タイトル通り、東京V戦でのジェフは相手にプレスを分散されて、全体のラインが下がってしまった。
それによってジェフの中盤前方、相手からすれば中盤後方にスペースができ、そこからラストパスを供給されて失点してしまいました。
これはここ数戦続いている課題ではないかと私は思いますし、昨年からも見られた光景だと思います。
東京Vからすれば、うまくその弱点を突いたことになると言えるのでしょう。
図を使いながら説明すると、まず東京VはDFライン2枚でビルドアップをしてきました。
東京Vは片方のSBが中央に絞って3枚でパス回しをスタートするのが基本ですから、ジェフ対策としてあえて2枚で回してきたことになります。
ジェフは基本1トップ2シャドーのシステムなので、後方3枚だと数的同数でプレスをかけられためないため、変化をつけてきたのではないでしょうか。
これはブログでも散々話してきましたが、5月中にも感じた課題で新潟、山口のように後方3枚で回すチームにはプレスをかけやすかったものの、4バックのチームにはプレスをはめにくい傾向が見られたはずです。
図の通り、東京Vの左右SBが開いてボールを待つことで、ジェフの両シャドーは外に開かなければいけない。
すると、1トップのサウダーニャはCB2枚を見なければいけないわけですが、サウダーニャに2枚を追えるほどの守備力はない。
この時点でプレスにおいて、後手に回された状況でした。
さらに東京Vはアンカーの加藤が、うまくサウダーニャを押し下げていった。
16分過ぎにはGKからのショートパスを受けて、自陣ゴール前で見せつけるようにサウダーニャをかわしていきましたが、あれもサウダーニャに自身を意識付けるためだったのではないでしょうか。
それによってサウダーニャは守備時にかなり引いてプレーをしてしまい、プレス位置が低くなるだけでなく、攻撃に移った時の立ち位置も下がってしまったことになると思います。
加えて、緑の縁で示したように、攻撃時の東京Vは2インサイドのシステムであるため、ジェフのボランチはインサイドが気になって前に出にくい状況だった。
結果、サウダーニャは加藤を見ざるを得なくなるわけですが、白い四角の通りサウダーニャはCB2枚とアンカー1枚の3選手に囲まれた状況になり、そこで相手にリズムを作られてしまった印象です。
今年加入した加藤は細かいエリアでもボールの受け方がうまかったですし、江尻強化部長はいい仕事をしましたね。
このようにプレスがかけれられなかったジェフは、完全に5‐4‐1の引いた状態になり、前方向へ守備が出来なくなってしまった。
もともと後方が重いこともあって、ずるずるとラインが下がっていく
さらに、そこから左右に展開されて、18分に失点してしまいます。
東京Vが左サイドでパスを繋ぎ井出が粘ると、中盤後方でぽっかりと開いていたパライバが受けて中央前方へドリブルを開始。
深い位置にいた小林が前に出ようとしますが、間に合わずフリーな状況でラストパスを出されます。
そして、右サイドから走り込んできた小池が頭で合わせて、ゴールを決めています。
確かにパライバの伸びたボールは見事でしたし、小池の裏への走り込みもうまかったですが、あの位置でフリーな選手を作ってしまえば、失点も仕方ないことだと思います。
ちなみに小池のポジションがオフサイドではないかと指摘する声も多かったようですが、ピッチのラインで見るとオンサイドだったと思います。
確かに小池の腕は小田より前出ていましたが、オフサイドは胴体や肩で判断するものですから腕の位置は関係ありません。
パライバが受けた位置は中盤後方と言いましたが、それはジェフのボランチ前で受けたからそう表現しただけで、エリアで見ればかなり高い位置で受けています。
小林が左サイドの守備を警戒したこともあって、かなり低い位置から前に出なければいけない状況となり、その分大きく遅れてしまいました。
パライバからすればゴールほぼ正面の位置から、フリーでラストパスを出せたことになります。
では、なぜ小林の守備が遅れパライバがフリーになったのかと考えると、やはり全体のラインが低かったからでしょう。
このシーンの前、東京Vは後方で左から右に繋いで、さらに中盤で右から左と揺さぶっています。
左右に素早く揺さぶられれば、それだけ押し下げられてしまうし、スライドでも後れを取ってしまいます。
右サイドでは中央でもパスを繋ぎつつ前に侵入していくと、若狭がSBのようにフォローしてパスを受けています。
1バックのような状況にになったンドカが、センターサークル前方で若狭のパスを受けて左サイドに展開。
それだけジェフはCBへプレスがかけられず、全体が押し下げられていたことがわかります。
少し前の話にはなりますが、5月15日の長崎戦後5‐3‐2の守備がうまくいかなかった要因に関して、見木の解答が興味深かったです。
要約すると相手SBへインサイドがプレスに行ってたが、ボールを奪いきれなかったことが課題であると。
ただ、実際にやってみると、WBも前に出るべきではないかと話しています。
実際、5‐3‐2でうまくいっているチームは、海外などで見ても大外はWBがアップダウンしていることが多いと思います。
現在は5‐4‐1なのでまた少し状況は異なるとは思いますが、それでもサイドで潰すことは大事で、そこが昨年からの大きな課題の1つではないかと思います。
WBに関しても、5‐4‐1でももっと前に出ていかないと厳しいのではないでしょうか。
5-3-2にせよ5‐4‐1にせよ中盤から前の人数は同数なわけで、WBが前に出なければシャドーも前には行けず、CFが厳しい状況になってしまいます。
しかし、現状でのWBの動きを見ていると、3バックとの横のラインを気にしてポジショニングをしているように見えます。
そうなると、選手ではなくチームとしての判断なのだろうと思うわけで、尹監督は後方を固めることを重視する監督なだけに、そうなっている部分があるのではないかと思います。
5バックが引き気味に守るだけではどうしても守備で後手を踏むことが多くなると思うのですが、ここからうまく改善していくことが出来るのでしょうか。