低の成績となってしまいました。
 特にシーズン序盤は、川又、山下の加入もあって試合から遠ざかっていました。

 尹監督は前線に高さを重視する傾向があるため、クレーベ、川又、山下などが優先されたのではないでしょうか。
 船山の初スタメンは第6節東京V戦でしたが、その時も左SHでの出場。
 尹監督はSHに個人での打開力を求める上に、船山はSHならある程度守備もできるので、総合力で判断され器用な船山がSHとして計算されたのではないかと思います。


 しかし、シーズン後半からは、FWでポジションを確保していきます。
 確実に勝てるポイントを持っているクレーベを軸に考えた上で、相性の良さで船山が選ばれたのではないでしょうか
 攻撃に課題の残るチーム状況だからこそ、個での打開力が重視されたということかもしれません。

 また、過去の尹監督のチームを思い返すと、柿谷に近い役回りだったともいえるのかもしれません。
 柿谷は何でも出来るFWといったイメージですが、船山も縦への仕掛け、チャンスメイク、ビルドアップなど、幅が広い選手。
 これもチームで攻撃が作れていなかったからこそ、オールマイティな船山に攻撃を任せたという見方もできるのではないでしょうか。


 ただ、一方で守備においては、大きな課題も残った。
 船山は身長の割には強さもあるのでSHなら跳ね返す守備である程度貢献できるものの、前線だと運動量が足りずプレスが期待できない。
 クレーベは船山以上に守備ができない選手なので、そこが大きな穴となっていました。

 今年のチーム作りを考えると、この課題が悩みの種となるかもしれません。
 守備的なチームを目指すのであれば、守備に特化した選手を選べばいいのではないかと思うのですが、尹監督はそこまで思い切った選択はしない傾向にある。
 しかし、それによって、結果的に中途半端なチームになってしまったところもあるのではないでしょうか。


 C大阪などのように攻守にレベルの高い選手が集められるのであれば、オールマイティな選手を並べてたり、攻撃に欲を出してもうまくいくのでしょう。
 しかし、ジェフでそれをやると中途半端になったり、全体のバランスを崩す危険性が出てしまう。
 前年の江尻監督も攻撃に欲を出し、寿人やクレーベを使い始めて、迷走した印象があります。

 船山の場合は、アタッキングサードでのプレーに集中した方が、ゴールという結果は出せるのかなと思います。
 2020年はSHでの起用も多かったですし、前線で様々なタスクを求められた印象があった。
 オールマイティな選手だからこその悩みでもあるのでしょうが、それもあって結果が出なかったところがあったようにも思います。


 当然チームとして攻撃が作れず、得点が伸びなかったことも影響したのでしょう。
 夏に過密日程によるターンオーバーを導入したこともあって、ジェフでのトップスコアラーもクレーベと山下の7ゴールで、二桁得点者がいなかったことになります。
 しかし、それにしても船山は2018年、2019年は二桁ゴールをあげているだけに、3ゴールという結果は寂しいですね。

 ただ、船山個人に関しては、良くも悪くも落ち着いてきたところもあるのではないかと思います。
 今年で34歳と年齢を重ねたこともあるのかもしれませんが、期待されるプレーが安定して発揮できる一方、それ以上の驚くべきプレーはあまりみえてこない。
 本人はもっと上のプレーをやりたい意欲もあるとは思うのですが、船山を出せばこういうプレーはしてくれるだろうという想像ができる選手になってきたのかなとも思います。


 それがある意味でベテランらしい役回りともいえるのでしょうし、チーム全体で見ればそのベテランを越える選手の台頭を期待したいところ。
 酷な言い方をすれば、今年も船山が活躍するようではダメで、それ以上の若手選手が出てきてほしいという状況なのかなと思います。
 もちろん、船山自身が大きく活躍してくれれば、それでも構わないわけですが。

 チームとしても世代交代していかなければ、現状の打開は厳しいでしょう。
 GMも変わって一部選手も入れ替わりましたし、その中で新たな希望が見えてくるか。
 さらに船山も世代交代にもがきながら、背中で引っ張れる存在となれるように期待したいと思います。