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佐藤勇人「ジェフの選手はみんなサウダーニャを見ている」

 先日のジェフ対東京Vは、ジェフ30周年ということにも絡めてか、佐藤勇人DAZNの解説を務めていました。
 現在はOBでジェフ戦を担当する解説者も少ないので頑張ってほしい気持ちもありますが、一方で現在の勇人はクラブのフロントでもあるので、それはクラブ内部の意見なのかな?とかジェフに忖度しているのかな?と、どうしてもどこか穿った見方をしてしまう部分もあります。
 もともとどちらかと言えば喋りが得意なタイプではないでしょうし素直な性格でもあると思いますので、ますます発言の意味を考えてしまうところがありますね。

 注目のサウダーニャに関しては、「日本の選手は個で仕掛ける選手が少ない」、「中央でゴールに向かっていく選手が日本人には少ない」ので、相手選手が戸惑っているのではないかと話していました。
 実際にそういったところで成功している部分もあると思いますが、これも勇人個人だけではなくクラブの評価だったりするのでしょうか。
 また、勇人も在籍した強かった頃のジェフは、そういった個で打開できる選手を組織力で上回ることに強みやプライドを感じられたクラブだっただけに、現在フロント内部にいる勇人がこれを言うというのは、仕方がない部分もあるとはいえ、複雑な思いにもなってしまいました。


 また、勇人は「ジェフの選手はみんなサウダーニャを見ている」とも話しています。
 確かにロングボールでも他に高さのある選手が前方にいないためサウダーニャを目がけることが多いですし、縦につなぐ際にもまずはサウダーニャを見ていることが多いのかなと感じますね。
 それだけ周りの選手も、サウダーニャの打開力に期待しているということでしょうか。

 ただ、山形戦、東京V戦と、サウダーニャは持ち味を生かしきれていない印象もあります。
 勇人も言っていた通り、日本人選手にはない強引な突破を選択することが多く、デビュー当初は相手チームも戸惑っていたと思いますが、その選択もばれて戸惑いもなくなってきているのでしょう。
 戸惑いはあくまでも意表を突かれた状況で起きるものであって、予測できれば戸惑いはないということではないでしょうか。

 
 「中央でゴールに向かっていく選手」との評でしたが、ここ数戦はその前の段階で相手に止められて、ゴールに向かえていない状況だと思います。
 サウダーニャは中盤に下がって、足元でボールを受けたがるため、ボールが入った瞬間を狙って潰しにいく。
 これはボール奪取のセオリーの1つですし、それこそオシム監督時代のジェフが得意とした守備パターンでした。

 その上で「ジェフの選手はみんなサウダーニャを見ている」ということで、サウダーニャにボールを集めていくのだけれど、そこで潰されてしまう。
 結果的に相手チームにとっては、サウダーニャへのパスがボールの奪いどころとして守備の的になっていた。
 ジェフとしては、ボールロストのポイントになってしまっていた印象もあります。


 これを相手チーム目線で考えると、確かにサウダーニャはスピードもあるし、個で打開できるし、左足での決定力も怖い。
 しかし、スピードに乗らせなければ問題ないし、強引な突破をしてくる可能性が高いので、予測も付きやすく思い切って潰しにいける。
 日本人は直線スピードではブラジル人選手に劣る場合があっても、アジリティや粘り強い守備はうまい選手が多いと思いますから、サウダーニャがボールを受けた瞬間にグッと中に入っていったり、ドリブルでも簡単には飛び込まないことで対応できるということではないでしょうか。

 一方のサウダーニャに関しては、ブログでも何度か書いてきたとおり、やはり対策を取られたここからが勝負になると思います。
 引いて下がって強引に反転するパターンは封じられつつありますが、足元でボールを触りたがる選手だから、こういったプレーが増えているのでしょう。
 さらに、前線にいてもボールを引き出したり、空中戦でターゲットになるプレーが苦手だから、下がってきてしまうところもあるのかもしれません。


 これはマリオ・ハースJリーグデビュー当初、悩んでいた問題でもありました。
 ハースも2005年の開幕戦では中盤に下がりすぎて、そこでボールを失い苦戦しています。
 その時のオシム監督も試合後にそこに関して触れて、「日本人選手はすばしっこく、厳しいマークに驚いていたようだ。これからきちんと説明する」と話しています。

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 その後のハースはFWやウイングとして前線に張ることが増え、そこからシンプルなタッチでポストプレーをし、周りを活かすチャンスメーカーとして活躍します。
 その中で状況に応じて、ボールをキープして高精度なラストパスを供給していった。
 そこの判断力が素晴らしかったし、当初は日本人選手のプレーに戸惑いながらも、賢く自分の良さを出せるプレースタイルを構築していったと言えるでしょう。

 サウダーニャに関してもハースとはタイプが異なりますが、相手チームの選手たちがサウダーニャ対策を講じてきたように、サウダーニャも日本人対策を講じていかなければいけないと思います。
 突破力やスピードは日本でも通用することが分かった一方で、強引なドリブル突破だけでは厳しいだろうし、空中戦や繫ぎの部分には課題も感じました。
 最終的にはシンプルにプレーすべきところはプレーしながら、自分の持ち味を出せるように成長していかなければいけないのではないでしょうか。