町田戦ではジェフのサウダーニャに対して、元ジェフの水本がマッチアップすることが多い展開となりました。
オシム監督時代の水本を思い出させるシチュエーションとなりましたね。
それも10年以上前の話ですので振り返っていくと、当時のジェフはマンマーク主体の守備で、相手のパワー系FWには主に現ジェフアカデミーマネージャーの斎藤大輔などが。
そして、スピード系FWには水本などが付くことのが基本でしたが、当時のJクラブはスピード系FWに外国人ストライカーを置くことが多かった。
J1のエース級FWに対してまだ20歳前後の水本が見事に対峙することで、自身の評価も上げチームにも大きく貢献していました。
今回のサウダーニャへの対応も、さすがでしたね。
町田は当時のようなマンマーク守備ではないし、常に粘り強くついていく形ではなかったですが、要所要所大事なところで潰しにいく。
それによってポジションバランスも保つ守備で、水本本来の冷静な判断力に加えて、ベテランらしいうまさも感じました。
ジェフ後方からのサウダーニャを目がけたロングボールに対しても、高橋祥平と共に見事に対応し、ほとんどのロングボールに対して、先に触っていたのではないでしょうか。
唯一サウダーニャを空けてしまったのが、後半開始直後の岡野からのアーリークロスでしたが、あの直後に左SB奥山に指示を出していたところを見ると、あそこは奥山がスライドして見るべきだったのかもしれません。
実際、その後の岡野のクロスに対しては、奥山が応対してサウダーニャにヘディングをさせませんでした。
対するサウダーニャは、空中戦で苦労した試合となってしまいましたね。
サウダーニャはフィジカルが強く、相手を押し込んで壁を作り足元でボールを保持するのはうまいですが、空中戦に対しては落下点に入るのが下手なように見えましたし、クロスにフリーで合わせた時もうまく頭を振れていない印象でした。
さらに失点も背後の太田が気になったのか、対面のドゥドゥを空けてしまいやられていますが、ゾーンで守っているわけですから、サウダーニャがラインに沿って下がって対応しなければいけなかったはずです。
また、この日は先にジェフが失点を許した展開だったため、過去2試合のように速攻を狙うのではなく、遅攻の質を求められる試合となりました。
遅攻になるとサウダーニャは中盤後方まで下がってきて、ボールを触ろうというプレーが増えていきました。
そこから前を向いて強引なドリブルを開始することも多く、39分にはその展開でミドルシュートを放っています。
ただ、こういったプレーにはメリットもデメリットもあり、そこで打開できればチャンスになりますが、攻撃のリズムは明らかに悪くなるし、サウダーニャが下がることでゴール前にFWがいなくなる弊害も生まれます。
それこそ、オシム監督ならエゴイスティックなプレーだと批判してたでしょう。
町田のワンタッチで縦に素早く展開して相手の守備をかわそうという攻撃とも、真逆の動きと言えると思います。
それでも現在のジェフの場合は、チームとしての攻撃の方向性が不明瞭で、特にアタッキングサードの打開に課題が残る。
それだけに強引であっても、サウダーニャの打開力が結果的に必要になる可能性はあるのかもしれません。
そうなってくると、最終的にはその強引なプレーで結果が出るか否かに、チームの命運を賭けるしかないとなるのでしょうか。
そこで気になるのは、相手チームがどういったサウダーニャ対策をしてくるのかということになると思います。
町田のサイトに、試合後の水本のコメントが掲載されています。
サウダーニャ選手への対応で意識していたことは?
水本裕貴「素晴らしい左足を持っていますし、前節の長崎戦でも個人技から得点を奪っていたので、自由にプレーさせないことは意識していました。起点を作られることと、自分たちが攻めている時に、カウンターを食らわないように、僕と(高橋)祥平で潰そうというコミュニケーションを取っていました」
「素晴らしい左足を持っている」と話していることからも、左足でのシュートを警戒していたのではないでしょうか。
確かに39分の遠目からのミドルシュート以外では、足元でのシュートを放てていませんし、そこを封じられた時に他の狙いを持てるのかどうか。
同じように高橋壱晟も、ミドルシュートを他チームに警戒されてから活躍できなくなって、そこから出番が減っている印象もあります。
さらに起点を作られないようにすることと、カウンターを警戒したと。
起点作りに関してはある程度サウダーニャも貢献出来ていたと思いますが、カウンターに関してはほぼ狙えなかった。
町田が堅守速攻のチームであったことも大きいのでしょうが、やはり徐々に対策は取られているように思いますし、ここからが大事なのではないでしょうか。
水本に関しては、ビルドアップ面でも貢献していましたし、攻守においてチームに落ち着きを与えていたと思います。
今季は高橋祥平の補強もあって出番が少なくなり心配していましたが、まだまだやれるのではないかなと思います。
水本も35歳と大ベテランの域に入ってきましたが、オシム監督時代の選手でJリーグで活躍出来ている選手もほとんどいなくなってしまいました。
最後まで結果を残せているのが、阿部と水本というのは、当時を考えても納得ですね。
現在はライバルではありますが、怪我には気を付けて頑張ってほしいと思います。
対してサウダーニャに関しては、癖がある選手だしリズムも日本人選手とは異なるので当初は相手も悩んだと思いますが、対策がはっきりしてからが勝負だと思いますから、もう少し見ていきたいところですね。