当ブログはプロモーションを含みます

尹監督「前線が低くなり過ぎずハーフウェイラインで構える」

www.jleague.jp

小林伸二監督「(相手からの)圧が掛かるということを覚悟していましたが、立ち位置が良くて少し(ボールを)前に運べたんじゃないかなと思います」

 北九州戦、前半のジェフは押し込まれる展開が目立つ展開となってしまいました。
 前からプレスに行けなかったことで、苦労したところがあったと思います。

 北九州は4‐1‐4‐1で、2CBとアンカーでビルドアップを開始。
 ジェフのボランチインサイドを見なければいけないし、シャドーはSBをケアしなければいけない。
 これによって、サウダーニャが2CBとアンカーを見る状況を作られていました。


 北九州とすれば、サウダーニャの後ろのスペースで、アンカーがうまくパスを散らす形をとっていった。
 だから、アンカーにパサータイプの針谷を起用したのではないでしょうか。
 これは東京Vの実行したジェフ対策と、同じような形と言えますね。

yukkuriikou.hatenablog.com

 さらに、ジェフのシャドーが前へとプレスに行けば、その裏を北九州のインサイドが付く形をとってきました。
 特に見木の後ろを高橋大吾が狙っていて、そこでパスを受けてチャンスメイクの起点にしようという狙いだったのではないでしょうか。


 それを実行するために、北九州はSBが開いたり、CBがパスを繋ぐことで、ジェフのシャドーを引き付ける。
 さらに、左右SHは開いて高い位置を取ることによって、ジェフのWBを押し下げる。
 アンカーだけでなくSBやインサイド、SHのポジション取りも含めて、小林監督の言う「立ち位置が良かった」のではないかとも思います。

 しかし、その狙いはうまくいっていたと思うし、惜しいパスは何度もあったと思うのですが、そこで少しずつパスがずれたり、トラップが流れたり。
 あるいは、ようやく縦にボールが入っても、そこへのサポートが遅れたり。
 このあたりが今年の北九州が苦戦している要因で、加藤や國分、藤原、福森など主力選手が抜けて苦しくなっているところがあるのかもしれません。


 一方、ジェフの尹監督は「前半はプレスに行けない配置をされていたが」という質問に、「前線が低くなり過ぎず、ハーフウェーラインくらいで構えるシーンが多かった」と試合後に話しています。 
 ただ、実際にはピッチの4分の1以下まで下げられる時間帯もありましたし、前半のセットした守備はそこまでうまくはいっていなかったと思います。
 苦しい時間があるのも仕方がないとはいえ、東京V戦でも押し込まれましたし、ミスマッチが生まれる状況での対応には課題があるのではないでしょうか。

 それでも40分にはこんなシーンが。

f:id:aratasuzuki:20210629185316p:plain

 相手が2CBでパスを繋いだところから、村松が針谷に縦パス。
 サウダーニャは裏を取られかけますが、プレスバックして田口がボールにアタック。
 針谷のトラップが流れたこともあって、そこで相手のファールとなりますが、これが1つの理想かもしれませんね。

 ここでのポイントは、最終ラインも含めて全体が高く保てていたことではないでしょうか。
 それによって選手の距離感が良い状態で守れたため、少し遅れたサウダーニャも田口もアプローチに行けた。
 1トップ、MFライン、DFラインがコンパクトに守れていたことになります。


 これをやるためには、最終ラインをもっと押し上げたいところですし、そのためには相手のビルドアップに制限をかけたい。
 そこが課題ですし、ここでも決してうまくプレスに行けたとは言い難いと思います。
 また、2CBでパスを繋いでいたところで見木が単独で前に出ており、その裏を高橋大吾にとられかけた状況であったともいえるのでしょう。

 針谷のトラップが流れてしまったことで助かったようにも思いますし、紙一重の状況ではあったともいえるかもしれません。
 とはいえ、全体のラインとしては、これくらいの位置取りをベースとして考えたいところではないかと思います。
 尹監督の「前線がハーウェイラインくらいで構える」という発言も、それが理想だと思っているからこそ、出たコメントなのではないでしょうか。


 これを実現するためにも、バランスよく前から制限をかけられる守備を構築したいところではないでしょうか。
 現状だとWBもシャドーも低い位置にいることが多く、そこから全体が押し下げられてしまっていることが多い印象です。
 4-4-2などならサイドが押し下げられても2トップで追えばいいですが、5‐4‐1でサイドが押し込まれると1トップが守備で孤立してしまいがちです。

 北九州戦後半のようにアグレッシブにハイプレスへ行ける状況であれば、問題は起こりにくいとは思います。
 相手がパスを回す前にハイプレスで先手を取り続けられれば、間を取られることもなくなり、揺さぶられることも減るはずです。
 ただ、90分間はあのハイプレスを続けられないでしょうし、セットした状況でミスマッチを突いて来ようとする相手にどう対応するのか。
 ハイプレスに行けない状況でもある程度相手をけん制して、ラインを押し下げられない守備体系を作ることが大事ではないかと思います。