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戦術面でも大きな貢献をもたらした高卒新人ブワニカ

 今年修徳高からジェフに加入したFWブワニカが、開幕戦で早速ゴールを決めました。
 ジェフで高卒新人FWが開幕戦ゴールを決めたというと、城彰二を思い出します。

 ただ、プレースタイルでいえば、どちらかといえば巻に近いでしょうか。
 巻もブレイクした2004年は、開幕前から練習試合で結果を残して、チャンスを掴み取った経緯があります。
 ブワニカも今年の練習試合でゴールを決めていますし、当時の巻を少し思い出しました。 


 ジェフへの加入が決まった昨年10月には、サカダイに以下のような記事が出ていました。

www.soccerdigestweb.com

「技術とスピードは高校3年生の先輩に比べるとなくて、ヘディングでも勝てなかった。自分は何も武器がないと感じた。『何ができるかな』って思って、一番早く身に付けられる武器を考えた。それが持久力だったんです」

 続いて、12月にはゲキサカにもこのような記事が出ています。
web.gekisaka.jp

2年時冬に千葉へ練習参加した。すると、「下手くそだったので走りまくろうと思って、練習の紅白戦で走りまくっていたらユン(尹晶煥)さんに気に入られて」
(中略)
千葉からは「人間性が一番評価されていると言われました」とブワニカ。

 186cmという身長もあり身体能力が高いタイプで、将来性に期待して獲得したのかなと思っていたのですが、いきなり開幕戦でデビュー。
 しかも、ゴールという結果まで残しました。

 足元でもしっかりボールを捌いていましたし、本人が言うほど下手な印象はうけませんでした。
 しかし、自分は下手だと自己分析をした上で、頑張って練習をし運動量豊富に走り回る。
 明るくて真面目な性格も含めて、ジェフサポに受けるタイプの選手ではないでしょうか。
 

 ブワニカは戦術面においても、非常に大きな貢献をもたらすことになったと思います。
 開幕戦前半のジェフは甲府のプレスをかわせず、DFからFWにロングボールを蹴り込む展開となっていました。
 しかし、苦し紛れのロングボールだったため質も低く、大槻、船山はそこまで高さはないだけに跳ね返されるケースが目立ち、長身FWがほしいと感じる展開だったと思います。

 ただ、例え長身FWでも機動力がなく守備に課題があると、そこから相手に攻撃を作られ押し込まれてしまう。
 全体が押し込まれれば、長身FWがロングボールを落としても周りがフォローに行けずセカンドボールを拾えない。
 大槻は守備においては貢献していましたし、課題ばかりではなかったと思います。


 この傾向は昨年も感じましたし、今オフはターゲットになれて守備もできるCFが欲しいところではないかと思っていたのですが、それを実行できたのがブワニカだったということになると思います。
 献身的に守備に走れて、体を張って浮き球のターゲットになっていただけでなく、ボールキープの面でも健闘。
 さらに、ゴールまで決めたわけですから、言うことはないと思います。

 ただ、後半はブワニカが戦術的な軸になっていたからこそ、不安に感じる部分もありました。
 戦術的な軸ということは、その選手がダメならチーム全体もダメになるし、相手チームもそこをわかって徹底的に消しに来る可能性がある。
 その立ち回りを高卒新人のブワニカに頼っては、ブワニカ自身も潰れかねないと思います。


 昨年、高卒新人だったソロモンもデビュー戦でゴールを決める活躍を見せたわけですが、同じようにロングボールのターゲットとなって、攻撃の軸となっていました。
 しかし、ソロモン頼りになっていた試合もあり、相手のマークが厳しくなって徐々に活躍できなくなっていった。
 結局、昨年ソロモンがゴールを決めたのはそのデビュー戦と、出場3試合目にあたる甲府戦のみで、その後ゴールはなく出場機会も減っていったことになります。

 若手を育てるためにも若手がのびのびとプレーできる環境づくりが必要だと思いますし、そのためにも個々に頼るのではなくチームとして戦えるようになりたいところ。
 特にビルドアップに関しては大きな問題を感じましたし、長身FWに依存する形からの脱却が求められるのではないでしょうか。
 プレスに関しても、連動して組織的にプレスをかけるという点で課題があるように思います。


 それと共にシーズン全体で考えると、川又がどこまでやれるのかも大事になってきそうですね。
 当面、ブワニカは途中出場で起用した方が、良さが出るのではないかとも思います。
 また、開幕前に少し気になる記事が出ていて。

www.chunichi.co.jp

ハードワークが要求される守備面の適応も順調だ。始動日こそ走力系メニューに「きつかった」と苦笑いしたが、練習試合では最前線からハーフウェーラインを越えて守備に戻る場面も。DF吉田豊は「あんなに守備をしてくれるんだと驚いた」と語った。

 名古屋もフィッカデンティ監督が就任して守備的なサッカーになっていると思うのですが、そうなると前線からの守備が重要となるのでしょう。

 そして、尹監督時代のC大阪も柿谷や杉本の守備力があって、成り立っていたところがあるのではないでしょうか。
 柿谷と杉本なら高さもあるしテクニックもある上、守備でも貢献できる。
 さらに中盤も水沼、清武、山口蛍、ソウザといたわけですから、チーム作りも楽だったのではないかと思います
 

 J2とJ1の選手の違いも、総合力の部分が大きいのではないかと思います。
 一芸だけならJ2の選手でも凄いものを持っているけれど、課題が多い選手が目立つ。
 そのため、安定感のない選手になってしまうし、チームもピーキーになってしまう。

 しかし、ないものねだりをしても仕方がないわけで、チーム全体で助け合って戦える状況を作らなければいけないはず。
 それと同時に選手個々も苦手なものを克服して、総合的に強い選手になっていかなければいけないのでしょうね。
 少なくとも開幕戦でのブワニカは攻守に戦えていたわけで、そのポテンシャルは持った選手ではないかと思いますから、じっくりと育っていってほしいと思います。
 とはいえ、開幕戦で結果を残せたとはいえまだ1試合45分の活躍ですし、あまり持ち上げず冷静に見守ることも大事ではないでしょうか。