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右SH福満が逆サイドや中央へ流れてチャンスメイク

 今年ジェフに加入した福満。
 開幕戦での負傷の影響で欠場した第2節愛媛戦以外は、右SHでスタメン出場しています。
 福満は開幕戦から右サイドの位置から逆サイドや中央まで流れてプレーする動きを見せていましたが、ようやくその効果が発揮できたのが琉球戦だったのではないでしょうか。

 特に目立ったのは、39分のシーン。
 スローインからブワニカなどが競り合ってボールがこぼれた後、右サイドから斜め中央に走っていった福満が拾いスルーパスを出すと、岩崎が裏を走ってシュートまで持ち込んでいます。
 見木のゴールのアシストも、福満によるものでしたね。


 SHが逆サイドや中央に流れる動きは珍しくなく、ジェフもJ2に落ちてから何度かトライしてきたパターンでした。
 近年では江尻監督なども一時期試していましたが、ただSHが逆サイドに浮遊して行くだけでは効果的には作用せず、流れた先に人数を増すことでパスワークなどを構築できるかが重要でしょう。
 SHが流れることで本来のサイドは薄くなるし攻撃が偏るデメリットも考えられる上、守備時に戻りが遅れるなどのリスクもあるわけですから、SHが流れたことで明確な強みを作り上げる必要が出てくると思います。

 この福満の動きも新任した小林コーチの発想なのかなと思わなくもないですが、昨年のジェフも右SHは中央方向に流れる動きを見せていたので、単純にその延長なのかもしれません。
 しかし、昨年はその分右サイドからの攻撃が作れず、左サイドを警戒されると苦戦する傾向も見られました。
 もちろん必ずしも右サイドからの攻撃が作れなくなるわけではなく、例えば鈴木監督時代には右SHが絞ってあえて右サイドをオープンにしてSB米倉が走り込むコースを作れたわけで、いろいろな発想があると考えるべきでしょう。


 福満は狭いエリアでもうまくつなげる選手ですので、この動きに適しているのかもしれません。
 ポジショニングも良く特にサポートに入る動きがうまいので、他の選手の落としを受けたり、琉球戦でのアシストのように周りを活かすこともできる。
 さらに判断が早く、少ないタッチでパスを繋げる選手なので、密集したエリアでも機能するのだろうと思いますし、この辺りは水戸時代にも目立っていた部分ですね。

 ただ、テクニカルな選手なので、相手がスペースを消してきた時に効果的なプレーが出来るのか。
 また、鋭く縦へ突破するプレーなどは、あまり期待できないのかもしれません。
 さらに、福満のいなかった第2節では違うタイプの岩崎が右サイドに入っており福満の代役が気になるところなのですが、矢田あたりはもう評価されていないのでしょうか。


 琉球戦では、福満の逆サイドや中央に流れる動き、昨日も話した見木のトップ下に加えて、岩崎も縦への突破だけでなくパスワークやシュートなども狙える展開となりました。
 以前にも話した通り、岩崎はサイドアタックだけではもったいない選手だと思いますので、岩崎にとっても良い傾向なのではないでしょうか。
 ただ、以前から決定力は課題といった印象もあり、そこが今後の大きな壁となるのかもしれませんね。

yukkuriikou.hatenablog.com

 しかし、この攻撃が琉球戦以外でもうまくいくのかどうかが、一番の不安要素ではないかと思います。

 近年のジェフは攻撃面で課題を感じることが多かったですが、それでも対戦相手や状況によっては、時折いい攻撃が作れる試合もあった。
 そこは個人能力もあるし、相手があるのがサッカーですから、大事なのは安定して狙った攻撃が作れることでしょう。
 琉球はJ2の中でも攻撃的なチームですから、そこを差し引いて考えなければいけないと思います。


 このサッカーを目指していくのであれば、一番の課題は何よりもビルドアップだと思います。
 琉球戦でもビルドアップに関しては改善しておらず、長いボールからの展開や相手のミスなどからパスワークを展開することが多かった。
 だから、解説だった幸谷氏も、このサッカーをやるのならカウンターの質を高めなければいけないだろうと話していたのだと思います。

 けれども、攻撃面で可能性を見せたのは、2列目の岩崎、見木、福満といったテクニカルな選手が絡んだパスワークだった。
 このパスワークを安定して実行するためには、後ろから繋ぐ術を作っていかなければいけないのではないでしょうか。
 そこが出来ていないのが、試合後にも話した局所局所では可能性を感じたものの、全体的には課題を感じたと話したもう1つの理由でもあります。


 逆にこれだけ小柄な2列目を並べた状況で、尹監督が本来好むのではないかと思われる、ガテン系のサッカーをやるとなると不安が大きいようにも思う。
 ならば、そこは諦めて、テクニカルなサッカーを目指すということになるのか。
 小林コーチはその点で呼ばれた可能性もあるし、うまい具合に嚙み合えばいいのかもしれませんが、単純に考えるとミスマッチを生みかねないようにも思います。

 特にJ2のクラブはリソースが限られているわけで、中途半端なチームになるよりは一点突破の方が成功しやすい。
 それが昨年昇格した徳島であり福岡であり、秋田や琉球だったわけですし、例年ジェフは中途半端になりだと思います。
 確かに琉球戦や岩崎、見木、福満などの2列目にも可能性を感じた部分はありますが、最終的にはトータルで強いチームを作れるかが問われるわけで、そういった視点を忘れないようにしなければいけないのではないかなとも思います。