前半途中までは岩崎が仕掛けて相手を押し込み、ブワニカの粘りからの高橋のゴールもあってジェフのペースだったと思います。
選手を大幅に入れ替え、若い勢いで優勢に戦えていた。
しかし、それは前半途中までしか持たず、そこからは劣勢。
むしろ後半からは一方的な展開で、何とか凌いだ試合だったと思います。
内容としては決して芳しいものではなく、松本の元気のなさにも救われた試合だったのではないでしょうか。
それでも勝てたことは良かったですし、若い選手たちが活躍できたことも収穫でしょう。
ただ、これをどう今後に生かしていくのか。
若い勢いだけでは次にはつなげにくいと思うし、何より後半45分以上が守り一辺倒の試合になってしまったのは良くないと思います。
攻めてカウンターを仕掛けるなり、ボールを拾った時には時間を使うなりできるチームにならないと、消耗が激しすぎる。
得点も相手のミス絡みでしたし、この1試合で大きく何かが変わるといった印象はうけませんでした。
それでもまずは1勝を挙げられたということで、ここから少しずつでも変化の兆しが見えるといいですね。
■ジェフが優勢のまま1点をリード
ここまで勝ち星のないジェフは大きくメンバーを変更し、最終ラインではCB新井一耀、左SB小田、右SB伊東が今季初スタメン。左SHに岩崎が復帰し、前線にブワニカと見木。
大槻、米倉、安田、熊谷が外れ、サブに溝渕、小林、ソロモンが入りました。
ホームの松本もメンバーを変更し、前線に元ジェフ戸島が入り、1列下がった河合と1列上がった佐藤和弘がインサイドのコンビに。
前は右WBに回って、平川がアンカーでスタメン。
篠原、常田が3バックに入り、下川、大野が外れました。
5分、ジェフのチャンス。
左サイドで、岩崎からパスを受けた小田がクロス。
福満が頭で狙いますが、ポストの右を逸れます。
11分には松本の河合からのパスを佐藤が受けたところでこぼれ、阪野が拾って強引にシュートまで持ち込みますが、力なく終わります。
14分にはジェフの攻撃。
小田からのバックパスを小島がダイレクトでゴール前に供給すると、相手DFにあたりこぼれたところを福満が狙いますが、GK囲の正面。
20分、ジェフが先制。
伊東から裏へのロングスルーパスを、先に常田が回収しますが、ブワニカが高い位置でボールを奪い、福満が受けてバックパス。
高橋が1人かわして、ミドルシュートを決め1-0。
ジェフは前節の敗戦もあってか、前半から積極的に前に出ていく姿勢を見せます。
対する松本は動きが悪く、ボールを保持しても周りの動きが少ない。
強引なパスやドリブルが目立ち、良い形で攻め込めません。
それでも31分には松本のチャンス。
中盤左で得たFK。
前が蹴って常田が合わせてゴールかと思われましたが、オフサイドの判定。
ここから、松本が落ち着きを取り戻します。
ボールを持って攻める松本、守るジェフといった展開に。
ジェフは押し込まれる時間が長くなっていきますが、1点を守って前半が終了。
■後半は守り一辺倒で1-0の勝利
松本は戸島、前、篠原を下げて、鈴木国友、表原、大野を投入。ジェフは守備時にブワニカが右SHにまわり、福満が前線に移る時間帯もありました。
後半に入ってジェフのラインが下がり、松本が一方的に攻め込む展開に。
60分には松本のチャンス。
左サイド奥で小田が囲まれ、パスミスが阪野に入ると素早くグラウンダーのクロス。
しかし、中央の鈴木国友にはあわず。
66分にも松本ンチャンス。
河合からの縦パスを阪野がワンタッチでつないで、鈴木国友が飛び出しシュート。
しかし、GK新井がセーブ。
劣勢のジェフは70分、岩崎、小島、末吉を投入し、チャン、小林、福満を起用。
末吉と見木の2シャドー、チャンも加えた3バックになり、早くも守備固めに。
松本は平川を下げて小手川を投入。
ジェフは徹底して引いて守る展開に。
74分、松本の攻撃。
中盤で松本がボールを拾ったところから、大野がミドルシュートを放ちますが、ゴールの左を逸れます。
77分、ジェフはブワニカ、見木を下げ、ソロモン、船山を投入。
85分、松本は常田を下げてCBを一枚削り、横山を投入。
ジェフは3バックにしてシステムのミスマッチを減らすことで、間を取られる回数も減っていきました。
94分にも松本の攻撃。
大野からのロングパスを阪野が落として、表原が頭で合わせます。
これもGK新井の正面で、1-0でジェフが逃げ切りました。
■昨年も見られた先に1点を取って後は守り切る展開
ジェフはしっかりと松本を、研究してきた印象がありました。松本は変則的なシステムで、5-3-2で守ってくる。
その結果、ジェフSBへの守備が遅れがちでした。
そのため、試合序盤のジェフは、左右のSBからロングパスを蹴り込んでいった。
特に相手3バックの外、サイドの裏へのロングパスが多く、岩崎が裏に走り込むことで相手を押し込んでいきました。
得点も伊東がハーフウェイ付近から右サイド裏にスルーパスを出し、ブワニカがボールを奪って起点となった展開でした。
これが可能になったのも、ジェフのビルドアップの特徴にあると思います。
近年の4バックでのビルドアップのトレンドは、ボランチが1枚下がって、CBと3枚でボールを回す形だと思います。
これによって中央からしっかりパスを回し、SBは高い位置に押し上げる。
しかし、尹監督のビルドアップは細かくパスを繋がないこともあって、ボランチが下がってこない。
そして、SBの攻撃参加も抑えて、後方4枚でのビルドアップが多い。
特に後方のSBが、ボールを触ることが多い状況です。
松本は相手が中央3枚で回すのであれば、2トップと3センターでプレスに行ける。
しかし、後方4枚でボールを回すジェフに対しては、対応が遅れた。
しかも、ジェフはSBから早いタイミングで長いボールを蹴り込んできたため、前半途中までは松本の守備が後手に回ったのでしょう。
ただ、松本もそれはわかっているはずで、その対策として右WBに前を置いてジェフの左サイドの攻撃を警戒したのではないでしょうか。
また、守備でのミスマッチは起こるものの、その分攻撃でもミスマッチを作り、中盤でフリーな選手を作ってそこから縦へという展開を狙ってくる。
特に河合は間で受けて仕掛ける動きがうまく、ジェフもかなり手を焼いていた印象です。
それでもジェフが勝てた最大の要因は、単純に試合の入りに成功して、先行できたことではないでしょうか。
ジェフは前半から飛ばしていた印象で、後半は足が止まってしまった。
それもあって後半は完全に劣勢で、結果的に無失点で守れたとはいえ、守り方も決して良くはなかったと思います。
コンパクトと言えば聞こえはいいですが、全体的に押し込まれていたため、セカンドボールも拾えなかったし、攻撃にも移れず防戦の時間が長かった。
しかし、松本もここまでの3試合で1得点しか挙げられていないだけあって、得点力には課題があった。
試合前にも話しましたが、松本は間を取るまでは作れるもののそこから先の仕掛けに課題がある印象で、こういった攻撃に問題があるチームがミスから簡単に先制されては厳しいでしょうね。
また、ジェフは70分から3バックにして、ミスマッチが減ったことにもなります。
さらに、中央後方に人数が増えたことによって、間のスペースも消せた。
これによって間で受けられる回数が減り、サイドからのクロスを跳ね返して守る展開が作れるようになっていきました。
「先に1点を取って後は守り切る」という展開は昨年序盤にも何度かありましたが、これに発展性を感じるかというと疑問も覚えます。
昨年もそれだけでは勝てなかったわけですし、特に夏場は90分間持たなくなってミスも増えるわけで、この展開だけでは勝点は伸ばせないのではないでしょうか。
守る時間が長くなるにしても、もっとバランスよく守って、ゴール前で跳ね返すだけの守備にならないようにしたいところではないかと思います。
とはいえ、今季初勝利。
若い選手や新加入の選手が頑張ってくれたことは、大きな収穫ではないかと思います。
チームの成長とともに世代交代も期待したいところですし、この試合がその一歩となるのでしょうか。