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0-1で落とした東京V戦、ジェフ攻略法が明確に?

 先日、ジェフが創立30周年を迎えたとのことで、おめでとうございます。
 現在は苦しい日々を送っていますが、継続することは重要なことだと思います。

 ジェフ初期は毎年のようにクラブ存続の危機が噂されていましたし、その頃に比べるとJリーグ全体も含めて、運営が安定してきたのではないでしょうか。
 末永くクラブが続くことを期待しつつ、クラブ全体としてさらに上のランクを目指したいところです。
 ちなみに、今日の対戦相手である東京Vは読売サッカークラブがスタートした1969年をプッシュしていますが、ジェフの前身である古河電気工業サッカー部は1946年設立ということで、もっとそこもアピールしてもいい気がしますね。


 そのジェフ対東京V。
 近年は激しい試合になることが多いですが、今年も最後はどちらも足の止まる消耗戦となりました。
 ジェフとしては試合内容も含めて、厳しい試合となったのではないでしょうか。

 ただ、これが久々の敗戦となったとはいえ、無敗中も決して盤石ではなかったですし、ジェフの出来はこの日もそこまで変わらなかったと思います。
 ここまでは相手チームが未知のサウダーニャと変更した3バックに対して、どう対応すべきか迷っていたところもあって、結果を残せていた印象でしたが、ここに来て対策が固まってきたということではないでしょうか。
 そう考えると今後の試合は苦労する可能性もあるだけに、やはり細かな内容の部分をもっと詰めていかなければいけないのではないかと思います。

■ジェフがズルズルと下がって小池がゴール

 天皇杯を挟んで主力を戻したジェフは、小島が累積警告で出場停止で小林がスタメン。
 ベンチからはソロモン、福満、溝渕が外れて、大槻、末吉、高橋、熊谷が入りました。

 東京Vは梶川、佐藤凌我、山下がベンチスタートで、端戸、井出、パライバがスタメンに入り、前線に端戸で、小池が右に回って、パライバが左。
 怪我なのか右SB深澤がメンバー外で、福村がスタメンに復帰し右SB。
 キャプテン平などは不在で、DFのやりくりに苦労しているのかなといった印象があります。 


 東京Vは珍しく左右SBが開いて、若狭とンドカの2CBでビルドアップする形。
 6分、東京Vの攻撃。
 福村から左足のクロスを上げると、佐藤優平がゴール前で粘ってシュートを放ちますが、枠の外。

 16分にはジェフの攻撃。
 小林のパスを受けた岡野が、中盤でうまく反転して前を向くと船山にパス。
 船山がミドルシュートを放つも、枠を捉えきれず。
 

 18分、東京Vが先制。
 後方から左右にパスを回されると、全体がずるずると下がり、中盤のパライバがフリーでラストパス。
 これに対して、小田の裏を取った小池が合わせて0‐1。

 29分にはジェフのチャンス。
 サウダーニャからのパスを船山が落として見木が仕掛けるも、ンドカのブロックにあい混戦状態に。
 そこから船山が拾ってシュートを放ちますが、GKマテウスがセーブ。

 前半中盤はジェフが押し込みますが、ゴールを奪えずにいると再び東京Vがボールを持つ展開に。
 44分には、ジェフの左サイドからのCK。
 見木が蹴るとファーでサウダーニャが合わせますが、枠を捉えきれず0-1で折り返します。

■後半から両チームの運動量が落ちるもスコアは動かず

 ビハインドのジェフは、後半から積極的にプレスをかけていきますが、なかなかチャンスを作れない展開。
 54分には左サイドからサウダーニャが強引なドリブルを開始。
 見木とパス交換をして、サウダーニャが左足でシュートを狙いますが、ゴールの左。

 後半から運動量の上がらない東京Vは57分、端戸を下げて佐藤凌我を投入。
 59分には東京Vの攻撃。
 中盤の加藤からスルーパスが出ると、小池が裏を抜けラストパスを選択しますが、合わせきれず。


 66分、ジェフは船山、安田を下げて、大槻、末吉を投入。
 サウダーニャと大槻の2トップによる3‐5‐2になりました。
 前半からジェフが押し込む展開が続いていましたが、65分頃からジェフの運動量が落ち、東京Vが攻め込むシーンが増えていきます。

 80分、ジェフはサウダーニャ、小田を下げて、高橋、岩崎を投入。
 サウダーニャの1トップに戻し、2シャドーに岩崎と大槻が並び、高橋が左WBに入りました。
 東京Vもパライバを下げて、山下を投入。


 85分、東京Vは井出、佐藤優平を下げて、梶川、山本を投入。
 87分には東京Vのチャンス。
 田口と小林のパス交換がずれたところを山下が奪い、佐藤凌我が狙いますが枠の外。

 89分、ジェフは田口を下げて新井一耀を投入し、新井一耀を前線に起用するパワープレーに出ました。
 93分には東京Vの攻撃。
 カウンターで梶川が長い距離を持ち上がり、そのままミドルシュートを放ちますが、枠を捉えきれず。

 96分にはジェフの攻撃。
 岡野のロングスローからの展開から空中戦が続き、最後はチャンが狙いますがゴールならず。
 1点を奪えず0‐1で、ジェフの敗戦となりました。

■ジェフの攻略法が明確になった東京V戦

 ここ数戦負けなしだったジェフは、3バックで後方に人数をかけて守りを固める守備がベースとなっています。
 そこから前に出て行そうなら前に出て、守備で後手を踏まないことが重要となっていた印象です。
 そして、ボールを奪えばサウダーニャが個人技で仕掛けてカウンター、ないしは陣地を回復して押し込んでサイド攻撃を仕掛けていきました。

 後方の守備陣が前に出ていくためには、ある程度前からプレッシャーをかけていきたい。
 しかし、東京Vはプレスをかけさせないために、対策を取ってきたのではないかと思います。
 いつものように後方3枚でビルドアップをするとジェフの1トップ2シャドーに、数的同数のプレスを受けかねい。

 そこで2バックでビルドアップをして、左右SBは開く。
 これによって、ジェフの両シャドーを外に広げてプレスを分散していった。
 さらに、アンカーの加藤がサウダーニャの裏でボールを受けることによって、サウダーニャも下げさせてジェフのプレスを回避したのだと思います。


 ジェフは前からのプレスが分散されたことで、後方の選手が前に出ていく機会を失ってしまった。
 もともと3バックにして後方が重くなりがちなジェフは、ボールを持ち込まれるとラインが下がりがちになる。
 そして、得点シーンでは薄くなりがちな左右にパスを繋いだことで、さらにジェフのラインを下げて、中盤からラストパスを出されてやられてしまいました。

 全体が下がりがちだから、相手中盤後方をフリーにしてしまう問題は、先週も話した通り
 その相手中盤後方が相手にとって高い位置になれば、ただの展開ではなく、そこからラストパスが出されてしまう。
 プレスを分散しラインを押し下げ、スペースのできた中盤から攻略することが、3バックになったジェフ攻略法として有効なのではないかと感じます。


 さらに、攻撃ではまずサウダーニャを止めること。
 サウダーニャは中盤で下がって受けて反転し、そこから持ち上がってシュートを決めた試合もあったように、足元でボールを受けたがる選手。
 だから、その下がって受けようとした瞬間に潰しに行けば、前も向かせずジェフの攻撃の芽も潰せることが出来る。

 裏で受ける回数も少ないし、ヘディングも強さはなさそうですから、空中戦のターゲットにもなりにくい。
 さらに、シンプルなポストプレーなどもしてこないので選択肢は少なく、相手にとって的は絞りやすいでしょう。
 この日の後半からは東京Vの足が止まってサウダーニャが前を向くシーンもありましたが、前を向かれた時は左足をケアして対応すれば怖さも半減するのかもしれません。


 サウダーニャが活躍出来ていたのも、まったく情報がなく日本人とは異なるプレースタイルであるため、相手チームが悩んでいたところが大きかったのではないかと思います。
 もちろんドリブル突破力や左足でのシュート力はあるものの、守備、ヘディング、裏抜け、ポストなど他の課題が多いだけに、弱点を突いて対策すればいい。
 今後はそういった方向で、対応されていくのではないかと思います。

 サウダーニャを封じれば、それまでのジェフと変わらず、攻撃面では課題が多い。
 終盤のパワープレーも準備不足な印象を受けましたし、そもそもパワープレーに移ったのも、攻撃がうまくいっていないからでしょう。
 見木、岡野など好調な選手の攻撃には可能性も感じましたが、それが単発では厳しいですね。


 それと共に昨年から感じていますが、勝利にどれだけこだわれるのかといった部分に物足りなさも感じました。
 尹監督は基本的に選手交代に成功したことが少なく、特に点を奪いたいという時の選択に課題も見られます。
 もともと攻撃センスには不安がある指揮官なだけに、うまくいかないところがあるのでしょうか。

 この日も高橋を左WB起用で起用してパワープレーを展開しようとするも、左で幅を取る選手がおらずクロスを上げられなかったり、新井一耀を前線起用するも効果的ではなかったり。
 東京Vの選手層が薄く左の福村を右で使わざるをえなかったり、ベンチに同じような小柄な攻撃的選手ばかり並んでいたりといった状況を見ると、やはりジェフは選手層で恵まれていると思います。
 しかし、少なくとも選手交代では、それをうまく活用できていないように思います。

 尹監督は戦術家タイプではないのでしょうし、基本的には試合をなるべく"塩漬け"にして、少ないチャンスをものにするスタイルなはず。
 そういったスタイルのチームこそ、指揮官の勝負師としての勘だったり、熱い気持ちで選手を戦わせる部分がものを言うのではないかと思うのですが、そのあたりが昨年からどこか足りていないような気がしてしまいます。
 この日も接戦の消耗戦になったわけですが、そこから勝点を拾う一手も見えずに、終わってしまったことが残念でした。