ジェフは2連敗中ということもあってか、かなり気持ちのこもった試合になりましたね。
単純に球際に激しく、いつも以上に積極的に走れていた印象がありました。
また昨年から、金沢戦はやはり戦いやすいイメージがあります。
今季から金沢はパスもしっかり繋いできますが、基本的にはロングカウンターのチームということで、守備に人数をかけるジェフは対戦しやすいということなのか。
また、金沢は2バックでビルドアップをするので、プレスをかけやすいという点も大きいのかもしれません。
一方のジェフは前に人数をかけて行くときは良かったですが、セットした時の守備には不安が残る。
この試合でも相手ボランチから縦へ繋がれて何度かチャンスを作られていますし、相手のパスワークを封じきれたとは言えなかった。
それを尹監督も感じて、早々に5‐1‐2‐2で守備を固めたのではないでしょうか。
それでもこの日は若い選手たちを中心に気持ちがこもっていた印象でしたし、金沢にもチャンスはあったとは思いますが、何とか逃げ切れた。
今年のジェフの勝利は2勝目ですが、前回の松本戦でもウノゼロの勝利。
あの時も若い選手が活躍してリードし、早い段階で3バックにして逃げ切ったということで、展開としては近いものがあったようにも思います。
■立ち上りはジェフ優勢も徐々に金沢が巻き返す
ジェフはブワニカ、新井一耀がメンバー外で、大槻、チャンがスタメン復帰。ベンチには岡野、安田、ソロモンが復帰し、末吉が外れました。
金沢はスタメン継続。
今季も平均年齢が非常に若く、スタメンの最年長は30歳の瀬沼で、DFラインは23歳の庄司が最年長。
G大阪から加入した松田陸は、C大阪で双子でプレーする元ジェフ松田力の兄・松田陸とは同姓同名で、ポジションも同じ右SBです。
キックオフ直後、ジェフの攻撃。
後方からのクリアボールを、見木が受けてスルーパス。
福満が受けてシュートを放ちますが、GK後藤がセーブ。
3分、ジェフのチャンス。
見木が蹴った左からのCKはあいませんでしたが、こぼれたところを高橋が拾ってシュートを放つと、ポストの左を逸れます。
この日もジェフは立ち上りから積極的に前に出ていきますが、その後は徐々に落ちついていきます。
金沢は間を突くパスワークと、ポストプレー攻撃を作っていきます。
12分には大橋の楔のパスから瀬沼が落とし、大石が繋いで渡邉がクロスを上げますが、米倉にあたってCK。
14分にも大橋の縦パスから大谷、瀬沼とワンタッチで繋いで、渡邊がクロスを上げる良い攻撃を作っていきます。
16分にはジェフの決定機。
GK新井からのロングキック、大槻が競ってこぼれたところ、庄司がクリアミス。
そこを見木が奪ってシュートを放つも、枠をとらえ消えず。
27分、金沢の決定機。
右サイドからのスローイン、丹羽がジェフCB2人の間で受けて横パス。
瀬沼がフリーでシュートを放ちますが、バー直撃。
32分にはジェフの攻撃。
石尾のミスから、福満が拾います。
見木が受けて持ち上がりシュートを放ちますが、GK後藤がキャッチ。
前半終盤は、金沢が攻め込む展開が続きます。
45分には金沢の右サイドからCK。
こぼれたところを藤村が狙いますが、バーの上に終わります。
■金沢ペースで進むもジェフが先制し逃げ切り
キックオフ直後、金沢の攻撃。嶋田からのパスを受けた大谷が米倉をかわすと、米倉が後ろからスライディング。
大谷が倒れてPKかとも追われましたが、ノーホイッスル。
53分、金沢のチャンス。
松田から大橋、藤村とつなぐと前線に縦パス。
大谷が中に入っていきシュートを放ちますが、ポストの左にそれます。
後半から劣勢だったジェフですが、57分にジェフの攻撃。
岩崎とのパス交換で、左サイドから小田がクロス。
見木がダイレクトで合わせますが、GK後藤がセーブ。
このプレーで得たCK。
見木が左サイドから蹴ると、ニアで小田が頭で合わせます。
角度のない難しいシュートでしたが、これが決まってジェフが先制。
68分、ジェフは福満、岩崎を下げて、岡野、小林を投入。
小林がアンカーに入る5‐1-2‐2になりました。
70分、金沢は大石を投入。
71分、金沢のチャンス。
右後方の庄司から、斜め中央へパス。
瀬沼が潰れて、大石が抜け出してシュートを放ちますが、ふかしてしまいます。
73分、ジェフは米倉を下げて安田を投入。
79分、丹羽、大石を下げて、杉浦恭平、島津を投入。
3バックにしたジェフは、後方を固めて守る展開。
88分、金沢は石尾、渡邊を下げて、高安、廣井を投入。
92分、ジェフは櫻川、船山を投入。
そこの直後にはFKの流れからこぼれ球を大橋が拾ってシュートを放ちますが決まらず、1‐0でジェフの勝利となりました。
■5-1-2-2にして後方と縦パスをブロック
ここ数戦のジェフは立ち上りから積極的に出ていくも、その後は息切れしていきました。前に出ていく時間帯は良いもののそれ以外の時間帯でやられる…という流れは、昨年から見られた傾向だったので心配だったのですが、この日は後半に一瞬の隙を付いて先制。
その後は、守りを固めて逃げ切ったという展開だったと思います。
全体的にいつもより動けていたと思いますし、主な勝因はそこでしょうか。
金沢も平均年齢が若いにもかかわらず、冷静に戦っていましたし、昨年までのようなバタバタした印象はなかった。
ただ、クロスなどアタッキングサードでの質は、もう1つだったのかもしれませんね。
冒頭でも話した通り、柳下監督が指揮を執る金沢は一貫して2バックでビルドアップを開始する。
その分、ジェフはプレスをかけやすいところがあると思います。
ジェフは4‐4‐2で守備をするので、2バックでビルドアップをしてくれれば、そのまま対面の選手を追えばいい。
これが後方3枚でビルドアップをされると、SHも前に出ていかなければいけなくなります。
そうなるとSHの裏が空くこともあるし、SHが遅れると後方から攻撃を作られてしまうし…と迷いが生じる。
この辺りは、琉球戦後にも話した通りです。
ただ、それでも金沢が2バックでのビルドアップにこだわっているのは、それだけダブルボランチからチャンスを作りたいという意図なのかもしれません。
実際、13分、14分と連続した渡邉のクロスは大橋の縦パスからでしたし、53分の大谷のチャンスも藤村の縦パスから。
ジェフの2トップ裏をボランチが取れれば一気にチャンスは広がるわけで、リスクを負ってでも中盤に人数を増やしたいということでしょうか。
その分、この日のジェフのチャンスを振り返ると、中盤での競り合いに勝った展開からか、相手CBへ圧力をかけた形からだった。
琉球戦、京都戦のように、パスワークらしいパスワークからチャンスを作れた場面は少なかったようにも思います。
それでもこの日のように走れれば良いサッカーが出来るのではないかとも思うのですが、ここから夏場に入るだけにどこまで走れるのかがポイントとなるのでしょうか。
一方で省エネの状態…ようするに、リトリートした状況では、間を取られたりボランチに前を向かれてチャンスを作られたりといった場面も目立ったと思います。
金沢は左右SHが中に入ることも多かったので、ジェフのボランチが誰を見ていいのか迷いを感じました。
この辺りの守備が、ジェフの大きな課題ですね。
そのため、最終的には5‐1‐2‐2にして後方を厚くしただけでなく、中盤中央も厚くしたのではないでしょうか。
中央の枚数を増やしたことで、相手ボランチなどを簡単にはフリーにさせず、中央での縦パスを止めようとした。
しかし、その分、右後方の庄司からチャンスを作られてしまったように、このシステムも完璧ではなかったと思います。
それでもシステムを変更した意図は明白だったと思うのですが、欲を言えば通常時の戦い方でしっかりと守れる状況を作りたいところ。
4バックと3バックを使い分けると言えば聞こえはいいですが、メンバーを入れ替えての変更ですし、その後もしも同点、逆転となった時に、攻め返す選択肢が少なくなってしまいます。
セーフティマージンを稼げていたり、試合終盤に変更するのならまだ良いとは思うのですが、この日も3バック変更後に怖いシーンは何度かありましたし、ちょっと極端な印象も受けます。
ともかく、試合展開や戦い方はたどたどしいものではありましたが、守備で球際に戦えて、しっかりと走れたことは良かったと思います。
メンバーも一部変わって、走れる選手や若い選手が増えたこともあって、こういった試合が出来たのでしょうか。
これを今後も続けて、チームのベースの1つとなっていくといいですね。